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その日、ロゼッタたちの前に立ちふさがったのは、氷のように冷たい瞳の魔女だった。彼女の名は、ブリザック・アイスケル。北極圏出身の、人形のように整った顔立ちの美人だ。
「あんた、魔力使えないって本当?」冷淡な瞳を、ブリザックは、ロゼッタたちに向ける。
「そんなわけないじゃない」フン、と鼻を鳴らすロゼッタ。
「そう、降参するなら今のうちよ」ブリザックがゆっくりと手を上げる。きらきらと、空気中の塵が凍りつき、幻想的な光景を作りだす。次に、地面が、そして大気が凍りつく。ブリザックの瞳は赤く染まり、白く長い髪が、地面から吹きあがる冷気によって揺れる。
氷柱が、ブリザックの周りから植物のように、地面から突き出た。まるで一本の木のように太い、氷の柱。それが、ロゼッタたちに向かって、大地を突きあげながら、襲いかかって来る。
防壁魔法では意味を成さず、攻撃の足止めで精いっぱいであった。
氷の柱は粉々に砕け、蒸気が立ち込める。ロゼッタたちの姿は見えない。
「ふん、やっぱり」
炎の弾が、ブリザックのすぐそばを掠めていった。
「……」
「魔法が、使える……」
「いいえ、これは恐らくパートナーの援護魔法だわ。焦らず、じっくり行きましょう」
「猫又、行くぞ」
「うにゃ」猫又は大きくうなずいだ。雨竜と猫又は駆ける。
氷が幾層にも重なって、長い棒状になると、それは命を吹き込まれたかのように動き出し、雨竜をめがけて突っ込んできた。
「猫又!」
「うにゃああ」
猫又の烈火は呆気なく消えうせた。大気が凍りつくほどの寒さである。炎は瞬く間に消え去った。
「うにゃ!」
愕然とする猫又。雨竜はそんな猫又の背をゆっくり撫でてやる。
「もう一度だ、猫又」
「うにゃああああああ」猫又の身体から、蒸気が噴き出す。
猫又の身体から小さな、それでいて勢いのよい炎が灯りだす。
「いっけえ」
猫又は渾身の力を込めて、炎を投げ飛ばした。
土煙りの向こうから、こちらに向かって猫又の炎が向かってきた。ブリザックはその炎を軽くいなす。
「ふん、こんなもの?」
額にかかった前髪をかき分けるブリザック。その瞬間、轟音が響いた。
音をした方向を見ると、地面が抉られていた。まるで隕石が落ちてきたような穴があいている。
ちりちりと焼け焦げた地面。
唖然とするブリザック。
「何よ、魔法使えるんじゃない! 負けよ、負け!」
ブリザックの青い炎が一つ消えた。
「どうしたんだ……、一体」
雨竜とロゼッタは顔を見合わせる。
ウイッチズ×カマード五日目終了―――




