21 「オスカー」
「ほっ、なかなかやるじゃないか。悪くない。おい、二人ともこの娘を着替え室に連れて行け。それが終わったら正門前で合流だ」
「はい!」
「旅向きの装束に着替えておくように」
アイアンプルを放ち終えた後、テンツは二人の女性に僕を宮殿内の着替え室へと連れて行くよう命じた。さらに旅用の装束まで用意させた。二人は僕を三階の着替え室へと案内した。上がったり下がったりで疲れないのかと思ったが、口には出さなかった。あっという間に三階へと着いて、数歩歩いたところに大きな扉があった。二人がそれを開けると、中には大きなタンスが八つほど並んでいた。そんなにたくさん必要なのかと思った。
「あなた、メジック使いよね?」
一人が訊いてきた。
「え……わかるんですか?! 私が……えっと、私がメジックを使うって」
こういう場面では「私」だ。
「そりゃそうよ。あんな変わった力で、しかもあれだけの威力があるんだから、メジックじゃないはずないでしょ。それに杖もね。こんな杖、初めて見たわ」
「そうなんですね……」
ふと、自分がなぜここにいるのか気になった。
「あの……一つ聞いてもいい?」
「どうせここにどうやって来たかでしょ。テンツ様が森の中で倒れてたあなたを見つけて、私たちに運ばせたのよ」
「そうなんだ……ありがとう」
「別に大したことじゃないわ。早く着替えて。テンツ様を待たせたら大変よ」
***
宮殿の朝、着替え室にて。
そこには三人がいた。
一人目は、女子同士でも見惚れてしまいそうな端整な顔立ちの女性。彼女の名はドレーク・カール——テンツ・グリフェラーの右腕だ。
もう一人は、テンツ・グリフェラーの左腕。並外れた豊満な体つきを持ち、通常の力の限界を超えた実力者。ハンス・カントロン。
「なんでそんな遠くで着替えるの?」
化粧台を挟んで反対側に立っている女の子が一人いた。茶色い髪、こぢんまりとした可愛らしい胸元。タンスから取り出した制服のような装束をきっちりと着込もうとしている——それがビウだ。
彼は二人が上半身を脱いで裸になっているのを横目に、必死に顔を背けていた。
「……」
ドレークはそんなビウの様子を見て口を開いた。
「私たち同じ女同士なのに、なんで恥ずかしがるの?」
「……」
「ドレーク、あなたと一緒に着替えるのが変な感じがするだけかもしれないわよ」
「……」
「私たちの裸を見たら慣れるかもしれないわよ」
「……」
ドレークは不思議そうにビウを見つめてから、ハンスと一緒にそっぽを向いているビウの方へと近づいた。
「なによこれ、天から授かった最高の胸だわ!」
ハンスが何も着けていない胸をビウの背中に押し当てながら飛びついた。ビウは体を固まらせて、顔が一気に真っ赤になり、鼻血が流れ出した。
「ち、血!きゃあ!」
ハンスに胸を背中に押し当てられたビウが飛び上がって驚いた。
「ごめん!大丈夫?鼻から血が出てるじゃない」
ハンスがそう言う前に、ドレークの鋭い視線が刺さった。
ハンスとドレークにはビウが遠くで着替えていた理由がわからなかった。顔を背けているのも不思議で仕方なかった。でもドレークはすぐに察した。ビウはあまり体を見られたくないようで、一緒に着替えるのを避けようとしていたのだと。
「な……なん……で……も……ないから……着替えを続けよう……」
ビウはたどたどしくそう言ってから着替えを再開した。
しばらくしてハンスがビウに盛大に謝り、鼻血を拭くための布を渡した。
「まあ謝ったことだし、着替えを終わらせましょう」
