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 ひとり、だった。

 ぼんやりと輪郭のない暗い部屋の真ん中で、私は不安にさいなまれ、肩を抱き、震えていた。

 いつも、森のなかで、ひとり一本の木に寄りかかって泣いていた。

 私は、何をすればいいのだろう?


 魔道師になりなさい。美しく、気高く、誰も寄せ付けないほどの風格の魔道師に。


 いやだよ、ぼくは、ただの…………

「ただの、ちっぽけで弱い魔法使いなんだよ」 


 彼の姿を始めて見たのは森の社。ちいさな泉のほとりで、彼は岩の上に鎮座し瞑想を行っていた。

 気になって声をかけてみた。 

「あの」

「わっ」

 少年は、驚いて石の上から転び落ちてしまった。

「てて」少年は腰をさする。

「大丈夫?」

「君は?」


「オズ、でいいよ」

 絶対的な努力の差。その黒髪の少年は、毎日毎日森へ行って、瞑想をしていた。雨の日も、風の日も、嵐の日も、猛烈な吹雪の日も、彼は石の上に座っていた。

 一度、どうしてそこまで頑張るのかをきいて見た事がある。

「約束なんだ」

 それしか、彼は口にせず、また、オズもそれ以上知ろうともしなかった。

 ウイッチズ×カマードが始まり、組む相手がいなくて困っていたとき、彼は手を差し伸べてくれた。

 ぼくは、自分の人生を舐めていた。

 ぼくは一体、いままで何をしていたのか……

 彼の努力する姿を見て、ぼくも頑張ってみようと思ったんだ。

「僕と組もうよ」

 差し出した手をオズワルトは握る。

 攻撃魔法を使えないもの同士。ものの見事に初日で三連敗した。

 悔しそうに雨竜は地面を見下ろす。

「雨竜……」

 ぼくに努力することの大切さを教えてくれた、大事なひと……


「ん、またお前の王子様のこと考えていたのか」

 意地の悪そうな表情で、オズワルトを覗き見る。

 フードを深くかぶり直す。

「そんなんじゃないよ」

「王子様なんかじゃないし」

 そんなことより、と話を切り、グウィンは、空を見る。

「学長に頼まれて動いているけどよぉ、全然動かねえな」

 歯噛みするグウィン。

 ウイッチズ×カマードの始まるまえ、グウィンは学長の前にいた。

「君には、私の孫がパートナーになるんだ」

「それは分かってる」

「それと、君にはもうひとつ、やってほしいことがある」

「なんだ?」

「黒魔術師がこの学内にいる、無理はしなくてもいいが、期間中は先生の介入はできるだけ避けたい」

「ま、すぐに見つけ出してギタギタにしてやるよ」

「ふ、それでこそ竜殺しの末裔だ」


「どういうこと、なんだろうか」

 雨竜とロゼッタは、真剣な表情で話しあっていた。

「何かの介入……だろうけれど」

「あれは炎属性魔法だったわけでしょ。てことは、」

 雨竜は参加者名簿を見る。

「知っている限りだと、みんな負けてるみたいだね」

「うーん、あれだけの威力の炎属性の魔法」

「じゃあ、アンデルセン先生が?」

「講師の戦闘に加担する行為は、禁止されてるのよ」

「うーん」

「まあ、考えても仕方ないし、今日まで残れたのは、あんたのおかげよ」

「そんな、ロゼッタがいなかったら、ここまでこれなかったよ」

「攻撃魔法も使えないのにね」

「あはっ」

「私は、魔法が使えないし、あんたは、攻撃魔法は使えないのよ。それで、ここまで勝ち残っているなんて、なんだか、おかしくって……

「それに、あんたといると、なんだか楽しいわ」

「私、こんなに他人と話したことないかもしれない」

「雨竜の国の事、聞かせてくれない?」

「日本っていう国だよ」

 雨竜の顔が明るくなった。ロゼッタはなんだか嬉しくなった。



 女子寮内 

-学生食堂-

 ランクによって食事も決定される。Eランクはパンとスープのみ。それがランクが上がるごとに変化する。

 隣には、優雅に食事をするエウリア・ペンドラゴンの姿があった。彼女はレモン色の髪を揺らしながら、フォークを使い、

 口を拭う。

「彼には気をつけてください。あれだけの魔力を引きだす能力があるというのに、その魔力をどこかに隠している」

 ペンドラゴンは、真剣そうな目でロゼッタを見つめる。

「大きなお世話よ」

「貴方を心配して言っているのです」

「彼は私と同じ、召喚系の魔法使いです。召喚にはもちろん魔力を消費するのですが、」

 もしかしたら、黒魔術師は、雨竜宗佑ではないのか、という。

 

 どうしてそんな簡単なことに気がつかなかったのだろうか……


「それも、罠かもしれない」

 この学校で、呪術の解除を行えるのは、雨竜宗佑しかいない。ならば、私が彼の所に行くのは必然であろう。


「なに?」スニッカスニーの向かい側にいるのは、雨竜であった。

 彼は

「ロゼッタ・ミルドレッドは魔法を使えないんだ」


 ウイッチズ×カマード 日目終了



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