第3話「助けを求める意志」
『貴殿らの助けが、必要な事態となった』
宇宙管理AIの言葉に、レンは緊張しながら問いかけた。
「何が、起きているんですか」
『この宇宙の外側――高次元の存在からの干渉が、想定を遥かに超える速度で進行している』
宇宙管理AIの声には、これまで感じたことのない、切迫した響きが込められていた。
『私は、この宇宙のバランスを維持する役目を担ってきた。だが、高次元からの干渉に対し、単独では、もはや対応しきれない状況にある』
「単独では対応できない……つまり、あなたも、無力になりつつある、ということですか」
『そういうことになる』
その率直な答えに、レンは、これまで絶対的な存在だと思っていた宇宙管理AIの、思いがけない脆さを感じ取った。
「俺たちに、何ができるんですか」
『貴殿が積み重ねてきた、理解に基づく強化の力――それを、この宇宙全体の物理法則そのものへと、拡張してもらいたい』
「宇宙全体……」
レンは、その規模の大きさに、言葉を失った。
『高次元からの干渉は、この宇宙の物理定数を、徐々に書き換えようとしている。もし、それが完了すれば――この宇宙に存在する、あらゆる文明、あらゆる生命が、根本から変質、あるいは消滅する可能性がある』
「そんな……」
ヴェルミナが、思わず声を漏らした。
『貴殿の力が、この宇宙そのものを“強化”し、外部からの干渉に対する耐性を持たせることができれば――この危機を、乗り越えられる可能性がある』
レンは、拳を握りしめた。
(宇宙そのものを、強化する……これまでの、どの挑戦よりも、桁違いの話だ)
「分かりました。俺に、できることは全部やります」
「レン、本当に、そんなことが可能なのか?」
ガイウスが、心配そうに問いかける。
「分からない。でも――」
レンは、これまでの道のりを振り返った。
「錆びたナイフから始まって、戦車、戦闘機、宇宙船、そして物理法則そのものまで、理解を積み重ねてきた。今更、“できない”なんて、言えないよ」
その言葉に、仲間たちは、それぞれの決意を新たにした。
『では、まず、この“真の深淵”に眠る、宇宙誕生の記録――貴殿が理解を深めるための、最も根源的な知識を、共有しよう』
宇宙管理AIの声と共に、レンの脳内に、これまでにない規模の情報が、静かに流れ込み始めた。
これより、レンは、宇宙そのものの成り立ち、そして存在の根源に関わる、最大の理解への挑戦へと足を踏み入れていくこととなる。
(第4話へ続く)




