9、最強吸血鬼と古本屋
無事地上に降り立った2人。人目を避けるために森の中に降りた。
「よしっ、無事に到着したね!」
「飛んでるときに都市が見えてたわ、そこに行きましょう」
「わかった!」
森を抜けて街道にでる。街道に沿って都市の方に歩いていく2人。
「地上って凄いね〜。浮遊大陸とは違って木や動物があるし、他の人もいる」
「なら、ここでミクが木の見た目を覚えていって浮遊大陸で創造すればいいんじゃない?」
「木って一応命があると思うけど創造できるのかな?」
「やってみないとわからないでしょ」
「それもそうだね〜」
喋りながら街道を歩いていくと、壁が見えてきた。おそらく都市を囲む壁だろう。
「何この壁……すっごく脆そうだけど」
弥紅から見たその壁は脆そうで、ちょっと魔力を込めて叩けばすぐに崩れてしまいそうだ。
「まぁ…、ミクが創った城壁が頑丈すぎるだけで普通はこんなものでしょ」
「ふーん、そうなんだ」
壁は叩かずに都市へと続く門まで行く。門には兵士がいるが、特に警戒はしていないようだ。それだけ治安が良いのだろう。
2人は仲良く都市に入っていく。門を通ってすぐ目に入ったのは商店街のような光景だった。沢山の商人が店を構え、客に商人を売り込んでいる。実に賑わっていた。
2人は離れないように気をつけながら、小説本を買い取ってくれそうな店を探す。
すると、ツクヨミが古本屋を見つけた。
「あっ、ミク。あのお店はどう?多分あれ本屋でしょ?」
「そうみたいだね、あそこならこの本買ってくれるかもね」
そう言って古本屋に入っていく。ここなら本を買ってくれるだろう。
古本屋にはどれくらいの数の本があるのだろう。そう思ってた2人は店の中にある本の少なさに驚く。
「えっ……こんなに少ないの?」
ツクヨミがそう呟く。と、同時に嫌な予感もした。ツクヨミ達が高価なものを売るのを避けたのは、注目されることを避けるためだ。一度高価なものを売れば他の人は(もっと高価なものを隠し持ってるかも)と考えだす。そうなれば面倒だ。だから、宝石などのあからさまに高価なものは創らなかった。
だが、もしこの世界で本が高価なものだったら?ミクが前に生きていた世界では、この大きさの本はおにぎり6個ほどのお値段だったという。そんな本が凄く価値のあるものだったら?
そして、その予感は的中することになる。
「おや、客が来るとは珍しい」
店の奥から老人が出てくる。この店の店主だろう。
「この本を売りたいんですけど」
弥紅はポケットの中から浮遊大陸で創った本を取り出す。
「ほう、本かね」
老人が本を開く。
「なっ……!見たことがない字で書かれている……!それにこの紙の質は…!?」
ツクヨミは嫌な予感が当たったのだと気付く。弥紅も嫌な予感を覚えた。
「……えっと、どれくらいの価値になりますかね?」
弥紅が聞いてみる。
「ここでは、こんな貴重な本は買い取れないね。金額も凄いことになるだろうよ」
「そうですか……わかりました。」
弥紅がそう返す。
「ちなみにどれくらいの金額になりますか?」
「ワシの見立てでは……金貨1000枚は下らんと思う」
「……金貨1000枚って何が買えるくらいの金額なんでしょうか?」
「それだけあれば……1等地にかなりいい家が建つな」
「あ〜…ちなみにここでパン1個いくらになります?」
「パン1個なら銅貨5枚ってとこだろ」
つまり、弥紅の前の世界で銅貨30枚程だった本が家付き1等地に変わるわけだ。
「……わかりました。ありがとうございました」
「せっかくだ、その本を買ってくれるだろうとこへの紹介状を書いてやろう」
「いいのですか…!?ありがとうございます!」
紹介状とそこまでの道順を書いたメモを受け取った2人は、古本屋を出ていった。
―――――――2人が出ていった後……
「はぁ、やれやれ。これで見つかるかもしれんのぅ」
古本屋の店主は1人呟いていた。
「だが、そうなるだけの価値はあったじゃろうな」
店主はそう言うと、店の奥に消えていった。




