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強化倍率∞(インフィニティ)~武器しか強くならない俺が、気づけば○○していた~  作者: 伝説の男前
第2巻 軍事転用編

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第1話「披露」

 地下格納庫に、司令官をはじめとする基地上層部の面々が集まっていた。


 中央に鎮座するのは、レンが十日間かけて理解し、強化し続けた鋼鉄の巨体――かつてはガラクタ同然だった戦車だ。今やその装甲には、淡い光を帯びた紋様が幾重にも走り、まるで生きているかのような気配すら漂わせていた。


「零崎レン。約束通り、これがお前の成果というわけか」


 司令官が、値踏みするように戦車を見上げる。


「はい。動くようにするだけでなく、装甲と主砲の強化も、可能な限り行いました」


「可能な限り、か。では見せてもらおう」


 レンは緊張しながら、戦車の操縦席に乗り込んだ。動かし方は、この十日間で嫌というほど頭に叩き込んでいる。


「……起動」


 低い駆動音と共に、戦車がゆっくりと動き出す。基地の演習場へと移動し、標的として用意された、分厚い岩盤の壁の前で停止した。


「あの岩壁は、上級魔法でも崩すのに数十発は必要な代物だ。お手並み拝見といこう」


 司令官の言葉に、周囲の兵士たちがざわめく。


 レンは主砲の照準を岩壁に合わせ、静かに引き金に手をかけた。


「……撃ちます」


 次の瞬間――


 轟音と共に放たれた砲撃は、分厚い岩壁を粉々に粉砕し、その奥にあった小高い丘の一部まで消し飛ばした。


 衝撃波が演習場全体を揺らし、土煙が視界を覆う。


「な、何が……」


「岩壁だけじゃない、丘まで……!?」


 誰もが言葉を失う中、司令官だけが、静かに土煙の向こうを見つめていた。


「……想定を、遥かに超えているな」


 土煙が晴れると、そこには岩壁だった場所ごと、丘の稜線が丸ごと消失した光景が広がっていた。


「これが……アイテム超強化」


 司令官は独り言のように呟いた。


 演習場に集まっていた兵士たちの間に、動揺と興奮が入り混じったどよめきが広がる。


「あの零崎って奴、本当にハズレスキル持ちなのか……?」

「戦車一台で、あんな威力……」


 レンは操縦席から降り、恐る恐る司令官の元へ歩み寄った。


「あの、これで……」


「零崎レン」


 司令官はレンを正面から見据える。


「お前のスキルを、正式に基地の戦力として認める。今後、お前には兵器開発担当として、専属の作業班を与えよう」


「専属の……」


「今まで放置されていた旧式兵器や、召喚者たちが持ち込んだ設計図の数々。それらを、お前の理解に基づいて“強化”してもらう」


 司令官の言葉に、レンは息を呑んだ。


「本当に、俺で良いんですか……?」


「良い、も何もない。お前以外に、これほどの成果を出せる者はいないだろう」


 司令官はふと、僅かに口元を緩めた。


「もっとも――お前自身の戦闘能力は、相変わらず一般人以下のままのようだが」


「あ、はい……それは、その通りです」


「面白い男だ。強くなったのは道具だけで、お前自身は何も変わっていない。それでいて、これほどの力を発揮する」


 司令官は踵を返しながら、最後にこう告げた。


「今日から、お前は第七小隊ではなく、特務開発班の所属となる。存分に、その力を振るうがいい」


 その言葉を背に、レンはしばらくその場に立ち尽くしていた。


 ガイウスが駆け寄ってくる。


「やったな、レン! 見たか、あの威力!」


「うん……正直、俺自身が一番驚いてる」


「これで、お前を“ハズレスキル”なんて呼ぶ奴、誰もいなくなるだろうよ」


 少し離れた場所では、レティシアが複雑な表情を浮かべながら、その光景を見つめていた。


(レン……あんな力、いつの間に)


 彼女の胸の内には、喜びと、それでもなお拭いきれない小さな焦りが、同居していた。


 この日を境に、レンの立場は基地内で一変することになる。


 だが、これはまだ始まりに過ぎない。


 戦車の次には、戦闘機が。そして、自我を持つことになる一体のドローンが、レンの人生に新たな仲間として加わることになる。


(第2話へ続く)


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