第1話「向き合う想い」
宇宙管理AIから、新たな宇宙の創造という、途方もない選択を告げられてから、レンは、静かに、自分自身と向き合う日々を過ごしていた。
「レン、まだ悩んでるのか」
ガイウスが、静かに声をかける。
「うん……新しい宇宙を創る、なんて、あまりにも大きすぎる話で」
レンは、執務室の窓から、夜空を見上げた。
「もし俺が、新しい宇宙を創ったとして……それは、本当に、正しい選択なんだろうか」
「レン」
レティシアが、静かに隣に腰を下ろした。
「あんたは、いつも、自分一人で背負い込もうとするのね」
「そんなつもりは……」
「ないつもりでも、そうなってるわよ」
レティシアは、まっすぐにレンを見据えた。
「新しい宇宙を創るかどうか、それは、あんた一人の決断じゃなくていいと思う。あたしたち皆で、考えればいいことじゃない」
その言葉に、レンは、はっとした。
「そう、だね……」
翌日、レンは、これまでの旅を共にしてきた仲間たち、そして各文明の代表者たちを集め、宇宙管理AIから告げられた選択について、率直に語った。
「新しい宇宙を創造する――それは、途方もない可能性を秘めていますが、同時に、途方もない責任も伴います。俺一人では、決められません。皆さんの意見を、聞かせてください」
『我々アルゴス集合体としては』
集合意志が、静かに応じた。
『貴殿のこれまでの在り方を鑑みれば、その選択もまた、貴殿らしい“調和”をもたらすものになると信じている』
「わしも、同意見だ」
ドルシスが、静かに頷く。
「レン、お前がこれまで積み重ねてきた理解――それは、単なる力の誇示じゃなく、常に、誰かのため、何かを守るためのものだった。もし新しい宇宙を創るのならば、それもまた、同じ想いの延長線上にあるはずだ」
「あたしも、賛成よ」
レティシアが、力強く頷いた。
「あんたが、これまで守ってきたもの、大切にしてきたもの――それを、さらに大きな形で、育んでいく。そう考えれば、決して怖いことじゃないと思う」
ガイウス、ヴェルミナ、獅堂グレン、そして竜族の紅蓮、神族のシズカ――多くの仲間たちが、それぞれの想いを込めて、レンの決断を後押しした。
「皆さん……ありがとうございます」
レンは、深い感謝と共に、静かに、しかし確かな決意を固めていった。
「分かりました。新しい宇宙の創造に、挑戦してみようと思います」
その言葉に、集まった仲間たちから、力強い拍手が沸き起こった。
こうして、レンの物語は、いよいよ、シリーズ最大にして最終的な挑戦――新たな宇宙の創造という、壮大な結末へと向かっていくこととなる。
(第2話へ続く)




