第9話「虫族連合」
「虫族連合について、詳しい情報はありますか」
レンの問いに、集合意志が、静かに応じた。
『虫族連合は、複数の恒星系を跨いで拡張を続ける、生物的な集合社会である。個体数の圧倒的な多さを武器に、資源のある星系を次々と侵略してきた歴史を持つ』
「個体数……つまり、数の暴力、ということですね」
「はい。地上でのドラケイン帝国軍と、同じ構図かもしれません」
ヴェルミナが、冷静に分析を加える。
『虫族連合の艦隊規模は、我々アルゴス集合体の推定でも、数十万隻に及ぶとされている』
「数十万……」
レンは、思わず息を呑んだ。これまで対峙してきたどの敵とも、桁違いの規模だった。
『貴殿らの星系への侵攻まで、推定であと数ヶ月の猶予があると分析している。この間に、防衛体制を整える必要があるだろう』
「分かりました。すぐに、大陸へ戻って準備を進めます」
レンたちは、集合意志との友好関係を確認した上で、急ぎ大陸へと帰還することとなった。
大陸に戻ったレンを迎えたのは、待ち構えていた仲間たちだった。
「レン、おかえり!」
ガイウスが、満面の笑みで迎える。
「ただいま、ガイウス。……早速だけど、大変な事態になってる」
レンは、虫族連合の脅威について、手短に説明した。
「数十万隻……そりゃまた、途方もない話だな」
「うん。でも、今のうちに準備を進めれば、必ず対抗できるはずだ」
レンは、これまでの経験から得た確信を胸に、新たな戦力構築へと着手した。
「戦闘機や飛行艦隊の性能を、さらに引き上げる必要がある。それに――」
『マスター、提案がございます』
ゼロ号が、静かに声を上げた。
『これまでの戦闘機、飛行艦隊の技術を統合し、より大規模な“銀河艦隊”とでも呼ぶべき戦力の構築を、検討してはいかがでしょうか』
「銀河艦隊、か……」
レンは、その提案に、大きな可能性を感じた。
「分かった。皆さんの力を借りて、宇宙規模の防衛体制を、一から構築していこう」
こうして、レンたちは、虫族連合の侵攻に備え、これまでにない規模の戦力構築へと乗り出すこととなった。
ドルシスもまた、これまでの知識を惜しみなく提供し、レンの研究を支えていく。
「レン、この機会に、一つ伝えておきたいことがある」
ある夜、作業を続けるレンの元に、ドルシスが神妙な面持ちで訪れた。
「なんですか、ドルシスさん」
「わしが、かつてどのような立場にあったのか――そろそろ、話しておくべき時が来たようだ」
その言葉に、レンは緊張しながら、ドルシスの話に耳を傾けることとなった。
(第10話へ続く)




