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12「サイビア」

「あ…あ…っ、すみません!」


僕は目の前の光景に呆然とした——サイビアが裸でいる!!それを見た僕は恥ずかしさと驚きで顔が真っ赤になり、その場から走り出した。焦るあまり前を見ずに走ったせいで足がもつれて転んでしまった。まったく、見てはいけないものを見てしまった。サイビアも僕と同じくらい驚いているに違いない。裸でいるところに突然人が来たんだから当然だ。


「ビウ超越者様、どうして逃げるんですか?」サイビアが不思議そうな顔で追いかけてきた。


「だ……だって私は女なのに、裸の男を見てしまったら……」


「ビウ超越者様って、男じゃないんですか?」


僕が慌てて答えようとしたところで、サイビアがそう言った。


男?サイビアは知っていたのか。なんでわかったんだ?


「あなたは私が男だって知ってたんですか?」


「最初からわかってましたよ。ビウ超越者様の匂いが男の人のものだったので」


「あ、そうか……」


サイビアは最初からわかっていたのか。すごいな、匂いだけで男だとわかるなんて。今、頭の中にはもう一つ気になることがあった。まだサイビアに話していないこと——それは自分がいつ現実世界で目を覚ますかわからないということだ。簡単に言えば、僕はいつでも消えてしまう可能性があって、眠りにつかないと戻ってこられない。でも気になるのは、あのとき気を失ったのになんでただ眠っただけみたいな感じだったんだろう。魔族が現実世界に侵攻してきたせいなのか、それとも別の何かなのか。この件はクスか先輩グループに聞かないといけない。


「ビウ超越者様」


「え?なに?」


ぼーっとしていたところをサイビアに呼ばれた。


「ビウ超越者様、大丈夫ですか?」


「ちょっとぼーっとしてただけ。ごめんね」


「いえ、急に黙り込んでいたので」


「そうだサイビア、話しておかないといけないことがあって。今の私はいつここから消えるかわからないんだ。簡単に言えばいつでも消えてしまう可能性があって……」


「ビウ超越者様が僕を置いていなくなるんですか」


サイビアは震える声でそう言った。目に涙をためて、今にも泣き出しそうだ。


「ちょっと待って、まだ話し終わってない。いつでも消えるかもしれないけど、必ず戻ってくる。ほんの数時間だけ」


「そうなんですね。では行ってらっしゃいませビウ超越者様」


「気が早すぎでしょ」


二人で少し笑った後、サイビアは僕が買ってきた服を着た。シーリン先輩のお下がりだ。この世界の衣類は特殊な素材でできているからサイズは気にしなくていいけど、防具だけは一人ひとりの体型に合わせて作らないといけないらしい。この世界、本当にすごいな。


「ビウ、ビウ!もう起きて!お母さん帰ってきたよ!」


突然パンニャーの声が頭の中に響いた。もう行く時間か。僕はサイビアの方を振り返って手を振った。


ふわっ……ふわぁぁぁぁ!!!


「起きないなら扉開けるよ?」


パンニャーの声が寝室のドアの前から聞こえた。でも起き上がれない。体に力が入らない。さっきあんなことを枕にしてしまった感触がまだ残っている。気がついたら下半身はびしょびしょで、しかも何も穿いていなかった。


ガチャ!


パンニャーが寝室の扉を開けた。彼女の目の前にあったのは、女の姿のまま下半身を丸出しにしてベッドの前にいる僕だった。


「ちょっと、何やってんのビウ」パンニャーは僕の姿を見るなりすぐに聞いてきた。


「何もしてないよ」僕は急いで手で隠しながら答えた。


「ズボン穿いてないし、枕もシーツもびしょびしょじゃない。もしかしてそういうことやってたの?」


「あ……えっと……気分がそうなっちゃって……」


言い訳しようとしたけどパンニャーにはバレバレだった。シーツも枕もびしょびしょなのが丸わかりなんだから。それよりも今はまずズボンを探さないと。お母さんが帰ってきたなら、女の姿のことも説明しないといけない。そんなことを考えていた矢先、手首のブレスレットが紫色の光を放ち始めた。


「それ何なのビウ。ブレスレットが光ってる」


「パ、パンニャー、早く部屋から出て!今から男に戻るから!」


「こんな格好のまま男に戻るつもりなの?」


「あれ、扉開いてるじゃない。パンニャー、昨日ビウは友達の家に行ってたの?もう帰ってきた?」


「あ、ボウ叔母さんおかえりなさい。ビウくんは今日学校休んで、外に友達と出かけてますよ」


「そうか。ついでにあなたのお母さんから預かり物があるから、必要なら言いな。ビウも新しい友達ができたみたいで帰りが遅いんだろう。そのへんは叔母さんもよくわかるよ。ちゃんとそばにいて面倒見てあげなね。じゃあ叔母さんちょっと横になるよ」


「は、はい……おやすみなさい」


「ねえ、パンニャー、お母さんもう行った?胸が当たって息ができない」


「あなたが急に男に戻ろうとするから、こっちの胸で圧迫されて窒息するかと思ったじゃない」


「どいてよパンニャー、重いんだけど」


パンニャーが退いてくれた後、気がついたのはブレスレットが光ったのに何も変わっていないということだった。光は突然消えてしまって、僕は相変わらず女の姿のままだ。なんで男に戻れないんだ。なんであの紫の光が消えたんだ。そう考えていたちょうどそのとき、スマホが鳴った。クスだ。クスから電話がかかってきたので出た。


「ビウ、今のところ安全か?」クスが驚いた様子で聞いてきた。


「クス、何かあったの?」


「ミニキューブが黄色くなってるんです。先輩たちに何かあったかもしれなくて」


ミニキューブか、もう少しで忘れるところだった。先輩たちがくれたミニキューブ、使うときは黄色くなるんだったな。


「そうだよクス、今どこにいるの?」


「学校に向かってます。先輩たちのところで何かあったはずなので……後で連絡します」


「クス、待って——クス!」


クスは電話を切ってしまった。学校で何かが起きていると言って行ってしまった。心配でたまらない。


「どうしたのビウ、すごく驚いた顔してるけど」


「学校で何かが起きてるみたいで。先に行ってくるねパンニャー」


クスからそれを聞いた瞬間、僕は急いで階段を駆け下りてそのまま学校へと走った。いったい何が起きてるんだ……

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