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20 「お別れだ」

ちょっと待って!何なんだ!たった十年しかないのか。なんで残りの寿命が十年しかないんだ。少なすぎないか。これから先の自分の人生はどうなるんだ。お爺さんの口から「あと十年」と聞いた瞬間、僕は極限まで動揺した。どうすればいい。何も考えられない。ただ棒立ちになるしかなかった。


「またいつか会おう、我が継承者よ」


お爺さんの声が消えた。お爺さんが言っていたことの細かい部分はほとんど覚えていない。「ケキフ」とかいう何かのことだけが頭に残っていた。そのとき奇妙なことが起き始めた。夜空の色が夜の暗さから完全な漆黒へと変わっていき、どんな光も消えてしまった。目の前が真っ暗になって、まるで目が見えなくなったような感覚だった。それでもブレスレットについたオレンジ色の欠片がかすかに光っていたおかげで、なんとか道が見えた。暗闇の中を歩きながら元の場所へと戻ろうとした。外に出ると、そこにいた人々は恐怖で取り乱していた。悲鳴や怒号や様々な声が混ざり合い、ロジファの街が数百人の叫び声で揺れ渡った。


---***---


「みんな集まれ!何かおかしいことが起きてる、離れるな!」


「タイラー!ビウはどこだ!?」


「あいつ、いつのまにかいなくなってたんだが、どこに行ったんだ」


「さっきまでついてきてたのに」


「せ、先輩!僕が一人でビウを探しに行きます!放しておいてください!」


「待て、風使い!お前まで消えたらどうするんだ!」


「でも僕がいなくなっても、ビウだけはいなくなったままにしたくないんです!」


「風使い!」


「私もビウ超越者様を探しに行きます!」


「お前たち、止まれ!」


「もうっ、何が起きてるんだよまったく。ドーム・フォーカル!」


---***---


「ビウ!聞こえるか!」


「ビウ超越者様、聞こえますか!?」


あたりは真っ暗で、ブレスレットのわずかな光だけが頼りだった。元いた場所へと戻ろうとしていたけど、ほとんど不可能だった。数百人の人たちが恐怖と混乱で街から逃げ出しており、その流れに何度もぶつかられて、肩に激痛が走った。相当な回数ぶつかられたんだろう。どうすればいい。次に何をすれば。左肩が痛くて動かせない。さらに人波に押しつぶされそうで、意識が遠のいてきた。ここでヒーリングを使うのは不可能だ。


「ビウ!ビウ!」


クスの声がだんだん近づいてくる。走ってこっちに来ているクスの姿が見えた。もう少し早ければよかったのに。それより前に——僕はクスが走ってくる目の前で、その場に倒れて気を失った。


***


朝の光が目に刺さるのを感じた。あれ、もとの世界に戻ってきたのか。


そう思いながら、自分に言い聞かせた。


「@#$#@#?」


誰かが何か言っている。


「@@#$$%?」


左肩が冷たい感じがする。でもまだ痛い。ゆっくりと目を開けた。朝の光と、聞いたことのない何かの音が聞こえる。


起き上がって、周りを見渡した。


おかしい。ていうか、待って。ここは自分の家じゃない。大きな窓が四枚、部屋の左側に並んでいる。やたらと大きなベッド。ここはどこだ。でもなんかどこかで見たような気がする——マンガで見たような。そうだ、これはお城か宮殿の部屋にそっくりだ。なんでこんなところにいるんだろう。覚えているのは人混みの中で倒れたことだけだ。ベッドから降りようとしたところで、扉が開く音がした。誰かの聞き取れない声が扉の向こうから聞こえてくる。


「#@##$$!!!」


男の声だ。


「#@@#$$#??」


聞き取れないけど、扉の向こうで誰かと話しているのは明らかだ。でも少し声が大きくないか。周りを見渡し続けた。


また女の姿に戻ってる。しかもこの服、何なんだ。


近くにあった鏡で自分の姿を確認しながらそう思った。そうだ、クスやサイビア、先輩たちはどこにいるんだろう。


ドサッ!


