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朝の挨拶を済ませてからシャワーを浴びた。女の体でシャワーを浴びるのはこれで二回目だけど、まだ慣れない。自分の体が恥ずかしくて、シャワーを浴びながらずっと照れていた。体を拭いてから着替えた。クスがもう服を用意してくれていた。


準備が整って、二人で家を出た。バス停に向かう途中でコンビニに寄って、俺はパンと牛乳を買った。クスも同じものを買った。


「俺と同じもの好きだな、ビュウ。朝はいつもこれを買いに来るんだよ」


「そうなんだ」

そう言うと、クスがこちらを見た。


「あんまり考えすぎなくていいよ、ビュウ。信じてくれ。お母さんもきっとわかってくれるから」


「うん!ありがとうクス」


ドクン、ドクン、ドクン。


また心臓が速くなった。なんでだろう。クスが何か言ったり、してくれたりするたびに、こうなる……


「ありがとうございました」


コンビニを出てからスクールバスに乗った。乗客が少なくて十分ほど待った。パンをかじりながらスマホを開いた。お母さんはメッセージを読んでいたのに、返信がない。なんでだろう。きっと仕事が忙しいんだろうな。そう思っているうちにバスが動き出した。


「ねえ、ビュウ。ちょっと聞いていいか」


「何、クス?」


「く……変態とか思わないでくれよな」

クスが赤い顔で照れながら言った。


「下着、つけてないよな……」


「あ、そっか……」

クスのほうを向くと、顔が熱くなった。


そうだ、そのことを全然考えてなかった。ずっと別のことばかり考えてて。改めて自分を見てみると、クスの服はサイズが大きくて、首元が広がっていて、胸元が少し見えていた。それより問題なのは、胸のあたりが張っていること。……恥ずかしすぎる。


「買わないといけないな、やっぱり」


「そうだね」


話しながらバスが学校前に着いた。俺とクスは反対側に渡って、建物が並ぶ路地を曲がって歩いた。家まであと少し。頭の中が真っ白で、何も考えられない。ただ前に進むだけだと思っていたら——


腕輪から紫色の光が溢れ出した。また同じ光だ。女になる前にも、この光が出た。体が熱くなって、重さが戻ってくる。体がゆっくりと伸びるような感覚。胸のあたりが軽くなって——


俺は男に戻っていた。


ピンポーン、ピンポーン。


「はーい、ちょっと待ってください、今開けますね。もう、朝からだれが来たの……昨夜やっと着いたばかりで全然寝てないのに。おばさんが言ってたよ、ビュウがいないって……」


「ただいまです」


「び……ビュウ」


俺が家のチャイムを押すと、お母さんの車はなかったけど、見知らぬ靴があった。誰かいると思っていたら、やっぱりそうだった。


「パンヤー、久しぶりだね。大きくなったね」


「ビュウ、その子って彼氏?」


よりによって帰ってきた途端に、いとこの妹と鉢合わせるとは。しかもクスを見るなり彼氏扱いするし。


「ちょっと待ってヤー、聞いてくれよ」


「え、マジで!? BL系だったの!? 教えてくれなかったじゃん。ていうかどっちが攻めで受けなの、教えてよ」


「ヤー!ちゃんと聞けって!」


「あ、ごめんごめん、つい頭が勝手に。で、何?」


「まず中に入れてくれないか、俺たちを」


「どうぞ」


「なんでその言い方知ってるんだよ」


「知ってるよーだ」


ひとしきり話してから家に入った。ヤーが昨日ここに来た経緯を話してくれた。ヤーのお母さん——俺の叔母さん——が海外に転勤になって、ヤーを預けることになったらしい。手続きも全部済んでいるとのこと。お母さんは叔母さんと食事に行ってて、それでメッセージを返せなかったのか。酔いすぎないといいけどな。


なんで海外転勤なんだろうと少し気になったけど、まあいいか。今は男に戻ってる。女になったことはまだ秘密にしておかないといけない。正直、複雑な気分だ。クスがずっと励ましてくれてたのに、なんか無駄になった感じがして申し訳なかった。


