東西南北の子爵領陥落
東西南北の子爵領が攻撃されたとの情報が入り、
急遽王宮で作戦会議を開いた。
森から戻って来たばかりの遊星、テラ、セレナ
達も会議に参加した。
王様が総司令官に聞く。
「どうするべきか」
総司令官は答えた。
「東西南北を攻められた以上、加勢に行けば王都が
手薄になって攻められる恐れがあります」
王様が総司令官に改めて聞く
「それでは何もしないと?」
総司令官が答える。
「王都の防衛体制を図るべきです。公爵領、侯爵領
も含めて、どのような防衛対策を取るかですが、
時間はありませんので、各領地から指揮官を早急
に集めて急ぎ防衛策をねります」
続けて、
「危険な任務になりますが、各子爵領に情報確認
に何名か送れると良いのですが」
そこで遊星が発言した。
「我々が確認に行きましょう。子爵領外までは赤竜
に乗って行き、見つからない場所で降りて、
その後侵入したいと思います」
王様が言った。
「危険だが良いのか?赤竜があれば確かに短時間で
子爵領まで行けるだろうが」
遊星がテラとセレナを見て、二人が頷いたので、
「一度、ホテルに戻ってから支度を済ませて出かけ
ます。」
と言って、部屋を出た。
ー少し前、東の子爵領ー
子爵領地に向かって、飛竜が向かって来た。飛竜の
色は赤ではなく青色であった。
40~50匹の青竜が近づいてくる。近くまで来ると
青髪の角を生やした魔人達が乗っているのが見えた。
子爵と宰相とその家族たち、その横に親衛隊隊でセレナ
の姉エレナと、親衛隊副隊長のカペラがいる。
子爵は
「青の魔人は東の魔人達。東の魔王は友好的な王の
はずだが何故?北の魔王の軍門に下ったのか?」
エレナはカペラに言った。
「作戦通りに、各隊長に指示を出し、全兵士を作戦通り
の配置につかせよ、但し、弓隊は敵が攻撃する意思が
あるのか否かを確認してから矢を射る事とする」
カペラは
「その確認をするのは誰があたりますか?」
エレナは
「私が赤竜に乗って行くので、カペラは護衛に後ろから
ついてきて欲しい」
カペラは
「はい、わかりました」
エレナは北の魔人ではなく、友好的だった東の魔王軍で
あったので、話をしてから攻撃する事にした。
東の魔人たちは、水の魔人と呼ばれ、水を操る魔法を
使って来る魔人隊であった。
城壁上に弓部隊が待機し戦闘態勢を取る。上空で青竜達
が空中で静止した。
そこへ、子爵邸から2匹の赤竜が飛んで行き水の魔王の
前に1匹が、その少し後方下側に1匹が待機する。
水の魔王の前に静止した赤竜に乗っていたのはエレナ
である。
エレナが水の魔王に質問した。
「友好的な東の魔王様が部隊を編成して何しに来られた
のですか?まさか子爵領を攻め落とそうとは考えて
おりませんよね?」
水の魔王が言った。
「やむなき事情があり、この子爵領地を占拠しに来た
出来るだけ戦いたくないので降参する事を勧める」
エレナが
「貴方は、北の魔王の配下に着いたのですか?」
水の魔王が言う。
「やむなき事情はあるが、その通りだ」
エレナが
「それでは、戦うしかないですね」
エレナとカペラの赤竜が子爵邸に引き返しながら、
弓部隊に合図を送った。
子爵の息子が叫んだ
「矢を放て!」
城壁上から、青の魔人達に矢が放たれた。
それに対して、青の魔人達は人が包まれる程の
大きさの水球を無数に放った。
青竜何匹かに矢があたり城壁外に下降した。
城壁の弓部隊は、水の魔人達が放った水球に
飲まれて水球の中で息が出来ずにもがき苦しみ
ながら倒れていく。
弓部隊が倒れたのち、水球がはじけ子爵領兵達
は城壁上で倒れている。そこへ水の魔王の配下
の救護隊が子爵領兵達に対して水を吐かせ蘇生
する。蘇生した兵士たちは、魔王の配下の捕獲
隊がロープで縛り上げる。