床に落ちた。ベッドを掴んでなんとか立ち上がろうとした。ようやく成功したが、全身の力が完全に抜けてしまったようだった。


「#^@!@##$」


扉の方を見上げると、茶色い髪のふっくりした体格の男が眼鏡をかけて、宝石のようなものがちりばめられた着飾った服を着てこちらへと歩いてくるのが見えた。その後ろには謎めいた雰囲気の女性が二人いた。


そうだ、魔法を使えばいい。言葉を変換できる。男が歩いてくるその隙に、両手を合わせて「この言葉を理解せよ」と唱えた。いつもの小さな魔法陣が現れた。


「おや、目が覚めたのか。てっきりもう目覚めないかと思っていたよ」


男の言葉に何も返せなかった。何と答えればいいかわからなかったから。


「テンツ様、起きたばかりですから、あまり刺激しないであげてください」


「ほっ、人族に対してそこまで気にするほどでもないな。ほら、こっちについてこい」


テンツ様?聞いたことのない名前だ。後ろにいる二人の女性も怪しい雰囲気を漂わせている。ついていって大丈夫なのか。


「早くテンツ様についていかないと、後で痛い目にあうよ」


痛い目!何の痛い目だ。それは怖い。テンツという名前の男の後ろにいた女性の一人が近づいてきて、耳元で囁きながら僕を引っ張っていった。


「って、痛い!!!」


思わず声が出てしまった。


「なになに、その声いいじゃない。なんか盛り上がってきた」


「早くテンツ様についていって」


「あ……うん」


その女性に言われるまま歩いた。ここは宮殿だった。三階建てで、とても広くて高い。三階から一階へと降りていく間、数え切れないほどの半獣族が裸でいるのと遭遇した。奇妙だった。体格の良い者には豪奢なものが与えられていて、僕のような普通の体格の者は裸のまま床に寝かされている。なんでここにこんなに半獣族がいるんだろう。


一階まで降りてきた。僕を連れてきた人たちは、的のようなものが置かれた一角に僕を立たせた。アイアンプルを使ったときのものと似ている気がした。シーリン先輩のは盾だったけど。


「何か特別なものを持っているなら見せてみろ」


なるほど、力を見せろということか。それならちょうどいい。あのお爺さんからもらった杖も試せる。


左腕を的に向かって伸ばし、シーリン先輩が教えてくれたジタ波に意識を向けた。すると、ブレスレットから三十センチほどの長さの棒状のものが左手に現れた。え?これが僕の杖なのか。短くないか。


これで本当に使えるのか。あのお爺さんに騙されたんじゃないか……いや、ダメだ。見た目で判断してはいけない。


お爺さんの言葉を思い出した。自分はメジックバウンの継承者だ。これは普通のものじゃないはずだ。もう一度構えて、杖を持った左腕を伸ばし、ジタ波を観察した。周りのすべてが少しずつゆっくりになっていく。糸状の波が的に向かって輪を描くように集まっていった。鉛筆の芯ほどの鋭い鉄の弾が形成されていき、ブレスレットが紫色に光り、あのオレンジ色の欠片も光を放った。紫とオレンジの炎が鉄の弾に絡みついていく。


今だ!全力で放て!


「アイアンプル!」


鉄の弾が一瞬で的へと飛んでいった。今回は放った瞬間に吹き飛ばされそうなほどの反動を感じた。そして数瞬後


ドカッ!


鉄の弾が的に命中した瞬間、大きな音が響き渡った。的には大きな穴が開いていて、その周りを紫の炎が燃え続けていた。今回のアイアンプルは、最初のときよりも明らかに威力が上がっていた。自分でも驚くほどに……

第20話が終わりました。

読者のみなさん、こんにちは。kuzagiです。これからのストーリーは異世界での生活になりますよ!

それでも引き続き追いかけてくださっている読者のみなさん、本当にありがとうございます。頑張ります!

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