第6話「五大勢力」
大陸統一への決意を固めたレンの元に、ヴェルミナが大陸全土の勢力図をまとめた資料を持って現れた。
「零崎殿、大陸統一を目指す上で、まず把握しておくべき勢力について、整理いたしました」
広げられた地図には、大陸を分かつ五つの大きな勢力圏が描かれていた。
「まず、既に和平協定を結んだノルデア王国と、旧ドラケイン帝国。この二つは、既に協力体制にあります」
「はい」
「問題は、残る三つの勢力です」
ヴェルミナは、地図の各所を指し示していく。
「一つ目は、大陸南方に広がる魔王軍。かつて人類と敵対していた魔族の残党を中心に組織された勢力で、独自の統治体制を築いています」
「魔王軍……」
「二つ目は、大陸中央の山岳地帯に鎮座する神族。天空に浮かぶ神殿都市を拠点とし、人間界への干渉を最小限に留める、閉鎖的な勢力です」
「神族、ですか」
「そして三つ目――大陸東方の火山地帯を根城とする竜族。かつて人類との大戦を経験し、深い因縁を抱える勢力です」
レンは、地図に描かれた三つの勢力を、じっと見つめた。
「これらの勢力を、どうにか統一しない限り、大陸全土の平和は成し得ない、ということですね」
「その通りです。ただし――」
ヴェルミナは、慎重な口調で続けた。
「それぞれの勢力には、単純な武力による制圧では解決できない、深い事情が絡んでいます。特に竜族には、人類への根深い恨みがあると聞いています」
「恨み、ですか」
「詳細は、現地に赴かねば分からないでしょう。いずれにせよ、力だけでなく、対話や理解も必要になる相手ばかりかと思われます」
レンは、静かに頷いた。
「分かりました。まずは、どこから向かうべきでしょうか」
「地理的に近い、魔王軍から交渉を始めるのが、現実的かと思います」
こうして、レンたちの新たな挑戦――大陸統一に向けた、五大勢力との対峙が始まることとなった。
出発の準備を進める中、ドルシスが、珍しく神妙な表情でレンに声をかけてきた。
「レン、少し、話しておきたいことがある」
「なんですか、ドルシスさん」
「……いや、今はまだ、時期尚早か」
ドルシスは、何かを言いかけて、結局言葉を飲み込んだ。
「すまん、忘れてくれ。ただ――神族や竜族との対峙において、お前の“理解する力”は、これまで以上に試されることになるだろう。心して臨むといい」
「はい、肝に銘じます」
レンには、まだドルシスが何を隠しているのか、想像もつかなかった。
だがこの先、レンが「理解」を重ねていく中で、やがてドルシスの秘めた過去、そして彼自身が抱える「もう一つの顔」が、明らかになっていくこととなる。
大陸統一への長い道のりが、今、静かに幕を開けようとしていた。
(第7話へ続く)




