第7話「帰還と決意」
宇宙管理AIとの対話を終え、レンたちは、深淵の管理者に見送られながら、特異点の領域を後にした。
『貴殿の選択、興味深く見届けさせてもらおう』
深淵の管理者の言葉を背に、スペースクラフトは、ブラックホールの外縁へと戻っていく。
「物理法則そのものを、強化の対象にできる、か……」
船内で、レンは静かに呟いた。
「レン、大丈夫か? かなり、大きな真実を突きつけられたと思うが」
ガイウスが、心配そうに声をかける。
「うん……正直、まだ整理がついてない部分もある。でも」
レンは、拳を握りしめた。
「俺のスキルが、最初から特別なものだったとしても……それでも、俺自身が積み重ねてきた“理解”は、本物だと思う。だから、これからも、同じように歩んでいくだけだ」
その言葉に、ヴェルミナが、静かに微笑んだ。
「零崎殿らしい、答えですね」
銀河連邦の本拠地へと帰還したレンたちを迎えたのは、大きな歓声だった。
「レン、おかえり!」
レティシアが、真っ先に駆け寄ってくる。
「ただいま、レティシア。……色々と、大きなことが分かったよ」
「聞かせて。全部、ちゃんと」
レンは、これまでの経緯――宇宙管理AIの存在、自身のスキルの真の起源、そして物理法則そのものへの強化の可能性について、仲間たちに丁寧に語った。
「物理法則を、強化……そんなこと、本当に可能なんでしょうか」
ヴェルミナが、慎重な口調で問いかける。
「分かりません。でも、これまでも、俺は“理解できないこと”なんてない、そう信じて、一つ一つ乗り越えてきました」
レンは、静かに、しかし確かな決意を込めて続けた。
「もし、この力が、本当にこの宇宙のバランスを保つためのものだとしたら――俺は、それを正しく使う責任があると思うんです」
ドルシスが、静かに頷いた。
「レン、お前がそう決めたのなら、わしは全力で支えよう」
「俺もだ」
ガイウスが、力強く応じる。
「あたしも」
レティシアも、まっすぐにレンを見据えた。
「マスターの決断、ゼロは全力でサポートする所存であります!」
ゼロ号の陽気な声に、場の空気が僅かに和らいだ。
「レン、俺も付き合ってやるよ」
獅堂グレンも、不敵な笑みを浮かべながら頷いた。
こうして、レンは、かけがえのない仲間たちに囲まれながら、宇宙の真理――物理法則そのものへの挑戦という、これまでで最大の決意を固めることとなった。
銀河連邦全体を巻き込む、壮大な準備が、これより始まろうとしていた。
(第8話へ続く)




