第10話「帰還、そして最後の選択」
高次元の領域との調和を成し遂げたレンたちは、静かに、宇宙へと帰還の途についていた。
「零崎殿、これで、この宇宙の危機は、完全に去ったと言えるでしょうか」
ヴェルミナの問いに、レンは、静かに首を振った。
「いえ……危機が去った、というより、この宇宙が、これからも成長し続けていくための、新しい在り方が、見つかったんだと思います」
「成長し続ける、宇宙……」
「はい。完成された、静的な存在じゃなく、絶えず変化し、繋がり合いながら、豊かになっていく――そんな宇宙の姿を、俺は見た気がします」
レンの言葉に、ドルシスが、深く頷いた。
「レン、お前は、本当に、途方もない場所まで、辿り着いたんだな」
「ドルシスさんや、皆の支えがあったからです」
銀河連邦の本拠地へと帰還したレンたちを、割れんばかりの歓声が迎えた。
「零崎殿、お帰りなさい!」
多くの仲間たち、そして各文明の代表者たちが、レンたちの帰還を、心から祝福した。
「レン……!」
レティシアが、真っ先に駆け寄ってくる。
「ただいま、レティシア。……本当に、色々あったよ」
「聞かせて。全部」
レンは、これまでの経緯――宇宙そのものへの理解、高次元の領域との調和、そして、これから宇宙が歩んでいく、新たな在り方について、丁寧に語った。
「あんた、本当に、すごいことを成し遂げたのね」
レティシアの言葉に、レンは、静かに首を振った。
「俺一人の力じゃない。皆が、支えてくれたから、ここまで来られたんだ」
こうして、レンは、これまでの旅路を、静かに振り返る、穏やかな時間を過ごすこととなった。
だが、ある夜、宇宙管理AIから、思いがけない通信が届いた。
『レン、最後に、一つ、伝えねばならぬことがある』
「なんでしょうか」
『貴殿がこれまで積み重ねてきた理解と成長――それは、この宇宙の枠組みを超え、いずれ、全く新しい“宇宙”そのものを、生み出す可能性を、秘めている』
「新しい、宇宙……」
『貴殿が望むのであれば――この宇宙とは異なる、新たな可能性に満ちた宇宙を、創造することも、不可能ではない』
その言葉に、レンは、深い驚きと共に、静かに考え込んだ。
(新しい宇宙を、創造する……それは、これまでのどの挑戦よりも、大きな責任を伴う選択だ)
レンは、これまで出会った、全ての仲間たち、そして全ての文明のことを、静かに思い浮かべた。
「……少し、考えさせてください」
その答えに、宇宙管理AIは、静かに応じた。
『無論だ。これは、貴殿自身が、じっくりと向き合うべき選択だろう』
こうして、レンの物語は、いよいよ、シリーズ最大にして、最終的な選択――新たな宇宙の創造という、壮大な結末へと向かっていくこととなる。
(第9巻・完 第10巻へ続く)




