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強化倍率∞(インフィニティ)~武器しか強くならない俺が、気づけば○○していた~  作者: 伝説の男前
第7巻 宇宙戦争編(後編)

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第1話「特異点への航路」

 スペースクラフトが、星系の外縁部を抜け、いよいよ未知の領域へと足を踏み入れようとしていた。


「重力異常、検知しました。ブラックホールの影響圏に、突入しつつあります」


 ヴェルミナが、緊迫した声で報告する。


「ゼロ号、船体の状態は?」


『現在のところ、重力耐性システム、正常に機能しております。ただし――』


 ゼロ号の声に、僅かな緊張が滲んだ。


『影響圏の深部に進むにつれ、負荷が指数関数的に増大していく可能性があります』


「想定内だ。慎重に進もう」


 レンは、操縦席で気を引き締めた。


 窓の外に広がる光景は、これまで見たどの宇宙とも異なるものだった。星々の光が、まるで水面に映る影のように歪み、渦を巻きながら、遠方の一点へと吸い込まれていく。


「これが……ブラックホールの重力場」


「美しい、と同時に、恐ろしい光景ですね」


 ヴェルミナが、静かに呟いた。


 しばらく航行を続けると、思いがけない反応が、レーダーに現れた。


「反応、確認! 前方に、人工的な構造物が存在します!」


「人工物……? こんな場所に?」


 レンは、驚きながらモニターを覗き込んだ。


 ブラックホールの重力場の縁――通常であれば、あらゆる物質が耐えられないはずのその領域に、巨大な、幾何学的な構造を持つ都市のようなものが、静かに浮かんでいた。


「あれが……ブラックホール文明」


「まさか、こんな極限環境に、文明を築いているとは……」


 ドルシスも、驚愕を隠せない様子だった。


 構造物に近づくにつれ、通信機に、断続的なノイズが混じり始めた。


『……接触、を……確認……』


 途切れ途切れの声が、機械越しに響く。


「聞こえますか! こちらは……」


『……理解、なき、力は……牙を、剥く……』


 その言葉に、レンは、はっとした。かつてドルシスが口にした言葉と、酷似していたからだ。


「今の、何か意味があるんでしょうか」


「分かりません。ですが、警告のようにも聞こえます」


 ヴェルミナが、険しい表情で答えた。


 その時、獅堂グレンが、静かに刀の柄に手をかけた。


「レン、来るぞ」


 グレンの言葉と同時に、構造物の一部が、大きく変形を始めた。


「な、なんだ、あれは……!」


 巨大な構造物から、無数の触手のような機構が伸び、レンたちのスペースクラフトへと迫ってくる。


「回避行動!」


 レンの叫びと共に、ゼロ号が、寸前のところで船体を回避させた。


「これは……歓迎、というより」


「明確な、敵対行動ですね」


 ヴェルミナの冷静な分析に、レンは拳を握りしめた。


「理解する前に、まず生き延びないと……!」


 こうして、レンたちの、ブラックホール文明との、予想外の激しい対峙が、幕を開けることとなった。


(第2話へ続く)


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