ドレークが着替え室にいる全員に向かって言った。数分後、三人は着替えを終えてテンツ・グリフェラーの集合場所へと向かった。
「そういえば、あなたって名前は何ていうの?」
ハンスがまだ名前を聞いていなかったとばかりにビウに訊いた。
「び……ビウ」
「ビウ?ビウっていうの?聞いたことない名前ね。この辺の人じゃないでしょ」
「うん、私はここの人じゃないんだけど……変かな」
「怒らないでね、ビウ。私たちテンツ様の両腕なんだけど、ビウっていう名前だと、ちょっと似合わなくない?」
「そうよ、テンツ様がその名前を呼んだら他の家の人に恥をかかせるかもしれないわ。きっとテンツ様にひどい目に遭わされるわよ。今のうちに変えておいた方がいい——つまりビウじゃなくて、別の名前で呼ぶってこと」
「オスカー」
ドレークがビウにそう言った。
「気に入らないなら使わなくていいけど」
「私は……」
「そう、ごめんね、気に入らなかった?」
ビウはしばらく考えてから口を開いた。
「断らないよ。仮名ってことね」
「すごいわドレーク。ビウに『オスカー』って名前をつけるなんて、最高じゃない」
「もう、早くしないと遅くなるわよ」
その後、三人はテンツ・グリフェラーの集合場所へと到着した。
***
どうやら僕はどこかの宮殿に紛れ込んでいたらしい。並行世界のどのあたりなのかはわからない。テンツ・グリフェラーという男に力を披露して、見慣れない外套のような旅装束を着せられた。中は緑色の上着、外側は胸元を覆う黒いマント、黒いベルト、マントに合わせた緑の手袋。おまけに名前まで「オスカー」に変えられた。二人のガイド役はちょっとドタバタしていたけど、結果的に大事には至らなかった。彼女たちがいなければテンツにひどい目に遭わされていたかもしれない。ドレークとハンス、二人には感謝しなければ。今は二人に続いて宮殿の正門前へと歩いてきた。とにかく大きな門だ。
「テンツ様、参りました」
「ほう、見せてみろ」
三人が到着すると、テンツは立ち上がって何かを確認するように僕たちを眺め回した。
ぱしっ
突然テンツがハンスの豊満な胸元を掴んだ。ちょっと待って、何をするつもりだ。
「ハンス、胸元のブローチはどこだ?」
「あっ!申し訳ありません、テンツ様。すぐに取ってまいります!」
「もういい。次は忘れるなよ」
「本当に申し訳ございません」
テンツは身なりに少し厳しいようだ。まあ王族の血を引いているなら、礼儀にうるさいのも当然か。
「ところで、あなたの名前は?」
テンツが僕の方を向いた。
「び……」
「オスカーでございます」
ドレークが先に言ってくれた。危なかった。うっかりビウと言いかけてしまった。
「ほう。そうか。ドレーク、ハンス、そしてあなた、オスカー。今回我々が向かうのはヘヴェル国だ。オスカー、知っているか?」
ヘヴェル!? ヘヴェルはサイビアの故郷だ。何をしに行くんだろう。獣族と半獣族が共に暮らす国で、兵士や騎士に侵攻されていた場所だ。
「獣族と半獣族が一緒に住んでいる国……ですね」
「正解。森から拾った甲斐があったというものだ。把握しているなら話が早い。では馬車が来るまでの間、あなたに役目を与えよう。あなたの能力でヘヴェル国への道中、私を護衛せよ。それができれば、あなたを私の第三の手とする、オスカー」
「了……了解いたしました」
来たばかりでいきなり護衛を任されるとは。しっかり集中しないといけない。
