65自己肯定感
双子の従姉が来る前に国宝を眺める事が出来る事になった。クーフィアが半日時間を取ってくれるらしい。
「取り敢えず半日ですよ、ミカエラ殿。」
「ありがとうございます!!!」
「贋作は全て鑑定して排除していますから、正真正銘の国宝ばかりです。手袋を渡しますので触っても構いませんよ。」
「私も持っていますよ?新品。」
「もちろん存じ上げておりますが、防犯上の理由です。」
「分かりました。」
宝物庫。入るのだが防犯用の魔術具や身体チェックまでされるようになった。そんなので勉強させてもらえるならどうぞ好きなだけしてくれと思いながらチェックを終えて宝物庫で国宝を眺める。
「ゆっくりご覧ください。」
「いいのですか??」
「はい。ヘラルド様からミカエラ殿の希望が満足するまでと伺っているのと王妃様よりそれで素敵な新作がまた現れるなら見せるくらいケチるなと陛下に直訴されたので。」
何故王妃様が出てくる????気にしないで勉強させてもらおう。
「クーフィア様は良かったのですか?お仕事。」
「えぇ、大丈夫ですよ。ヘラルド様が真面目にお仕事をなさっていますから。」
そういうものなのだろうか。聞かないでおこう。余計な情報は仕入れない方がいい。余計なことは聞かない、知らない。私が知らなくていいことばかりにしておきたい。
夜間の護衛は流石に騎士団のようでレオンハルトは帰宅となるようだ。日中やることも無いからと護衛と言いつつ自分で石を削る練習をずっとしている。魔石の方が楽だと嘆いているがそれは無視する。
内職をしていたら双子の従姉様をもてなす為に婚約者候補に部屋を与えられたらしい。その配置と地図、家柄、序列記載の姿絵付きでやってきた。
「おおっ…双子嫁候補だから半分???いや、1人半分だとしても多いなぁ。流石上の人は規模が違う…」
「まぁ、兄上も縁談話はこんな感じだったはず。」
次期当主様の嫁狙いは多いですよね。そりゃ。
「そこから選ばれたのですか?」
「いや?多少の政略はあるけれどキチンと恋愛結婚。学園の2個上?だったかな。ミカエラも来てるんじゃない?縁談話。」
「いやいや孤児ですよ?私。後ろ盾やら身許保証とか色々あるじゃないですか。」
レオンハルトは姿絵を見ながら孤児って卑下するけどさ。言葉を出す。
「ミカエラは後ろ盾も何も無い孤児だけど、自分の技術力と発想力でほぼ生涯お金に困らない程の現金を持っているし、これからも入ってくるだろう?しかも実力で女男爵に叙爵もされている。普通の貴族の男でも家を継げないから爵位を買うことはよく聞くけど自分で買わずに手にしてるのはとても凄いことなのにどうしてそこまで卑屈になれるんだ?」
「卑屈というか、今まで人にろくな評価もされないで孤児だ女だと馬鹿にされて育って来たから当然のような…つい最近人に褒められたり評価されるようになって…どうしていいか分からないんです。」
「…取り敢えず褒めちぎればいい??」
レオンハルトの提案に首を横に振る。それだけは辞めて欲しい。
ただ、彼が私の経歴?を紹介した事で部屋にいる侍女達がこっちを見た。孤児という所なのか、自力男爵なのかどっちでもろくな事にならない。
「ヘラルド様も知ったら褒めちぎるになると思うけどな。」
「いやいや…その取り敢えず褒めちぎるは止めて下さい。」
「じゃあその卑屈さ?自己肯定感の低さを何とかしようか。」
「無理ですよ…自信があるのは仕事だけで仕事以外はポンコツなんで…」
仕事を卑下するのはその金額を払ってくれた人達に失礼だし、責任もって納品しているからそこは胸を張れるけれど、それ以外では無理だ。
「それだとこれからヘラルド様と(仕事上の)付き合い大変だよ?」
「…既に心がおなかいっぱいなくらい甘いセリフを耳元で頂いてます。」
貴族表現が多いからちんぷんかんぷんに近いけれど後で商業ギルドで聞いたら素敵な殿方とお付き合いしてるのねと言われたので口説き文句多数だったことだけは分かる。
「の割に平気そうだね」
「貴族らしい言い回しが多くて直ぐに意味が理解できないので後々調べたら小っ恥ずかしい事を言われてたと分かるからなんですけど。」
「自己肯定感低いと貴族の奥様を相手にするの大変だから慣れた方がいいよ。褒めたりしないといけないんだよね?」
「え?私商品説明はしますけど、余計なことは言いませんよ。ちなみにレオンハルト様この中で私とお友達に慣れそうなお嬢様方います?」
「友達?兄上に推薦の方がいいと思うけど。」
「ヘラルド様に色々お願いされてましてこの中に友達になれそうな人がいたらなっておけって。」
というよりも私が仕事で楽をしたかったら友達を作れにしか聞こえなかったけれど…
「それ俺に聞く?」
「聞ける人そんなにいないので。」
頼りにしているけれど、彼からは未婚男性の意見は信用しない方がいいと言われてしまった…




