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強化倍率∞(インフィニティ)~武器しか強くならない俺が、気づけば○○していた~  作者: 伝説の男前
第3巻 国家戦争編

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第10話「対抗策」

 東部国境に到着したレンたちは、力を失った戦車の残骸を目の当たりにした。


「これが……無効化された状態、か」


 装甲は元の旧式のまま、ただの鋼鉄の塊に戻っている。


「敵の遺物、確認されました! 巨大な水晶のような形状で、円形の陣地の中心に設置されているようです!」


 斥候からの報告に、ヴェルミナが地図を確認する。


「あの遺物が発する“無効化の波”が及ぶ範囲内では、既存の強化効果が全て消失してしまうようですね」


「なら、その範囲内に踏み込まなければ、いいだけの話じゃ……」


「いえ、問題は、その範囲が徐々に拡大している点です。放置すれば、いずれ我が軍全体が影響を受けることになります」


 レンは、拳を握りしめた。


「ゼロ号、例の対抗策、始めよう」


『了解であります、マスター!』


 レンは、範囲の外縁に留まりながら、戦車一両を対象に、強化を掛け直す作業に取り掛かった。


「強化……!」


 掌から流れ込む光が、戦車を包み込む。だが、範囲に近づいた瞬間、その光が徐々に薄れていくのが見えた。


「くっ……本当に、効果が打ち消されていく……」


『マスター、演算のサポートを開始します! 強化の再構築速度を、最大限まで引き上げます!』


 ゼロ号の演算補助を受けながら、レンは何度も何度も、強化を重ね直していった。


「一回、二回……まだ、足りない……!」


 額から汗が滴り落ちる。無効化の波に抗いながらの強化は、これまでにない消耗を伴った。


「零崎殿、大丈夫ですか!」


「まだ……いけます!」


 やがて、幾度目かの重ね掛けの末、戦車の装甲に、僅かながら強化の光が定着し始めた。


「効果が……維持されている、のか?」


「はい! わずかながら、無効化の波を上回る強化速度を維持できています!」


 ヴェルミナの報告に、レンは荒い息のまま頷いた。


「なら、この方法で……戦線を維持できる」


 この対抗策により、レンたちは無効化の脅威に、一先ずの対応策を見出すことに成功した。だが、それは決して楽な戦い方ではなかった。


「これ、ずっと続けるのは、正直かなりきついな……」


 レンは、汗だくになりながら、苦笑いを浮かべた。


「零崎殿、無理は禁物です。交代で休息を取りながら、対応していきましょう」


 ヴェルミナの気遣いに、レンは頷いた。


 この一件を境に、戦争は新たな局面へと突入していった。単なる兵器の性能差だけでなく、「強化」という概念そのものを巡る攻防が、戦況を左右するようになっていったのだ。


 数週間にわたる激しい攻防の末、ザガレス皇帝率いるドラケイン帝国は、ついに全面降伏を申し出るに至った。


「終わった……のか、この戦争」


 降伏の報せを受け、レンは深い安堵のため息をついた。


「はい。零崎殿の力と、決して諦めなかった意志が、この戦争を終わらせたのです」


 ヴェルミナの言葉に、レンは静かに首を振った。


「俺一人の力じゃない。皆が、力を合わせてくれたからです」


 こうして、大陸を揺るがした国家戦争は、レンたちの勝利という形で、一先ずの終結を迎えることとなった。


 だが、これはまだ、大陸統一という、より大きな物語の、一つの通過点に過ぎなかった。


(第3巻・完 第4巻へ続く)


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