第2話 決闘
自己紹介をした勝盛。
「サツマァ?聞いたことないねそれに苗字を先に言うなんて珍しいね」
老婆が反応する。
「ああこの世界じゃないと思う」
「と言うことは滅ぼされたってことだね。大方狩りから戻ったら集落が滅んでたってところだね。それに苗字を名乗るってことは族長の一族ってことさね」
勝手に憶測されてそのままその設定で行こうと決める勝盛。
どうやらこの世界は苗字が全員ついているわけじゃないらしい。
「そんなところだ。それで行く当てもないんだが住まわせてくれると助かるんだが。勿論何かしら仕事は手伝う」
そう尋ねるとざわざわしだす。
「よそもんを住まわせていいのか?」
「普通は同じ部族だけが一緒に住むはずだが」
色々と騒がれる。
「そうさね。あんた歳はいくつだい?」
「十五だ今年で十六だ」
「ほーもう成人の試練の歳だね。うちの部族では十五になったら一人であそこの山でグーマを狩りに行ってようやく大人として認めてもらえるんだ。早速だが狩りに言って力を示してくれればあんたを住まわせるのを認めるよ」
指を刺され大きな山を示される。まるで地元の桜島の様な山だ。
「そのグーマがわからないし武器がない。狩りの同行者が欲しいのと武器を貸してくれないか」
「それはもちろん構わんよ。悪いけど同行してくれるかいミギーとダリー」
先程の大男二人が指名される。
「いいぞババア」
「俺もよそもんがどんな腕前か見てみたいし。滅んだ族長の一族がどんなもんか見てみたい」
そう言って肩を組んでこちらにやってくる二人。
「おう俺はダリーよろしく」
「俺はミギー武器は俺の剣を貸してやる」
「ああ、ありがとうよろしく」
手渡された武器は剣で刃先の上部分が緑になっており変わった色合いの鉄の剣だった。
「お!気づいたな変わった色だろ。これはうちでドワの部族が加工してる。オリハンっていう金属の剣だ。そこの山で採れて普通の金属より硬くてな。加工が難しんだがドワの部族ならできるんだ」
珍しいのもあるが鞘もないため危なっかしいし。どうせなら弓か日本刀がよかったと思っている勝盛。
「ああ初めて見た」
「だろだろ!一応聞くがカツモリは武器を使ったことはあるよな?」
「当然!薩摩の子なら武器の扱いを熟知してないといけない小さい頃から薩摩示現流を学んでいた!一の太刀を疑わずまたは二の太刀要らずと言って、髪の毛一本でも早く打ち下ろせがモットーの先手必勝の剣技!」
よくぞ聞いてくれたと言って満面の笑みで答える勝盛。
「お、おう」
勝盛の圧に押される二人。それを聞いた集落の人々の中から一人の男が声をかけてくる。
「ちょっと待て!そのよそものがうちの部族を襲うと企むよその部族のスパイだったどうする気だ?」
当然の疑いがかかる。
「た、確かに」
「それもそうだ」
そう言われると二人も距離を取って警戒し始める。
「私は族長の娘”オーサ ドニ”お前が二人を連れて殺しにかからない保証はないし。よそ者を簡単に受け入れるわけにはいかない。しかもお前は族長の一族を名乗っているならば、その力を見せろ。どうやら自前で木剣を持っている程だ。さぞかし自信があるのだろう?ならば今から私と決闘だ!」
金髪の長い髪の勝盛と同じような年齢の女性が胸を出して堂々と決闘を挑んでくる。どうして決闘で疑いが晴れるか晴れないかが決まるのかよくわからないがなるがままでいこうとする勝盛。
「いいだろう族長の娘!オイが勝ったら疑いを晴らして一族に迎えてくれるってことでよかね?」
「ああいいだろう。それと私が勝ったらお前は追放。嫌ここは情報を渡さないためにも殺しておくか」
