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強化倍率∞(インフィニティ)~武器しか強くならない俺が、気づけば○○していた~  作者: 伝説の男前
第3巻 国家戦争編

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第5話「裏切り者」

 ザガレス皇帝との対話から一夜明け、東部戦線は再び激しい攻防に突入していた。


「零崎殿、敵軍の一部に、動きがおかしい部隊があります」


 ヴェルミナが、双眼鏡越しに戦場を観察しながら、眉をひそめた。


「おかしい、というと?」


「明らかに、こちらの防衛線の弱点を熟知しているような動きです。まるで、内部の情報が漏れているかのような」


 その言葉に、レンの背筋に冷たいものが走った。


 程なくして、その懸念は現実のものとなる。


「報告します! 東部戦線の補給ルート、複数箇所で待ち伏せに遭い、壊滅的な被害を受けました!」


「な、なんだと……」


「補給ルートの詳細は、極一部の関係者しか知らないはずだぞ……!」


 指揮所に、動揺が広がる。


 その日の夜、レンが一人で作業場に残っていると、思いがけない人物が姿を現した。


「よお、レン。久しぶりだな」


「……鬼灯さん?」


 現れたのは、かつて第七小隊で共に過ごしていた、レンを最初に見限ったパーティメンバーの一人――鬼灯だった。だが、その雰囲気は以前とはまるで違っていた。粗野な物腰、鋭い目つき。まるで別人のようだった。


「随分と、羽振りが良くなったみてえじゃねえか」


「あなた、どうしてここに……まさか」


「ああ、その“まさか”だよ」


 鬼灯は、ニヤリと笑いながら懐から一枚の書状を取り出した。ドラケイン帝国の紋章が刻まれている。


「お前がハズレスキル持ちだって笑われてた頃、俺も似たようなもんだったからな。だが――お前と違って、俺には見返りがなかった」


「それで、敵国に……」


「情報を売った。お前らの補給ルート、防衛計画、全部な。ザガレス皇帝は、ちゃんと俺の価値を認めてくれたぜ」


 鬼灯は、腰の剣に手をかけながら、レンへと距離を詰めた。


「お前の力、もらっていくぜ、レン。……いや、正確には、お前自身をな」


「な……!」


「これも、命令なんでな」


 その瞬間、鬼灯が抜刀し、レンへと斬りかかった。


「危ない!」


 間一髪、駆けつけたガイウスが、鬼灯の剣を弾き返す。


「ガイウス……!」


「レン、下がってろ! こいつは俺が相手する!」


 ガイウスと鬼灯の剣戟が、作業場に激しい火花を散らす。


「くっ、お前、なんでこんな真似を……!」


「知るかよ! 俺はただ、自分の価値を認めてくれる方につくだけだ!」


 激しい攻防の末、ガイウスの一撃が、鬼灯の剣を弾き飛ばした。


「くそっ……!」


 鬼灯は舌打ちしながら、後方に飛び退いた。


「今日のところは退くが……レン、いずれお前の力は、俺たちが頂くことになるからな」


 その言葉を残し、鬼灯は闇の中へと姿を消した。


「レン、大丈夫か!」


「うん……ありがとう、ガイウス」


 レンは、震える手を握りしめながら、ようやく息を吐いた。


(あいつが、裏切っていたなんて……)


 その夜遅く、ヴェルミナが緊急の分析結果を持って現れた。


「鬼灯という人物からの情報漏洩、すでに複数箇所で確認が取れました。至急、防衛計画の全面的な見直しが必要です」


「分かりました……」


 レンは、深いため息をついた。信頼していた仲間が裏切っていたという事実は、想像以上に重くのしかかった。


「レン、気に病むな」


 ガイウスが、レンの肩に手を置く。


「裏切る奴がいる一方で、こうしてお前を守ろうとする奴もいる。それを忘れるな」


 その言葉に、レンは僅かに救われる思いがした。


 だが、この裏切りの一件は、まだ物語の序章に過ぎなかった。


 ザガレス皇帝の本格的な猛攻が、いよいよ幕を開けようとしていた。


(第6話へ続く)


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