第2話「銀河艦隊、出撃」
「敵艦隊、最前列との接触まで、あと五分!」
管制室に、緊迫した声が響き渡る。
「レン、指示を頼む」
ガイウスの言葉に、レンは深呼吸をしてから、艦隊全体へと通信を繋いだ。
「各艦、聞いてください。数では、圧倒的に劣勢です。でも――一隻一隻の性能は、必ず彼らを上回っています。恐れず、冷静に、目の前の敵に集中してください」
通信越しに、多くの兵士たちが、力強い返答を返してきた。
「敵艦隊、接触します!」
虫族連合の艦隊が、視界いっぱいに広がるように姿を現した。無数の生物的な質感を持つ艦艇が、まるで蟻の大群のように押し寄せてくる。
「うわ……なんだ、あの数は」
誰かが、思わず息を呑む声を漏らした。
「怯むな! 迎撃開始!」
ガイウスの号令と共に、銀河艦隊が一斉に砲撃を開始した。
レンが強化した主砲の一撃一撃が、敵艦を次々と撃破していく。単純な数の比率だけを見れば、圧倒的な劣勢のはずだったが、実際の戦況は、想像を超えるものだった。
「て、敵艦、次々と撃破されています! こちらの被害は、軽微です!」
伝令兵の興奮した報告に、指揮所全体が沸き立った。
「よし……このまま押し切れ!」
レンは、モニター越しに広がる戦況を見つめながら、拳を握りしめた。
だが、虫族連合も、ただ蹂躙されるだけの相手ではなかった。
「敵艦隊、戦術を変更! 個艦での特攻を仕掛けてきています!」
「特攻……?」
「はい、恐らく――こちらの艦艇に、直接衝突することで、道連れにする狙いかと」
ヴェルミナの分析に、レンは緊張を強めた。
「装甲の強度は、十分に確保してあるはずです。落ち着いて対処してください」
レンの指示通り、銀河艦隊は特攻を仕掛けてくる敵艦を、装甲でしのぎながら、着実に数を減らしていった。
数時間にわたる激戦の末、虫族連合の第一波は、ついに撃退されるに至った。
「て、敵艦隊、第一波、撃退に成功しました!」
管制室に、割れんばかりの歓声が沸き起こる。
「や、やった……!」
レンは、深い安堵の息を吐いた。
だが、その安堵も束の間だった。
「観測班より緊急報告! 虫族連合の“本隊”が、これより到着予定とのことです!」
「本隊……? まだ、あれは前哨戦に過ぎなかったのか……!」
伝令兵の報告に、指揮所全体に再び緊張が走った。
「規模は?」
レンの問いに、伝令兵は震える声で答えた。
「推定、五十万隻以上……!」
その数字に、誰もが言葉を失った。
これより、レンたちの戦いは、真の意味での宇宙戦争――想像を絶する規模の決戦へと突入していくこととなる。
(第3話へ続く)