城壁内の子爵領内も魔人を乗せた青竜が飛び回り
水球をばらまき、城壁内の兵士たちは次から次か
ら水球に飲まれて倒れていく。
城壁上の兵士同様に、蘇生部隊が蘇生し、捕獲隊
がロープで縛り上げていく。
水の魔王は、女魔人と数名の魔人達を引き連れて
子爵領に向かった行く。子爵領の前に着くとエレナ
が待ち受けていた。
エレナが左腰から剣を抜き構える。
そして魔王に向かった切りかかるが、
再度女魔人が剣を受ける。
暫く剣で打ち合っていたが、
エレナが「剣の舞」と叫び、踊るように剣を振るう。
そして女魔人を圧倒する。女魔人は、少しずつ傷が
増えて行く。その時エレナと女魔人2人は水球に
包まれる。
水球内ではエレナは息が出来ないが、女魔人は息が
出来る。水の中は相手の戦場であり、エレナは時間
を掛けられないと判断。必死に女魔人を倒しにかか
るが、必死になればなるほど苦しくなる。数分立って
エレナは呼吸が出来ず力なく倒れた。
水の魔王と女魔人と更に配下2名が子爵のいる部屋
まで突き進む。途中に出会った警備兵、親衛隊を魔人
達を水球に閉じ込める。そして倒れていく兵たちを
後から来る救護隊が蘇生し、捕獲隊が縛って行く。
そして子爵領主がいる部屋の前にいる護衛兵を倒し
たうえで、子爵領主のいる部屋に入った。
王の前に、カペラと他に親衛隊員一人、その後ろに
王都、王妃と王女がいる。
魔王が話す。
「子爵よ、貴方方に手を下すつもりはありません。
子爵邸内に幽閉するだけです。親衛隊の皆さん
は牢に入ってもらいますが」
子爵は聞いた。
「息子は、どうなった」
魔王が聞いた。
「息子はどこにいた?」
子爵は言う。
「城壁上で、弓部隊に指示を出していた」
魔王が言う。
「全員捕獲したので、その中にいるでしょう」
子爵は最後に、
「分かりました。降参します」
ー少し前、西の子爵領ー
子爵領地に向かって、飛竜が向かって来た。飛竜の色は
赤ではなく黄色であった。
40~50匹の黄竜が近づいてくる。近くまで来ると
黄髪の角を生やした魔人達が乗っているのが見えた。
子爵とその家族たち、宰相、その横に親衛隊隊長と
副隊長がいる。
子爵は
「赤の魔人では無く黄?、西の雷の魔人達が何故?
西の魔王は友好的な王のはず」
親衛隊隊長が副隊長に言った。
「作戦通りに、各部隊に指示を出せ」
西の魔人たちは、雷の魔人と呼ばれ、雷を操る魔法を
使って来る魔人であった。
東の子爵領と同様に城壁上に弓部隊が待機し戦闘態勢を
取る。上空に黄竜達が到着した。
弓部隊長が叫んだ
「矢を放て!」
城壁上から、雷の魔人達に矢が放たれた。
それに対して、
雷の魔王が指示を下す。
「雷を落とせ、作戦通り感電する程度に」
城壁の弓部隊は、雷の魔人達が放った雷に打たれ
感電して倒れていく。
弓部隊が倒れたのち、雷魔王の配下の救護隊が
子爵領兵士達に対して感電を解いていく。
感電を解いた兵士たちは、雷魔王配下の捕獲隊
がロープで縛り上げる。
城壁内の子爵領内も魔人を乗せた黄竜が飛び回り
雷を落としながら、城壁内の兵士たちは次から次か
ら感電して倒れていく。それを救護隊が感電を解い
て、捕獲隊がロープで縛り上げていく。
雷の魔王は、配下の魔人達を引き連れて子爵領に
向かって行く。
途中で出会う兵士たちは、感電、蘇生、捕獲を繰り
返しながら子爵の部屋に着いた。
子爵と家族がいる部屋に入った後、魔王に勧められ、
子爵は降伏した。
ー少し前、南の子爵領ー
子爵領地に向かって、飛竜が向かって来た。
飛竜の色は赤ではなく緑色であった。
40~50匹の黄竜が近づいてくる。近くまで来ると
緑髪の角を生やした魔人達が乗っているのが見えた。
子爵とその家族たち、宰相、その横に親衛隊隊長と
副隊長がいる。
子爵は
「緑の魔人?、風の魔人が何故?