「その腕輪、かわいいね、ビュウ。どこで買ったの?」


「え……あ……うーと……」


「まさか彼氏にもらったとか言わないよね」


「ヤー、違うって言ってるじゃん」


「わかってる、自分で買ったんでしょ。でもすごくかわいいね。紫が好きなんだ。私は赤のほうが好きだけど」そう言ってからクスのほうを向いた。「で、あなたは名前なんていうの?ビュウの新しい友達?」


「あ、自己紹介するの忘れてました。二人が話してたから割り込めなくて。クスといいます」


「クスかあ……かっこいい名前。私はパンヤー、ヤーって呼んでくれていいよ」


「よろしく、パンヤー」


「こちらこそ。ていうかご飯食べた?冷蔵庫にお母さんが昨夜買ってきたやつあるから、好きに食べていいよ。私はちょっと寝てくるね」


「おやすみ」


「別に言わなくてもよく寝れるけど」


そう言いながらヤーは部屋に入って、家のことを俺に任せていった。


「賑やかな家族だね、ビュウ」


「まあね。一個下の妹なのに、友達みたいに接してくるんだよな」


「そうなんだ」


「ははっ、そんなもんだよ。ていうかどうしようクス、せっかく来たのに俺が男に戻っちゃって、学校も行ってないし」


「でも大丈夫だよ。まだ二日目だし」


「そうだよね。じゃあどうする、ご飯食べる?それとも散歩でも行く?」



「俺はまだそんなに腹減ってないな。パンで少し満たされてるし、先に食べてていいよ」


「お前が食べないなら俺も別にいいよ。近くにショッピングモールあるんだけど、ぶらっと行かない?」


「いいよ、外で待ってるね」


クスが外で待っている間に、鍵をかけてヤーに渡して、財布を持って外に出た。


「行こうか、クス」


並んで歩いてモールへ向かった。モールの前に、同じ制服を着た先輩らしい三人組がいた。登校前にぶらっと来たんだろう。このモールは朝早くから夜遅くまで開いてるから不思議じゃない。


俺とクスが入ろうとしたとき、その先輩たちがクスに声をかけた。


「ちょっと、お前、風の属性使いじゃないか」


俺とクスはしばらく固まった。クスが振り向いて答えた。


「な……なんで知ってるんですか」


「何言ってんの、忘れたの?昨日の夜、ギルドに誘っただろ」


俺とクスはすぐに思い出した。


「あなたたちが、フードグループですか」


「そうだよ」

三人が同時に答えた。


まさか同じ学校の先輩だったとは。それからみんなで話した。三人それぞれ違う力を持っていた。


一人目はタイラー。火属性の力を持ち、さらに目に特殊な力"タイムアイズ"がある。近い未来を見通す力だ。ただしまだうまく制御できず、使うと体力を大きく消耗するらしい。悪魔族の力を並行世界から受け継いだもので、使うのを滅多にしないと言っていた。それでもあの夜、少しだけ使ってクスか俺と会う予感を得ていたらしい。すごすぎる。


二人目はメイ。ブースト系の力で、体のあらゆる身体能力を強化できる。この世界では頼りになるけど、異世界では少し物足りないかもしれない。でも悪くない力だと思う。


三人目はシリーン。召喚の力を持つ、グループ唯一の召喚使いだ。あのとき魔獣の狼を召喚したのも彼女だった。最初、俺は男だと思っていた。


「お前、性別が女に変わるのか?」

タイラーが俺に聞いた。


「は……はい。並行世界で目覚めたとき、もう女になっていて。最初は夢だと思ったんですけど、本当のことで。オーワという国に飛ばされて、クスに最初に会ったんです」


「似たような話、前に聞いたことがあるよ。ずっと昔の話だけど、並行世界で、ある魔法使いが女になったって伝説みたいな話があるんだよ。俺が並行世界に初めて行った頃に聞いた話だから、確かじゃないけどね」

「そうなんですか……」



ついに第7話までやってきました!まだ読んでくださっている皆さん、本当にありがとうございます!

これからも頑張っていきますので、どうかビウをよろしくお願いします!

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