ひらけゴマって何のために言うの? 〜繋がりだした2E世界への入口〜
日曜日。娘が一心不乱に、クイズを書き始めた。
朝起きたら急に作り始めて、昼頃まで夢中になっていた。
迷路も、算数や図形の問題も、何枚も一気に書き上げていく。
私がなんとなく「色を塗ってみたら」と言うと、娘は一カ所だけに色を塗った。
「ワープゾーン。正解したらワープできるの。黄色が本当に光っているみたいでしょう」
塗ったワープゾーンを私に見せながら、目を輝かせて言った。
そして、バラバラだった数枚の紙を折ってホッチキスでとめ、手作りの本ができた。
「やってみて」
と、言われて本を受け取ると、そこには、まず迷路があった。
迷路の途中に問題が置かれていて、それを解きながらゴールを目指すらしい。正解するとワープゾーンが使え、早く先へ進める問題もある。
娘は昔から問題を作るのが好きだ。テスト問題を作り、自分で解いて、丸付けもした。
私はずっと、娘は問題を作ることが好きなのだと思っていた。
けれど今回の本を見ていると、少し違う気がした。
娘が作りたいのは問題そのものではない。
誰かに問題を解いてもらって、体験として共有したいのだ。
思い出すことがある。
以前、娘は夫とボールで遊ぼうとして、延々とルールを作り続けたことがあった。
「ダブルトリプルは6回ね!」
何が6回なのか、私にはわからない。夫はボール遊びが始まるのを待っていたけれど、いつまでも始まらない。
なぜか娘は、ボールと喋り始めた。
「私が10000点取った」
「パパはマイナス50点」
ボールは娘が持ったまま。夫も困惑し、そこにいるだけ。なのに、娘の脳内では、もう全てが終わっていた。
娘は楽しめた。けれど、周りはついていけなかった。
あの時は、娘の世界への入口がなかった。
今回のクイズ本は違う。
迷路がある。問題がある。正解したら進める。ワープできる。
誰もが、彼女の世界で遊べる。
共有できる。
娘は、この本を小学校へ持って行くという。
「みんなに解いてもらう」
作って終わりではない。私や夫だけでは足りなかった。なるべく多く、みんなに遊んでもらいたいらしい。
ランドセルを開けて、娘は作った本を筆箱に入れた。
娘はよく世界を作る。魚屋さんを作る。図書館を作る。踊りを作る。マイクラで仕組みを作る。そして今回は、クイズ迷路を作った。
以前は、娘の世界に行くための入口がなかった。あったのかもしれないが、埋まっていた。だから、誰も入り方が分からなかった。
娘は仕方なく、一人で遊んだり、ルールをなしにしたりした。
けれど今は違う。
スタートがあり、迷路があり、問題があり、ゴールがある。ワープもある。
「みんなに解いてもらいたい」
娘なりに、他者のことを考えている。参加者目線で、作れるようになっている。
娘は、今日も世界を作っている。
その世界へ続く入口も、作れるようになってきた。
「ひらけゴマって何のために言うの?」
夫が好きで、娘もいつのまにか興味を持つようになったピラミッド。と言っても、テレビでやっていれば見る、という程度だけれど。
今回見た番組は ツタンカーメン、クフ王、トトメス二世。次々とピラミッドが出てきた。
その中で、クフ王のピラミッドの入口は、元は盗賊が盗掘のために空けた穴だという話が出た。そのシーンを見て、娘が聞いてきた。
幼稚園のお遊戯会で「アリババと40人の盗賊」を演じたことを、思い出したのかもしれない。娘の役は、モルジアナだった。
年中の頃から2年間、なぜ「ゴマ」なのか、娘はずっと一人で考えていたらしい。
呪文を使う盗賊を見ていた。
娘も少しずつ、扉を開けられるようになった。
これから、入り口がたくさんできるのだろう。
ワープや、魔法の扉、呪文、隠し扉。
そして、友達に渡すクイズの本や、「一緒に遊ぼう」のひとことも。
無限に。