物騒なことを言い出すオーサ。
「こいつは見物だ!」
「族長の一族同士の決闘だ」
「滅んだ一族の生き残り対族長の娘いいね!」
そう言って集落全体が騒ぐ。
「おいおいどういう状況だ?」
大きなイノシシの様な物を片手で持ち上げたままやってくる今までで一番デカい体格のいい男がやってくる。
「族長!よそもんの滅んだ族長の一族が来てオーサと決闘になったんですよ」
「よそもん?そいつはいいな。女とは言えオーサは集落で俺に次ぐ強者だ。おい!よそもんお前が勝てばオーサをくれてやる!族長の一族の話が本当ならな。だが負けたら家で飼ってるヤーミの餌だ」
そう言ってヤギの様な見た目の動物を見せられる。
「つまり死か生きるかか。薩摩の子がここで逃げたら薩摩の恥!オイが見せちゃる薩摩のすごさを!」
そう言うと周りも盛り上がりオーサと勝盛以外が遠のき集落の全員に囲まれる。
「さあこれで逃げ場もねえ男なら力で証明だ。それじゃあはじめ!」
持っている竹刀を慌てて構え。相手もやじ馬から木剣を投げられキャッチして襲い掛かる。
「おらぁ!」
女性とは思えない、いかつい掛け声で木剣をふるうオーサ。だがこの世界に剣術などないのが一発でわかる素人な動きでただ単に運動神経の良さだけで動いているのがわかってしまう。胸が丸出しで攻撃されているにも関わらず心揺るがない勝盛。
「どうした避けているだけで力は示せないぞ」
そういって何度も木剣を振り下ろされるが簡単に避ける勝盛。
「なっとらん!そいはただ剣を振ってるだけ。そんなんじゃ死ぬぞ」
力も強く動きはいいが本当に素人だ。
「それなら力を見せて見なさいよ!」
上段からの大振りを竹刀でいなして体制を崩させられるオーサ。
「今のはよか!よーく見ん見れ!受けてはいけないと言われる薩摩の一太刀」
そしてこちらも上段に竹刀を構えて大きくふるおうとする。
「なんだそれは隙だらけだ」
今だとばかりに木剣を叩きこもうとするが本能的にガードをしなければと思い木剣を横にして耐えようとする。
「よか反応。剣の才はあるようだけどさっきも言ったように受けてはいけないのが薩摩の剣!いざ!薩摩ぁああ!」
謎の掛け声で振り下ろされた竹刀は木剣を軽く押しのけて見事にオーサの頭に命中させて気絶させる。
「!!!!」
全員が驚いて無言になる。
「こいでよかね?一族に迎えてもらっても?」
キョトンとしている皆々にそう言い放つと。
「おおおすげーなんだ今の」
「力押しだが本当に受けちゃあいかない一太刀だ今のは」
そういって盛り上がる面々。
「はっはっはっはっは!一撃かオーサがあながち嘘じゃないみたいだなよしサツマァ カツモリお前はこれから仲間だ。」
族長に言われ力さえ示せば大体どうにでもなるというのがこの部族らしいという頭に叩き込んだ。
「どうも。それじゃあ早速山の方に」
そう言ってせっせと行こうとすると。
「まあ待てもう遅い。家で飯食って明日にしろ。力はある程度分かった。当然成人の証明はしないといけないが今日中じゃなくてもいい。さっきババアに話しを聞いたから二人には明日朝からって言っておいたからお前もそのつもりでいろ」
そう言って気絶したオーサを軽く持ち上げて家に連れていく。
「分かりました。ところで族長の名前は?」
「ん俺か?俺は”ゾーク ドニ”だ。とりあえず成人したらお前の親父になる。その時は族長じゃなくて親父って呼べよ」
どうやら嫁の話は本当らしい。戦闘の際は戦闘に集中できたが今見るとやばい恰好だ。そう思いながら勝盛は家へと向かうのだった。