それから一時間ほど経った。今は馬車の中でドレーク、ハンス、テンツと一緒にいる。僕の役目は馬車の周囲からのテンツへの攻撃を防ぐことだ。門を出てからしばらくは何事もなく、森で出くわすモンスターを少し力を使って片付けるくらいだった。この並行世界では、モンスターは死ぬと溶けて消えてしまう。面白い。
「左!」
そう言ったそばから、ドレークとハンスが近くの草むらへと凄まじい速さで飛んでいった。僕が振り向くより早かった。
馬車から飛び降りて二人の後を走る。
「オスカー、あなたは馬車の後ろをついてきて。こっちは私たちで片付ける」
ハンスが叫んだ。言われた通り馬車の後ろをついて走りながら状況を見守った。それにしてもなぜ飛び降りてしまったんだろう。
しばらく馬車を追いかけていると、馬車が道の真ん中で止まった。前方に二人の男が剣を構えて立ちはだかっていた。
僕は馬車の前に走り出た。敵が何か叫んだ。
「@#$$@#$!」
まずい。走っている間に翻訳の魔法が切れてしまったようだ。でも前に敵がいる。時間がない。
ジタ波——
アイアンプルの構えをとろうとした瞬間、頭の中にある考えが浮かんだ。
もしアイアンプルを人間に使ったら、死んでしまうんじゃないか。
アイアンプルはあれだけの威力だ。人間に当てたら燃え尽きてしまうに違いない。でも前に敵がいる。使わなければ僕が死ぬかもしれない。あいつらがどんな力を持っているかもわからない。
「@%#$$!%#!!!!!」
一人が剣を叫びながら振りかぶって飛びかかってきた。
戦わなければ死ぬ世界
その言葉が頭に浮かんだ。どこかのゲームで覚えた言葉だ。
そうだ、戦わなければ本当に死ぬ。ならばクス、お前の力を少しだけ借りるぞ。
「渦巻け——迷宮のサイクロン、風と共に消え去れ!」
構えながら叫んだ。ジタ波を使う暇はない。ブレスレットが光った。杖が出てくる前に、手のひらほどの風の塊が目標へと飛んでいった。
ふっ
飛んでいった風は竜巻にはならず、ただ広がって空気を押し流しただけだった。
腕に少し力を集めた。しびれる感覚があった。でも風はどんどん強くなって、敵の剣を吹き飛ばした。
サイクロンを呼んだのにただの風圧になってしまったか。
「#@@#@##!」
後ろから二人の女性の声が近づいてきた。ドレークとハンスだとすぐわかった。
腕への力の集中を止めると、風はすぐに弱まった。
ちゅっ!
ドレークとハンスが敵の胸に剣を突き刺した。背後からテンツの拍手が聞こえた。
「パチパチパチ」
敵を片付けた。残ったのは地面に滲む血の跡だけだ。少し鳥肌が立った。でもドレークとハンスは主人であるテンツを守るためにやったことだ。
どうやらクスの力を真似することはできないらしい。サイクロンのつもりが、出てきたのは剣を吹き飛ばすだけの風圧だった。馬車に乗りながら、左手から風を出そうと試し続けたけど、これが難しい。指先から手首まで全体がしびれてしまう。それでもハンスとドレークのことが気になっていた。どうしてあんなに速く飛んでいけるんだろう。僕が馬車から飛び降りようとした瞬間にはもう向かっていた。体の作りなのか、スキルなのか、それとも力なのか。
考え続けていてもわからない。本人に聞くしかない。
ため息をついてから、また左手で風を出す練習を続けた。
ぱしっ
「ひゃっ!」
後ろから声がして飛び上がった。
「オスカー、さっきからなんでそんなことしてるの?」
ハンスが後ろからいきなり僕の胸を掴みながら言った。
「いきなり出てきたから驚いたじゃない」
「黙ってると思って」
