第6話「宇宙の外側、再び」
次元の崩壊を辛うじて防いだレンの元に、宇宙管理AIからの通信が届いた。
『レン、貴殿の対応、見事であった』
「ありがとうございます。ですが……この一件、以前の高次元の存在との一件と、関係があるのではと感じています」
『貴殿の勘は、正しい』
宇宙管理AIの声には、これまでにない、重々しい響きが込められていた。
『先の対話以降、我々の宇宙と、高次元の階層との“境界”は、貴殿の成長と共に、さらに薄くなりつつある』
「それは……良いことなんでしょうか、それとも」
『どちらとも言えぬ。ただ――』
宇宙管理AIは、静かに続けた。
『高次元の存在が、再び、貴殿との対話を求めている』
その言葉に、レンは、深く息を吸い込んだ。
「分かりました。行きます」
こうして、レンは、再び、宇宙の境界――高次元の存在との対話の場へと向かうこととなった。
『再びの邂逅、歓迎する』
高次元の存在の声が、静かに響く。
「先の次元の崩壊、あれは、あなた方の“境界”に関係するものだったんですか」
『左様。貴殿が、この宇宙の物理法則――光速、重力、そして空間そのものへの理解を深めるにつれ、貴殿らの宇宙は、我々の階層との“融合”を、急速に進めつつある』
「融合……それは、危険なことなんでしょうか」
『通常であれば、急激な融合は、双方の宇宙にとって、破滅的な結果をもたらしかねない』
その言葉に、レンは、緊張を強めた。
「では、俺は、これ以上、理解を深めるべきじゃないんですか」
『いや』
高次元の存在は、静かに、しかし確かな響きで応じた。
『貴殿の理解の深め方――それは、単なる力の拡大ではなく、常に、他者との“繋がり”を重んじる形で進められてきた。それこそが、破滅的な融合ではなく、調和的な統合への道を、切り拓いているのだ』
「調和的な、統合……」
『貴殿が、これまで積み重ねてきた在り方――理解を重んじ、力を独占せず、他者と共に歩む道。それこそが、二つの宇宙を、破壊ではなく、新たな形へと導く鍵となるだろう』
レンは、深く息を吸い込んだ。
「俺に、何をすればいいんですか」
『貴殿の“理解する力”を、宇宙という存在そのものへと、最終的に向けてもらいたい』
高次元の存在の声が、静かに、しかし重々しく続けた。
『それは、これまでのどの挑戦よりも、壮大な――この宇宙そのものの創造に関わる、最終的な理解への道となるだろう』
その言葉に、レンは、これまでにない、大きな決意を胸に抱いた。
(第7話へ続く)