南の魔王は友好的な王のはず」
親衛隊隊長が副隊長に言った。
「作戦通りに」
南の魔人たちは、風の魔人と呼ばれ、風を操る
魔法を使って来る魔人であった。
更に、南の魔人の妻は樹木の魔女と呼ばれて、
茨の蔦や草木を操る魔法を使って来る。
他の子爵領と同様に城壁上に弓部隊が待機し戦闘
態勢を取る。上空に緑竜達が到着した。
弓部隊長が叫んだ
「矢を放て!」
城壁の上から、魔人達に矢が放たれた。
ところが城壁上の足元から、緑の蔦が生えてきて
兵士達に絡みつき身動きが出来ない。
兵士たちは巻きついた蔦が解かれたあとに、風魔王
配下の捕獲隊がロープで縛り上げる。
城壁内の子爵領内も魔人を乗せた緑竜が飛び回り
同様に地面から生えた蔦に体を絞られ、その後
捕獲される。
雷の魔王と樹木の魔女は、配下の魔人・魔女達を
引き連れて子爵領に向かって行く。
途中で出会う兵士たちは、風の魔人に風圧で廊下の
突き当りの壁まで飛ばされ壁にぶつかって倒れる。
それを捕獲隊に縛られる。
子爵と家族がいる部屋に入った後、魔王に勧められ、
子爵は降伏した。
ー少し前、北の子爵領ー
子爵領地に向かって、飛竜が向かって来た。
赤竜であり、北の魔人達である。
30匹程の黄竜が近づいてくる。セレナの村で不足
した分を補充してやってきた。
先頭竜の上には赤髪の角を生やした火炎の魔人が
乗っているのが見えた。
子爵とその家族たち、宰相、その横に兵士の総司令
官がいる。
子爵は
「ついに赤の魔人が攻めてきたか、敵は我々を
皆殺しするつもりだ、負けたら死ぬと言う事だ、
全員命を懸けて戦う必要がある」
兵士の総司令官が
「子爵様、貴方ら家族だけでも隠し通路から逃げて
下さい」
子爵は
「覚悟はできている。宰相よ指示した通り、私と
息子は戦うので、妻と娘を連れて逃げてくれ」
奥方と娘は
「私たちも、戦います」
子爵は
「お前と娘が助かれば、私の家系は残る事になる。
家系を途切れさせないでくれ」
宰相は、奥方と娘をつれて隠し通路に向かった。
総司令官は、女騎士2名を護衛に付けた。
子爵様、一声をお願いします。
子爵の2階のバルコニーから外の兵達に対して
声を張り上げた。北の魔人達を壊滅させろ!
兵たちは「オ~!」と声を張り上げた。
家族は公爵や侯爵領に避難済みであり、兵士以外
は成人の男たちだけが残っていた。
兵士たちの配置は、ほとんどが他の子爵領と同じ
配置で、城壁上には弓部隊が待ち受け、赤竜に
乗った魔人部隊が近づくと、ここでも子爵の長男
が弓兵に指示を出す。
「弓を射れ!」
戦いが始まった。赤竜に一斉に矢が放たれる。
火炎の魔人が、
「火で矢を燃やせ!」
一斉に火が放たれ、矢は赤竜に届く前に燃え落ちる。
逆に、魔人達が弓を構えた。
火炎の魔人が、
「矢を放て!」
上空から矢が放たれ、城壁の兵士達は盾部隊の盾で
防いでもらうが、一人また一人と矢で射ぬかれていく。
魔人達は、子爵領は占領する予定なので、火で燃や
そうとはしていない。
城壁上に赤竜から飛び降りる魔人達、城壁内の子爵
領地に飛び降りた魔人達は大きな剣を振り回す。
兵士たちがかかていくが、魔人達は今日かゴム状の
防具を身に着けており、兵士の剣が魔人の肌まで
届かない。
魔人に次々と兵が倒されていく。建物の間からは
平民の男達が槍を持って突っ込んで行くが、魔人
達に切り倒されていく。
火炎の魔王は、子爵領に一人で進んで行き、子爵
の親衛隊や護衛官を切り倒していく。
そして子爵がいる部屋の前について、部屋前の
護衛官を切り倒す。
火炎の魔人は子爵がいる部屋のドアを蹴り破り、
中に入った。
子爵の前に、総司令官と、親衛隊長、聖騎士長
護衛官長が正面に立ち剣を構える。
総司令官が言った。
「一斉に切りかかるぞ」
そして4人が一斉に火炎の魔人に切りかかる。
が火炎の魔人に切り倒された。
そして、火炎の魔人が子爵の前に立って、
にやりと笑う。
子爵は剣を構えて、火炎の魔人に切りかかり、
切り捨てられた。
東西何北の子爵領が陥落した。
但し、北の子爵領は全滅、東西南の子爵領は
無血陥落であった。
ー遊星達がホテルに着いた頃ー
ホテルに戻ると、一人の女性が近づいてきた。
例の、気配を感じないフードを被った女性であった。
彼女が遊星に言ってきた。
「お話があります。二人きりで」
遊星は、自分の部屋に彼女を先に通し、
テラとセレナには、
「先ずは、昼飯を済ませておいてくれ、
彼女との話はあとで伝える」
と言って、自分の部屋に入って行った。