「少し混乱してただけ。でも胸から手を離してくれない?なんか……」
「まあ可愛い胸じゃない。触られるの嫌いなの?なら言ってみなさいよ」
「た、頼むから……」
「ハンス!テンツ様をお守りしている最中でしょ!」
「はいはい、もうやめるわよ……」
ドレークが入ってきてハンスを引き離した。なんでハンスはいつも後ろから来て驚かせるんだろう。危なかった。胸を二回も触られてしまった。触られた感覚が変で、うっかり……いやよくない。
これでいいのか。
「ハンスのことはごめんね、オスカー」
「いや、大丈夫よ。ただ触られたとき変な感じがしただけで」
「お詫びに、その辺のことは大目に見てあげる」
「うん」
この件が終わって、ハンスと一緒にいたらまた体に触れるようなことがあるかもしれないとなんとなく思った。でもそこまで気にしていない。同じ女同士だし。……でもなんで自信が持てないんだろう。
馬車はヘヴェル国へと走り続けた。ハンスは上の屋根に乗って周囲を見張っている。ドレークはテンツの近くに座っている。僕は一番後ろで後方から尾行や追跡がないか確認しながら座っていた。道中は森と、草むらから飛び出してくる小さなモンスターしかなかった。それらに向けて風を放ち続けていたら、手がしびれてくる。でもすぐに治る。ゲームで技を使うとクールダウンがあるのと似ている。
それにしても目的地まで半分以上来ただろうか。テンツがあの国に何をしに行くのか気になる。ずっと風を放ちながら走っていると、一つ思いついたことがあった。
以前読んだマンガで、主人公が力の形と範囲をあらかじめ決めておいて、そこに全力で力を注ぎ込むことで必殺技を放つというシーンがあった。まずは自分の力の基本の使い方として、呪文を長々と唱えなくても、使いたい力の形を決めてから言葉で発動させればいいんじゃないか。そう気づいた瞬間、居ても立っても居られなくなってさっと立ち上がり「なんで今まで気づかなかったんだろう、いや前から気づいてたかも」と独り言を言ってしまい、馬車の中の全員が振り返った。
左腕を通ってきた道の方へと伸ばした。
頭の中で風の形を決める——球体。
範囲は遠くには飛ばさない。
力を絞り出す。
ただひたすら回転させる。何周かはわからない。
速度——アイアンプルを放つときと同じように、目標が反応できないほど速く。
少なくとも考えたことは無駄ではないはずだ。
放てる。
「エアボール!」
放った後にドスンという音がした。
反動で吹き飛ばされる感覚はない。なぜ「エアボール」が空気と反応しないのかはわからない。でも破
壊力はあるはずだ。
そう思ったとき、風の球体が道の真ん中まで飛んでいった。
成功……
と思いきや、目の前で球体が消えた。
失敗——
自分の目でしっかり見た。
でもその後、圧縮された風が一点に集まるような音が鳴り始めた。風の引力で周りの木が嵐のように揺れ始めた。地面はその力で穴が開いた。周囲の木々が一本ずつ吸い込まれていく。そして驚くべきことが起きた。
「え?」
いや、嘘だろ。
え?嘘だよな……?
僕ってこんなことができたのか。
球体が消えた後に何が起きたのか、自分でもよくわかっていない。
さっき頭で考えていたことを振り返る——形と速度と回転を決めて、アイアンプルと同じように力を絞り込んだ。力を絞り出しすぎたのか。
周りが何か言っているが、風が回転する音にすべてかき消されていた。あちこちの視線が僕に向いていた。馬車の中の人だけでなく、馬車の外にいた人たちも。
こんなにとんでもない威力だったのか……?
