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2Eギフテッドの完璧主義 繰り返せる絶望と突破

娘の完璧主義は、娘を苦しめているのか。


ピアノの前で癇癪を起こす娘を見る度に、私は悩む。


初見の楽譜を前に、娘は固まる。音符が多くて頭が混乱する。楽譜を見ながらでは思うように指が動かない。拙い音が出る。それがプライドに引っかかる。荒れる。泣く。それでも娘は弾くのをやめない。


やめさせるべきか、と思う。毎回のように思う。


娘はピアノを思ったように弾けない事で「こんな人生嫌だ。死にたくなる」と言った事がある。それでも、納得できるレベルで弾けた瞬間、そんな事を言ったのは忘れたように、ケロッとして喜んでいた。



初見の絶望を突破し、少し上達した段階まで来た今日の娘は、体を揺らしながら、楽しさを全力で表現しながら、聖者の行進を弾いている。


リズムに合わせて体が動く。口から適当な歌が出てくる。楽しさが体からあふれている。


「MrMaxの曲だから好き!」


と、娘は弾き終わった時に笑顔で言った。聖者の行進は、近所のディスカウントストアのイメージソングになっている。知っている曲が弾けた。それが嬉しい。


「もう嫌、出来ない!ピアノが悪い!ちゃんと弾いた音出してくれない!」


この曲の初見の日も、そんな事を言いながら娘は、怒りに任せて乱暴に弾いていた。


「今日はもうやめたら?」


そう声をかけた日もあった。けれど、私の声は娘に届かない。出来なくても、出来ても、やめるタイミングは自分で決める。それが娘。


例えば、情報量に苦戦する娘のために、楽譜の半分を私が隠した日があった。すると娘は怒った。けれど別の日、自ら楽譜の半分をもう一冊の楽譜で隠すと弾きやすくなると発見して、初見の時は半分隠すようになった。


口や手は出されたくない。なのに娘は「ママがいないと弾けない」と言う。


私はただ、隣で聴く。



娘のピアノは、なんとも素直に、心に正直な音が出る。荒々しい、楽しそう、繊細、雑。同じ子が、同じ曲で、同じピアノで、全く違う音を出す。



娘の完璧主義の苦しさには、構造的な理由がある。


頭の中の完成予想図が、年齢よりずっと高度な物を要求する。高いIQがそれを作る。けれど手は、発達性協調運動症のある6歳の子の手だ。


イメージと現実のギャップは、娘のせいではない。脳の設計が生み出す、宿命的なズレだ。


そのズレに、娘は幼い頃から苦しんできた。



工作でも同じ事が起きる。頭の中にある完成図を、手が実現できない。絶望する。癇癪を起こす。それでも手が止まらない。納得できるまで作り直す。


苦しみを抜けた先の楽しさは、最初から楽しんでいた場合と質が違う、と私は思っている。


出来なかった事が出来ていく嬉しさ、そして弾けた、作れた達成感。


完璧主義が、娘をそこまで連れて行く。


花丸をもらったら、また次の曲が始まる。


また楽譜の情報量に疲弊して、また思うように弾けなくて、また荒れる。


娘はそれを知っている。それでも弾く。ピアノは続ける。トルコ行進曲が弾けるように頑張ると、自ら言う。


だから、絶望する我が子を見ながら自問自答はするけれど、私は見ているだけ。


横にいるだけだ。





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