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強化倍率∞(インフィニティ)~武器しか強くならない俺が、気づけば○○していた~  作者: 伝説の男前
第4巻 国家戦争編(後編)

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第9話「紅蓮の誇り」

 竜族の領土――大陸東方に広がる火山地帯へと足を踏み入れたレンたちを迎えたのは、これまでとは全く異なる、殺伐とした空気だった。


「人間ごときが、何用だ」


 火口の縁に陣取る竜族の兵士たちが、鋭い視線をレンたちに向ける。


「大陸統一について、お話し合いをさせていただきたく、参りました」


 レンが慎重に用件を告げると、兵士たちの間に、僅かな動揺が走った。


「……長のもとへ、案内せよ」


 程なくして、レンたちは火山の奥深く、溶岩の光に照らされた玉座の間へと通された。


 そこに座していたのは、緋色の長髪と、竜の角を持つ、艶やかで気高い女性――紅蓮だった。


「そなたが、噂の人間か」


 花魁言葉を操るその声には、氷のような冷たさが滲んでいた。


「初めまして。零崎レン、と申します」


「ありんす言葉で応えてやろう。……そなたの強さ、真のものかどうか、確かめさせてもらいんす」


 紅蓮は、玉座から立ち上がり、レンをまっすぐに見据えた。


「我ら竜族は、かつて人間との大戦で、多くの同胞を失った。焼き払われた故郷、奪われた命……その恨み、そう容易くは消えぬ」


 その言葉には、深い悲しみと、抑えきれない怒りが同居していた。


「そなたが目指す大陸統一とやら、所詮は人間の都合による支配の延長に過ぎぬのではないか?」


「……その懸念は、もっともだと思います」


 レンは、誠実に答えた。


「俺自身、竜族の皆さんが、どれほどの傷を負ってきたのか、まだ本当の意味では理解できていません。だからこそ――教えていただけませんか。あなた方が、何を失い、何を恐れているのか」


 その言葉に、紅蓮は僅かに目を見開いた。


「……人間が、我らの事情を知ろうとするなど、珍しいことよ」


 紅蓮は、静かに玉座に戻りながら、遠い記憶を辿るように語り始めた。


「かつての大戦、我らの故郷であった火竜山は、人間の軍勢によって焼き払われた。多くの幼き竜が、炎の中で命を落とした」


「……」


「以来、我ら竜族は、人間を心の底から信じることができずにいる。そなたが、いくら綺麗事を並べようとも、その傷が、簡単に癒えることはない」


 レンは、その言葉を、静かに受け止めた。


「分かりました。無理に、今すぐ信じてほしいとは言いません。ただ――俺は、あなた方が二度と、あの時のような悲劇を経験しなくて済むよう、力を尽くしたいと思っています」


「口先だけの言葉なら、いくらでも聞き飽きておる」


「なら、行動で示します。もし竜族の皆さんが望むなら、火竜山の復興に、俺の力を使わせてください。焼け落ちた土地を、かつての姿に近づけるための、強化を」


 その提案に、紅蓮は初めて、僅かな戸惑いを見せた。


「……そなた、正気か。竜族のために、そこまでするというのか」


「はい。理解のないまま、上辺だけの和解を結ぶより、まずは行動で、俺の想いを示したいんです」


 紅蓮は、しばらくレンを見つめた後、静かに目を伏せた。


「……面白い人間よ、そなたは。しばし、その言葉、信じてみることにしんす」


 こうして、紅蓮との対話は、完全な和解には至らないまでも、新たな一歩を踏み出すきっかけとなった。


 だが、竜族との真の和解には、まだ長い道のりが必要だった。


(第10話へ続く)


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