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強化倍率∞(インフィニティ)~武器しか強くならない俺が、気づけば○○していた~  作者: 伝説の男前
第4巻 国家戦争編(後編)

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第8話「はんなりと駆け引き」

 神族の領土、天空の神殿都市へと通じる道は、険しい山岳地帯の奥深くに隠されていた。


「本当に、こんな場所に、都市があるんですか」


 レンは、切り立った断崖を見上げながら、思わず呟いた。


「神殿都市そのものは、天空に浮かぶ島のような構造になっていると聞いています」


 ヴェルミナが、資料を確認しながら答える。


「訪問の許可は、既に得られているのでしょうか」


「事前の使者を通じて、面会の約束は取り付けています。ただ――どのような対応をされるかは、実際に会ってみるまで分かりません」


 案内された先、山頂に設けられた祭壇から、光の柱が立ち上り、レンたちの体を包み込んだ。


「な、これは……」


 次の瞬間、視界が切り替わり、レンたちは雲海の上に浮かぶ、荘厳な神殿都市の中央に立っていた。


「ようこそ、地上の御方」


 柔らかな声と共に姿を現したのは、艶やかな巫女装束に身を包んだ女性――シズカだった。


「初めまして。零崎レン、と申します」


「シズカどす。此度は、遠路はるばる、おこしやす」


 柔らかな京言葉で迎えられ、レンは少し緊張を緩めた。


「早速ですが、大陸統一の件について、お話しさせていただければと」


「まあまあ、そう急かんでも。まずは、お茶でもどうどす?」


 シズカは、優雅な仕草でレンたちを茶室へと案内した。だが、その柔らかな物腰の奥に、油断ならない駆け引きの気配が漂っているのを、レンは肌で感じ取っていた。


「ようお強いこと、感心どすなぁ」


 茶を一口含みながら、シズカが静かに切り出す。


「戦車に戦闘機、しまいには喋るドローンまで作らはって。人間界も、随分と面白いことになってますなぁ」


「その、俺の力は、あくまで理解を深めた分だけ発揮されるもので……」


「そこまでせんでもよろしおしたのに」


 シズカは、意味深な笑みを浮かべた。


「うちら神族は、地上の争いには、極力関わらん主義どす。せやけど――」


 彼女は、扇子で口元を隠しながら、続けた。


「あんたはんの目指す統一とやら、本当に、地上の民のためになるんどすか? それとも、ただの自己満足に過ぎへんのどすか?」


 その問いは、柔らかな口調とは裏腹に、鋭くレンの本心を突いてくるものだった。


「……正直に言うと、俺自身、まだ確信を持てているわけじゃありません」


 レンは、素直に答えた。


「でも、これまで見てきた戦争の傷跡、傷ついた人たちの姿を思うと――少しでも、争いのない世界を作りたいと、心から思うんです」


 その言葉に、シズカは、しばらくレンを見つめた後、僅かに扇子を下げた。


「……ふふ、素直なお人どすなぁ」


「シズカ様?」


「よろしおす。うちら神族も、あんたはんの目指す道、しばらく見守らせてもらいますわ」


 シズカは、優雅に立ち上がった。


「せやけど、忘れんといておくれやす。力の使い方一つで、あんたはんは、いくらでも変わってしまう。それを見誤らんよう、はんなりと、でもしっかりと、歩んでおくれやす」


 その言葉には、単なる駆け引き以上の、深い含みが感じられた。


 こうして、神族との対話は、正式な交渉というよりも、シズカによる「見極め」という形で幕を閉じた。だが、それは決して悪い結果ではなかった。


「零崎殿、神族側からは、当面の中立、そして必要に応じた協力の姿勢を示していただけたと理解しています」


 ヴェルミナの分析に、レンは安堵の息を吐いた。


「次は……竜族、ですね」


「はい。おそらく、これまでで最も困難な相手になるでしょう」


 レンは、拳を握りしめながら、次なる挑戦への覚悟を新たにした。


(第9話へ続く)


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