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強化倍率∞(インフィニティ)~武器しか強くならない俺が、気づけば○○していた~  作者: 伝説の男前
第3巻 国家戦争編

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第4話「皇帝ザガレス」

「皇帝自ら、東部戦線に出陣……」


 ヴェルミナが、険しい表情で報告書を読み上げる。


「ザガレス皇帝は、単なる為政者ではありません。若い頃から自ら剣を取り、数々の戦場を渡り歩いてきた、生粋の武人でもあります」


「そんな人物が、直接前線に……」


「おそらく、南部と北方での敗北を受け、我々の戦力を直接見極めるつもりでしょう」


 レンは、地図に描かれた東部戦線の状況を見つめた。既に複数の防衛拠点が突破され、危機的な状況が続いている。


「東部戦線へ、急行しましょう」


「賛成です。ただし――」


 ヴェルミナは、レンをまっすぐに見据えた。


「ザガレス皇帝は、単に戦力を打ち破るだけでなく、その戦力を生み出す“源”そのものにも、強い関心を示す人物です。零崎殿ご自身が、直接狙われる可能性も否定できません」


「……分かりました。気をつけます」


 東部戦線に到着したレンたちを待っていたのは、これまでとは比較にならないほどの、圧倒的な兵力だった。


「敵軍、数にして三万以上……」


「これまでの戦線とは、桁が違う」


 ガイウスが、険しい表情で戦場を見渡した。


 平原の彼方、金色の鎧を纏った一人の男が、悠然と前線に立っている姿が見えた。周囲を圧倒するような、圧倒的な存在感を放つ、その人物こそがザガレス皇帝だった。


「あれが……」


 レンは、その姿を見つめながら、思わず息を呑んだ。


 戦闘は、すぐに始まった。レンが強化した戦車隊、飛行艦隊が、次々と敵軍を打ち崩していく。だが、ザガレス皇帝率いる本隊だけは、これまでの敵軍とは明らかに異なる動きを見せていた。


「彼らの部隊、統率が全く乱れません……!」


 伝令兵が、驚愕の声を上げる。


 ザガレス皇帝自らが指揮する本隊は、圧倒的な兵力差にもかかわらず、一切の乱れなく、着実に防衛線を押し返してきていた。


「化け物か、あの皇帝……」


 ガイウスが唸る。


 戦況を見つめるレンの脳裏に、ヴェルミナの言葉がよぎった。


(俺自身が、狙われるかもしれない……)


 そんな予感は、すぐに現実のものとなった。


「零崎レン殿とお見受けする」


 突如、指揮所の近くに、一人の騎馬武者が単騎で駆け込んできた。


「な、なんだ、貴様!」


 護衛の兵士たちが、慌てて武器を構える。だが、その武者は静かに手を上げ、敵意のないことを示した。


「私は、ザガレス皇帝陛下の使者です。零崎レン殿に、直接の対話を求めております」


「対話……?」


 レンは、緊張しながら前に出た。


「陛下は仰っております。“弱者を淘汰する効率主義こそが、この乱れた世界を正す唯一の道である”と。その理念に基づき、貴殿の力――理解に基づく際限なき強化――に、深い興味を抱いておられます」


 使者は、静かにレンを見据えた。


「陛下は、貴殿を戦場で打ち破ることよりも、むしろ貴殿を、御自身の理念の下に迎え入れたいと望んでおられます」


「……それは、断ります」


 レンは、迷うことなく即答した。


「俺の力は、誰かを踏みにじるためのものじゃない。守りたいもののために使う力です」


 使者は、しばらくレンを見つめた後、静かに一礼した。


「承知いたしました。……ならば、戦場にて、その意志の強さを証明していただくことになりましょう」


 そう告げると、使者は馬を返し、去っていった。


 レンは、その背中を見送りながら、深く息を吐いた。


(ザガレス皇帝……本当の意味での、初めての強敵かもしれない)


 この対話をきっかけに、レンとザガレス皇帝の対立は、単なる国家間の争いを超えた、思想と信念のぶつかり合いへと発展していくこととなる。


(第5話へ続く)


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