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8、最強吸血鬼は飛び降りるようです

弥紅とツクヨミは、下に降りる為の準備を進める。

「下に降りたら何が必要になると思う?」

「お金とか?」

「う〜ん……でも、私この世界のお金を創造することはできないよ?見たことないのよね……」

 "万物創造"で創れる物は、あくまでもイメージできるものだけ。この世界のお金のデザインを知らない弥紅には創れない。

「そっか……。じゃあ、他の物を創造してそれを売るしかないんじゃない?」

「そうだね〜…。お金が1枚でも手に入ったら後は量産できるし……、そんなに高価じゃなくてもいいよね?」

「そうね、あんまり高価な物を売っても注目されちゃうしね」

「う〜ん……これでいいかな?」

 と、創り出したのは1冊の小説本。

「これどれくらいの価値になるの?」

「私の転生前の世界なら600円くらい」

「円?」

「えっと……、私がこの前食べてた『おにぎり』が6個買えるくらいかな」

「それくらいなら大丈夫そうね」

 弥紅は創り出した本をポケットにしまう。とりあえずこれで良いだろう。下に降りても"万物創造"は使える。必要になったら現地で創造すればいい。

次に、魔法創造を発動する。創るのは"念話"と"能力付与"。自分とツクヨミ、そしてミカエルの3人に"念話"を付与しておけば離れていても会話ができる。

 そのことを2人に話すと、付与されることを快く了承してくれた。あとは、『どこに降りるのか』ということだけ決めれば良い。

「さて、どこに降りる?」

「そうね……。とりあえず、ローカクス帝国はないわね」

「そうだね…。私もあそこはイヤかな〜、1回攻撃されてるし」

「まずはベスティア王国がいいと思うわ」

「アテウス連邦は?」

「あそこでもいいけど、ベスティア王国ほど豊かじゃないわ。国によって貨幣が違うかもしれないし、お金を手に入れるなら豊かな国の方がいいと思うわ」

「なるほどね」

 降りる場所をベスティア王国に決めた2人は、浮遊大陸がベスティア王国付近に着くまで、のんびりと話し合った。



―――――その頃ミカエルは…


「ご主人様が下の大地で遊ばれている間、私は何をしていましょうか……」

 お城の管理はミカエルとメイド達に任されているが、それだけでは暇になることは目に見えている。暇を潰す『なにか』を考えなくては……

「そういえばこの大地は今、お城しかありませんね。」

 そう、この浮遊大陸は今、城以外何もない平地なのだ。せっかくお城があるんだから、城下町くらい欲しいところだ。

「私にはご主人様のように、なんでも創り出す魔法はありませんが、図面を書くことくらいはできます」

 ミカエルは、大きな紙に城下町の図面を書き始めた――――――


 ベスティア王国が近づいてきた。2人は、降りる準備に入る。

「ミカエル、浮遊大陸のことは任せるね?」

「畏まりました」

「さ、ミク、いきましょ?」

「うん!」

 2人は、浮遊大陸から飛び降りる。雲を突き抜けたところで弥紅は羽根を広げ、ツクヨミは浮遊する。

 ―――――浮遊大陸は雲の上に隠れているので浮遊大陸が人に見つかることはない。が、そこから降りてくる2人は雲を突き抜けることになるので見られる可能性がある。それに気づかない2人は、ゆっくり降りていった。そして、それを何人かの旅人に目撃されることになる。その目撃証言が噂となり、王国中を駆け回ることになるのだが、それを2人知るのはもう少し後の話である。

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