しばらく呆然としていると、誰かが突進してきた。
「止まれ!」
「誰だ!」
「侵入者が仕掛けてきたぞ。全員、排除しろ」
「オスカー、気をつけて!!」
尻尾がある。剣の形が蛇に似ている。耳がサイビアと同じだ。間違いなく同じ種族だろう。
それにしてもなぜ僕めがけて突進してくるんだろう。
目の前の状況に困惑したまま、またすぐ戦わなければならなくなってしまった。屋根にいたハンスが真正面から攻撃を受けて服が破れた。でも馬車自体は無事で、まだ走れる。僕は前方へと転がりながらテンツの方へ移動してドレークと入れ替わった。ドレークは後ろへ、ハンスと合流する形で。僕は前方でテンツの隣に。ジタ波に意識を集中させた。
馬車が速度を上げて走る前方には、鎧を身に着けた屈強な獣族が左右に並んで立ちはだかっていた。まるでここを通ることがわかっていたかのようだ。こちらに突進してくる構えを取っている。
「オスカー、先に降りろ」
その言葉を聞いて少し驚いた。テンツが、速度を上げて走っている馬車から降りるよう命じてきた。なぜだ。
「ですが……」
「寝台のことは気にするな。先に降りろ。あとは私が片付ける」
テンツの言う通りに馬車から飛び降りた。深くは考えず、寝台を気にしなくていいと言ってくれたことには内心感謝した。飛び降りて少し転がったが大したことはない。ドレークとハンスも後に続いて飛び降り、獣族の女戦士たちからテンツの馬車を守るべく動いた。
「魔法の力を持つ者よ、第四位の権力者テンツ・グリフェラー、グラットカトル王国の護衛——第三の手まで含めた三人の手!何を考えてこの御方に手を出す!誰に雇われた!答えなさい!」
美しく端整な顔立ちで、女同士でも惑わされそうなドレーク・カールが、獣族と半獣族の奇襲を前にして凛とした声で叫んだ。男のような威厳ある声だ。めちゃくちゃかっこいい。なぜか自分の中に気力が湧いてくる感じがした。二度目の経験なのに。
「……」
向こうからは何の返答もなかった。でも構えたまま剣を降ろさない態度が、すべてを物語っていた。
「!」
「誰が自分たちの縄張りを荒らした奴らに答えてやるものか!」
獣族と半獣族の雄叫びが森の道に響き渡った。
「来るわよ、一人残らず片付けなさい!」
ドレークとハンスが表情を引き締め、半獣族の群れへと飛びかかった。二人から何か重くて張り詰めたものが漂ってくるのを感じた。
「えいっ!」
そのとき、ドレークとハンスが半獣族へと切り込んでいった。
両耳が痛くなるほどの叫び声。獣族たちがドレークとハンスめがけて剣を振りかぶりながら突進してくる。
僕は二人の後ろでジタ波を使い、周りをスローモーションにしていた。でもすべてが遅くなったからといって、自分に何かできるわけでもない。
獣族は森の木々の間から次々と現れていた。ジタ波の糸が視界を覆う中、左手に風の力を集めながら絞り出した。腕がしびれてほとんど握れない状態でも、なんとか風を放ち続けた。風は強く吹いて、いくつかの敵の剣を吹き飛ばした。でも彼女だけは違った——蛇のような形の剣を持つ獣族の女だ。他の者の剣は風に吹き飛ばされたのに、彼女の剣だけはゆっくりと大きくなりながらこちらへと迫ってきた。
「大罪でもって縛り上げろ——サパメック!」
その剣が蛇のように這いずりながらこちらへと向かってきた。どんどん大きくなって、テンツの馬車に届きそうなほどになり、ぐるりと巻きつこうとしていた。
「ハンス、あなたはビウと一緒にいて。私はテンツ様のところに行く」
「わ……わかった!オスカー、私の後ろにいて!」
ドレークが蛇剣から飛び退いて馬車の上のテンツへと駆けていき、ハンスが前に出て僕を庇いながら構えを取った。辺り一面が混乱し始めた。
そのとき、思いがけないことが起きた。
「出てこい ホスオワル!」
テンツが馬車の上から叫んだ。その声が僕のいる場所まで届いた。馬車が屈強な獣族たちのいる場所に近づいたとき、巨大な魔法陣が僕たちのいる場所全体をほぼ覆うように広がった。魔法陣の赤い光があまりにも眩しくて、思わず目を閉じた。
その直後、魔法陣の中に雷が落ちた。
「ドォォォン!!」
雷鳴と、何か巨大なものの息づかいが森中に轟いた。大量の煙と土埃が舞い上がって、僕はむせ込んだ。何も聞こえない。何も見えない。まだ風を使っていたおかげで、煙と土埃が少しずつ散り始めた。やがてすべてが晴れていった。
僕は音のした方へと振り返った
ドラゴン!?
「オスカー、今がチャンスよ。早くドレークとテンツ様のところへ!」




