3、最強吸血鬼は町に入れなかったようです
暫くして町に着いた。先程の体慣らしもあって空はオレンジ色に染まり始めている。
弥紅は町から少し離れた所に降り立つ
「生身で空を飛ぶなんて初めてだったから高所恐怖症とか不安だったけど全然大丈夫だったね」
そんなことを言いながら羽根をしまう。
町まであと少し、ここからは歩きだ。
弥紅は町へと歩きだす。
そのころ、町では………
「町長! 町周辺に張った結界から魔物の存在を感知しました!」
「ふむ、すぐに駆逐せよ、この町に魔物の1匹でも入れてはならん」
「はっ!」
兵士は駆けていった……。
弥紅は、もう町の入り口が見えるところまで来た。
てくてく歩いてると、町の入り口から武装した兵士が続々と出てくる。どうやら、弥紅を警戒しているようだ、弥紅に向かって槍や剣を向けている。
「そこの魔獣よ!そこで止まれ!」
兵士の中で1番偉そうにしている人(多分兵士長だと思う)が弥紅に命令する。弥紅はその言い方に少しムカッとしながらも止まった。
「魔獣如きがこの町になんの用だ」
「そもそも魔獣じゃないんだけど?」
「嘘をつくな!貴様から、魔の気配がひしひしと伝わってくるわ!」
「なぜ魔の気配だけで魔獣と決めつける?私は吸血鬼だ!」
「くだらん嘘を!吸血鬼なんて伝説の魔物存在する訳なかろう!」
衝撃の事実……まさかの吸血鬼は伝説上の存在だった……。普通にいるわけじゃないのね……。
私が驚きで固まってるうちに、私を攻撃するようだ、兵士達が突撃してくる。
そしてその剣が私の目の前にきた。兵士は敵を切った確信を得たようで頬が緩んでいる。
普通の人なら当たっていただろう。しかし、今の私は吸血鬼化したことにより動体視力が大幅に強化されている。私は表情一つ変えず躱す。次も、躱す 躱す 躱す。躱された側は随分驚いている。
「なっ!は、速く殺せっ!」
兵士長が驚きながらも兵士に命令する。
だが、兵士達の行動がどれだけ速くなろうと私に当てることはできない。当てたところで無意味だ。
今の私の皮膚はあの程度の剣を当てると剣のほうが折れるだろう。
「躱しているだけでは面白くない、こちらからも攻撃させてもらおう」
私は右の掌を敵に向けると一言
「"ファイアボール"」
と唱えた。すると、右の掌から5cmくらい離れたところに黄金に輝く拳大の火の玉ができる。
「な…黄金の炎だと!?」
兵士長が何か言っているが無視。
作った火の玉を敵に向かって射出。
これで、牽制くらいにはなったでしょ……と思った自分が間違っていた。
着弾した黄金の火の玉は大爆発を引き起こした。着弾した場所付近にいた兵士たちはほぼ全滅。
町にも爆発の被害が及び、さらに爆発で吹き飛ばされた兵士の持っていた武器が、爆発の熱で超高温に熱せられ町へと飛んでいく。飛んでいった武器が木造家屋に衝突、武器の高温が木に伝わり発火、周りに燃え移り大火事になっている。
「マ、マジか………。これはもう町には入れそうにないなぁ……」
そう考えた弥紅は魔法で雨を創り出し消火を確認した後、去っていった。
町に入れなかったというより町を潰したと言ったほうが正しいのでは?




