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次の人生も女神嫁と共に  作者: 八木杉 ケイシ
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24/42

第二陣

 昼時の八重樫家から駒音が響いてくる


「王手…で良いんですよね?」

「…負けました」


 キーの作った将棋盤で対局していた二人、教えて五局目にして早くも福太郎が負けた


「…強くないか?」

「まぁ似たような遊戯は私の国にも有りましたから」


 これで将棋の棋力、強さは暫定的に

1位 フー

2位 キー

3位 スー

4位 シュンロー

5位 福太郎

6位 ヒー

という事になった

 みんなに教えたのは福太郎なのに5位、将棋にそこまで興味のないヒーを除けば実質最下位である

 1位のフーは攻めと守りのバランスが絶妙で福太郎は一回も勝てていない

 正直福太郎は下手の横好きで弱いのだ


「もう一局打とう」

「いいですよ」

「みんなすぐうまくなるなぁ……うん?これは…来たかな」

(きたな)

(きましたわ)

(きたよ!きたよ!)

(きたね)

(きました)


 福太郎と精霊達の感知範囲に数十人の反応があった


(どうします?とりあえずおうのしれんはします?)

「そうだね、それは一応やっておこう。そしてそれはそれとして様子見もしてくるよ。シュンローも来るかい?」

「お供させて頂きます」


 本来なら王が偵察など有り得ない事だが精霊の力を封じられた精霊術士が束になろうと王に危害を加えられるはずも無い

 精霊達は気楽に見送った

 二人は反応があった方向に飛び、少しした場所から怒鳴り合う声が聞こえてくる


「駄目です!精霊が言うことを聞きません」「ちゃんと魔力を使って命令しろ!」「それでも無理なんですよ!」「旧派にやらせろみろよ!」「あいつらも駄目なんだよ!」「一回戻るべきじゃないのか!?」「はぁ…はぁ…空気が……薄い」「誰か魔法使えよ!」「お前が使えばいいだろう!」「どっちに進めば良いんだよ!」「俺が知るか!」


 30人近くがひとかたまりになって前に進もうとするがそれを阻むように砂嵐があれ狂う、但し─


「俺達もあんな風になってたのか…」


 調査団の周囲数メートルの範囲だけを

 上から見ている福太郎とシュンローにはよく分かった

 前に進めば砂嵐も前に、後ろに戻れば砂嵐も後ろに、列が間延びするようなら砂嵐も伸びる。まるで意思でもあるかの様に調査団を包み続ける。実際意志があるのと変わらない、砂嵐を操っているのはフーとツーなのだから

 そして福太郎は怒号飛び交う中から気になる単語を聞いていた


「…旧派ってシュンロー達の事かな?」

「ご明察です、私達の様な成り方を旧派、名で縛る成り方を新派と呼んでいます」

「と言うことはあの中にも旧派がいるのかい?」

「いるでしょうね、大体1割くらいが旧派ですので二人か三人は」

「その人達だけでも助けた方が良いかな?」

「どうでしょうね、旧派の全てが四名家を嫌っている訳じゃ有りません。助けたら情報を流される可能性はあります」

「…最初にシュンローを引いたワシらは幸運だったんだな」

「そういって貰えると光栄ですね」


 実際ツイていただろう。もし最初に助けたのが四名家に阿る(おもね)者だった場合、福太郎達の事がすぐに広まってしまっただろう。

 まだこの世界に慣れていない福太郎が何かの形で騙される事があったかもしれない

 精霊達を奪う方法すらあるかも知れない

 それを考えるとシュンローは最適な相手だったろう


(精霊(あのこ)達はどうやって見分けたんじゃろ、ナイショ言うてたがシュンローには何かあるんじゃろうか?)


 ただの偶然である。ナイショの理由も違う物だ。別にシュンローに特別なモノがある訳ではない。


「でもこれどうしようか、家までたどり着けんだろうが死なれたりしても気分悪いな」

「まぁ頭が少しでも回るなら勝手に帰って行きますよ。私達の場合登って来た場所付近でなら精霊の力を使えてました。それを覚えているなら戻っていくでしょう。まぁ私みたいに生け贄を置いて行くかも知れませんがね…」


 後半は自嘲気味に笑いながらの発言だった

 そして言うが早いか調査団は進むのを止め戻り始めた

 ただし誰も置いていかず全員で


「………くそう」

「そう腐るな」


 これは家風によるモノである。シュンローが所属していた火のエリクション家は『自分の物だからどう扱おうと自由』、今回の調査団を結成した土のヴォールフォート家は『自分の物だから壊れない様に扱う』と言う考え方である


「何の対策もしてなかったな。調査団で情報の共有とかはしなかったんだろうか」

「奴等仲悪いですからね」


 シュンローは忘れていた、今回の調査は四(・)名(・)家(・)の(・)連(・)名(・)だという事を

 次に来る水のケイヴ家の調査団には精霊術士だけで無く護衛の戦士、そして先に進む為の魔法使いが同行していた

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