第3話「創造の理論」
「では、新たな宇宙の創造に向けた、最終的な理論構築を、始めましょう」
レンは、集まった仲間たちと共に、これまでの旅路で得た、全ての知識と経験を、一つの理論体系へと統合していく作業に取り掛かった。
「光速、重力、空間――この三つの根源的な法則の理解が、まず土台になります」
レンは、これまでの研究成果を、丁寧に説明していった。
「そして、それらの法則が、単なる“物”ではなく、存在同士の“繋がり”を規定する約束事である、という理解が、新たな宇宙を形作る上で、最も重要な鍵になるはずです」
ドルシスが、静かに頷いた。
「わしの故郷が失敗した理由――それは、力による支配、あるいは画一的な効率化に、偏りすぎたことにあった。お前が創る宇宙は、その過ちを、繰り返さないものになるはずだ」
「はい。俺が目指すのは、力の支配でも、画一的な効率化でもない、多様性を尊重しながら、共に成長していける宇宙です」
ヴェルミナが、静かに理論式を確認しながら、頷いた。
「零崎殿の理念、これまでの旅路の全てに、一貫して流れていましたね。地上の五大勢力の和解、機械文明との対話、虫族連合との対峙、そして高次元の存在との調和――全てが、この最終的な創造理論に、繋がっているように思います」
「はい。皆さんとの出会い、そして積み重ねてきた経験、その全てが、今の俺を作ってくれました」
こうして、レンは、これまでの旅路の集大成となる、新たな宇宙創造のための理論を、着実に構築していった。
宇宙管理AIからも、これまでの創生の記録を踏まえた、詳細な助言が届けられた。
『貴殁が創る宇宙は、単なる“複製”であってはならぬ』
「はい、分かっています」
『貴殿自身の理解、貴殿自身が積み重ねてきた在り方――それを反映した、全く新しい可能性に満ちた宇宙を、創造してもらいたい』
レンは、深く息を吸い込んだ。
「必ず、成し遂げます」
数ヶ月にわたる、これまでで最も深く、そして壮大な準備期間を経て――レンは、ついに、新たな宇宙創造のための、最終的な理論を完成させるに至った。
「これで……準備が整いました」
レンの言葉に、集まった全ての仲間たちが、静かに、しかし確かな決意を込めて頷いた。
「レン、いつでも始めていいぞ」
ガイウスが、力強く声をかける。
「あんたなら、必ずできる」
レティシアも、まっすぐにレンを見据えた。
「皆さん……本当に、ありがとうございます」
こうして、レンは、これまでの人生の全てを賭けた、最終的な挑戦――新たな宇宙の創造へと、いよいよ足を踏み出す時を迎えることとなった。
(第4話へ続く)




