第10話「五つの誓い」
紅蓮との対話から数週間、レンは約束通り、火竜山の復興作業に取り組んでいた。
「これは……」
焼け落ちた大地に手をかざし、レンは慎重に強化を施していく。単なる破壊された土地を元に戻すのではなく、竜族が再び安心して暮らせるよう、地形そのものの理解を深めながらの作業だった。
『マスター、土壌成分の分析、完了いたしました』
ゼロ号のサポートを受けながら、レンは焼け焦げた大地に、新たな緑を蘇らせていった。
その様子を、遠くから見つめる紅蓮の表情には、これまでにない柔らかさが滲んでいた。
「……本当に、やり遂げるとはな」
「紅蓮様、いかがでしょうか」
完成した緑豊かな山肌を前に、レンは緊張しながら尋ねた。
「……見事なものよ」
紅蓮は、静かに頷いた。
「そなたの誠意、しかと受け取った。竜族は、大陸統一の枠組みへの参加を、正式に決定する」
「ありがとうございます……!」
こうして、竜族との和解が、正式に成立した。
王国、帝国、魔王軍、神族、竜族――五つの勢力全てが、レンの提唱する大陸統一の枠組みへと参加することとなった。
各勢力の代表者が一堂に会し、統一のための調印式が執り行われることとなった日、レンは緊張を隠せずにいた。
「零崎レン殿、貴殿を、この新たな大陸連合の――統括者として、推挙したいと思います」
ノルデア国王の言葉に、レンは目を見開いた。
「そ、統括者、ですか……!?」
「貴殿ほど、各勢力から信頼を得られる人物は、他にいないでしょう」
周囲の代表者たちも、次々と賛同の声を上げる。
「零崎殿の理念、我々も強く支持いたします」
「争いのない大陸を目指すという、その姿勢に敬意を表します」
レンは、しばらく言葉を失っていた。
(俺が……大陸を統括する、なんて)
だが、周囲を見渡せば、そこにはガイウス、レティシア、ヴェルミナ、ドルシス、そして多くの仲間たちの、信頼に満ちた眼差しがあった。
「……分かりました。皆さんの信頼に、応えられるよう、全力を尽くします」
こうして、レンは、大陸統一という、途方もない偉業を成し遂げることとなった。
だが、これで全てが終わったわけではない。
統一の調印式の夜、レンの元に、思いがけない知らせが届いた。
「零崎殿、緊急の報告です」
伝令兵が、慌ただしく駆け込んでくる。
「北方の空に、これまで確認されたことのない、未確認の光が観測されました」
「未確認の光……?」
「詳細は不明ですが、専門家の分析によると――大気圏外、つまり、空の彼方からの飛来物である可能性が高いとのことです」
その報告に、レンは息を呑んだ。
「まさか……」
大陸統一という大きな節目を迎えたばかりのレンたちに、想像もしていなかった、新たな脅威の予兆が忍び寄っていた。
地上の争いを乗り越えた先に待っていたのは――遥か宇宙からの、未知なる訪問者だった。
(第4巻・完 第5巻へ続く)




