13、最強吸血鬼に真面目な話は似合わない
「それで、ここはどこなんだい?」
「ここは浮遊大陸。ワタシとミクはここから来たのよ」
国王親子は、浮遊大陸を見渡す。
「城以外はなにもないのですね……」
リアの呟きも聞き
「他の建物もそのうち創っていこうかな」
そう思った弥紅。
「さ、そろそろ城に行きましょ」
ツクヨミが、3人を急かす。
4人は城に向かって歩き出す。雲の上にある為、日光がよく当たる。
「ここには私達以外はいないのかね?」
国王が質問する。
「私達と、城のメイドくらいね」
ツクヨミはそう返す。
すると、さっきまでいたベスティア王国が雲の隙間から見えた。
「あ、あれ。ベスティア王国じゃない?」
弥紅が指を差す。
「確かにあれはベスティア王国です……と、いうことは…」
「ここは本当に浮遊大陸のようだな……」
「だから、さっきそう言ったじゃない」
当然のように言うツクヨミと弥紅を見て、国王親子は2人が本当にここから来たのだと理解した。
「さ、着いたわ」
いつの間にか4人は、城の堀の前まで来ていた。
「堀を渡る為の吊り橋はどこかね?」
「そんなものないわ。城門まで飛んで行くの」
「我々はどうすればいい?」
「さっきみたいに私の魔法であそこに行けばいいよ」
弥紅がそう提案する。3人はそれに従い、弥紅の空間魔法で城門の前まで移動する。
ここで、リアがこんな疑問を口にする。
「なぜお城の内部に直接移動しないのですか?」
「それはね、お城の内部は侵入を防ぐ為に移動系の魔法は使えないようになってるの」
弥紅がそう説明し、
「だから、ワタシみたいに魔法で空を飛んだりすることもこの中ではできないわ、ミクみたいに羽根が生えてるなら別だけど」
ツクヨミが補足する。
「なるほど、だからここに移動したのですね」
「そういうこと」
弥紅が城門に魔力を送ると、城門が勝手に開く。
「いまのは何をしたのですか?」
「私の魔力を送るとここの門が開くようになってるの」
「そんなことができるのですね……」
4人は庭園を歩く。
「なっ!?この世界にほとんどないはずの青薔薇がなぜこんなにあるのだ!?」
国王が驚いている。
「こんなに美しい庭園は見たことがありません……」
リアは感嘆していた。
そこに、いきなり現れる1人の人物。
「ご主人様、ツクヨミ様、おかえりなさいませ」
「ミカエル、ただいま。何かあった?」
「なにもございませんでした。ところでご主人様、後でお見せしたいものが」
「わかった、後で行くよ」
「ありがとうございます」
そして、国王親子に向き直り、
「お客様、ようこそおいでくださいました。私はここの城のメイド長をさせていただいております。ミカエルと申します」
「あ、あぁ。よろしく」
「よ、よろしくお願いしますわ」
ここでは移動系の魔法が使えないはず。それなのに、いきなり現れたメイドに驚きながらも国王親子は挨拶する。
「ねぇ、ミカエル?ここでは移動系の魔法は使えないはずだよね?どうやって来たの?」
「メイド長ともなれば気配を消して行動するなど朝飯前です」
そんなことをしれっと言うメイド長。国王親子たちは、普段から『普通の』メイドが近くにいたのでこのメイドの異常さがよくわかる。だが、弥紅とツクヨミの2人は
「「へぇ〜、そういうものなんだ(のね)」」
で、終わってしまった。
その後、ミカエルに応接室のような場所に案内される4人。ミカエルは案内した後、瞬間移動したかのように消えていった。
「さて、ここならゆっくり話ができそうだな」
国王がそう切り出す。
「まず、君達に問おう。君達は一体何者だ?」
「私は吸血鬼だよ」
「ワタシは神よ」
「神?本当に?」
「えぇ、ワタシの名はツクヨミ。夜を統べる神よ」
「私が召喚したんだよ〜」
「ならこの大陸は?昔からあったのかね?」
「この大陸は私が1から創った大陸だよ」
「だから、伝承とは関係がないわ」
「つまり、君達は自分達の手でこの大陸を創ったというのかね!?」
「そういうことだね」
「正確には、ミクが一人で創ったのよ」
そんな返答に、国王は頭を抱えたくなる。
地面を、しかも大陸規模で浮かすことができる存在。しかも、それは滅んだはずの吸血鬼と、夜を統べる神だという。こんなの複数の国と戦える程の戦力だ。これは、一国の主でしかない国王の手には余る。
「ま、私達は平穏に暮らせれればそれでいいんだけどね」
なんてことを言ってるが、本当かどうか疑わしいところだ。
「本当かね?こんな国と渡り合える戦力を持つのに?」
「そりゃ、防衛戦力は必要でしょう?」
「それがダメなのだ!君達が平穏を望むなら、防衛兵器も捨てたほうがいい。それは、他の国には侵略兵器として映るだけだろう」
「それなら、問題ないわ」
「………」
「他の国は、浮遊大陸自体知らないのよ?他の国に存在を知られなければいいだけの話でしょう?貴方達に黙ってもらえればそれで知られずに済む」
「なんなら私が"魔法創造"で、記憶改竄魔法でも創って2人の記憶を変えればそれで済むしね」
さらりと恐ろしいことをいう弥紅に、国王親子は身構える。
「さ、この話はおしまい!ティータイムにしましょ。ミク?"万能創造"で紅茶とお菓子をお願い」
「わかったよ」
弥紅が"万能創造"を発動。紅茶と茶菓子が現れる。驚く国王親子を見ながら、吸血鬼と神は紅茶を飲んだ。
今回のタイトルは作者が思ったことでもあります




