謝罪
シュンローが落ち着いた頃を見計らい部屋に戻る福太郎
シュンローの汗は止まっており息も整っている、これなら大丈夫かと話を始めた
「落ち着かれましたか?」
「ええ、何とか」
「先程はうちの子達が失礼致しました。はい!みんな謝る!」
(((((ごめんなさ~い)))))
精霊達の声が聞こえた瞬間、シュンローの体がビクッと震えた
無理もないだろう、命を奪われかけたばかりなのだ
しかし体が震えた理由はそれでは無かったようだ
「い…今のは精霊の声ですか?」
「…?そうですが何か?」
「ご存知ありませんか?精霊の声が聞こえるのはその精霊が力を持っているか、もしくは聞く相手が力を持っているかのどちらかのはずです。残念ながら私には力がありません。であれば貴方の精霊が力を持っているという事です。そしてその力ある精霊を数体も侍らしている。…貴方はいったい何者なのですか?」
福太郎は居住まいを正し名乗る
「これは申し遅れました。ワ…私は八重樫福太郎、この屋敷の主で精霊達に王と呼ばれております。」
そしてシュンローはその整った顔を固まらせ意識は遠くに飛び去った
数分後、意識が戻ったシュンローはウォーターベッドから飛び出し、畳に両ひざを付けそのまま上体倒し手のひらと額も畳に擦り付けた
つまり土下座である、この世界においても土下座は深い謝意を表すものであるようだ
「精霊の王にあらせられるお方とは存じ上げず、真に失礼致しました。王たる方を軽んずる発言、精霊様方々のお怒りもごもっともです。罪を購えと仰るならばこの命、如何様にもお使い下さい。ですが!私の精霊達だけはどうかご容赦頂きたい!あの子らに罪はございません!」
「顔を上げてください!私は貴方をどうこうしようという気はありません。精霊の王という立場も精霊らが私を立ててくれているに過ぎません。自ら手に入れた訳でもない権威を笠に威張り散らす気など私には無いのです!」
焦る福太郎、ちょっと前まで土地をたくさん持っているだけの農家である。ここまで深い土下座を受けた事もなければ命を差し出された事など無い。もらった所で使い道などわからない
顔を上げる様に促すもシュンローは未だに顔を伏せている
「本当に害を及ぼす気はありません。ご安心下さい。精霊達にもその旨、言い含めております。ただ色々話が聞きたいのです。そのままでは話しづらいではありませんか。どうか顔をお上げ下さい」
ゆっくりとシュンローの頭が上がっていく、それでも土下座の体勢は全くブレない
「寛大なご配慮、真に感謝致します」
「お気になさらずに、体も崩して頂いて結構です。私も言葉の方を少し砕かせてもらいます。それで先ほど言っていた私の精霊というのは?」
「はい、私は精霊術士を生業としております。その相棒達でございます」
「精霊術士……今はその精霊はどこに?」
「はい、私の周…り…に……あれ!?」
周りをキョロキョロ見渡すが見つからないらしい
するとヒーとスーから助け船が入る
(そいつらならやしきのそとだぜ)
「なんでそんな所に?」
(おうさまのごぜんですもの、かんたんにおめどおりなどできませんわ)
「…スーちゃんはいつの間にそんな難しい言葉を覚えたんだい?」
(ほんはおもしろいですわね)
「なるほど、本を読むのは良い事だ。どんどん読むと良い。ただそれはそれとして意地悪しないで入れてあげなさい」
(べつにいじわるじゃないのに…)
(だよねぇ…)
ツーとフーが迎えにいった
視線をシュンローに戻すとまたも固まっていた
「…『スーちゃん』と言うのは精霊のお名前でしょうか?」
「そうです、正しくは『スー』ですね。ワシが名付けました」
「ここに居られる精霊、全員にお名前を?」
「ええ」
(つれてきたよー!)
ツーとフーがシュンローの精霊を連れて戻ってきた
親指の先ほどの小さな光と握りこぶし大の光、それがシュンローの精霊の様だ。シュンローの周りを1、2周し無事を確かめると背の裏に隠れてしまった
「貴方の無事を喜んでおられる」
「やはり声がお聞こえになられるのですね」
「ええ、今は恥ずかしがって隠れてしまいましたね」
「…幾つか質問させて頂いてよろしいでしょうか?」
「どうぞ?」
「今何体の精霊が居られるのでしょうか?」
「五人ですね、火、水、風、土、木の精霊だそうです」
「……もしや名付けられた精霊の方々にはもう一つ名前が有りはしませんでしょうか?」
「もう一つ…と言うより前の名前なら。そちらの名前をかなり嫌がっていたので私が新しく付けました。ただキーにはありませんでしたね」
「……やはり四大と原初…そういう事か」
「…ご説明頂いても?」
「もちろんです。私がここに居る理由、ここに来た理由。全てお話しさせて頂きます。」
結局シュンローは最後まで体を崩さず土下座の体勢を貫いた




