第八話 給水塔
始まりの四人の一人、武司には好きな子がいた。
学年でも五指に入るほど人気の双子だ。
武司は運動神経こそ良かったが、勉強は苦手だった。
将来の夢は、中卒でラーメン屋に就職し、修業して自分の店を持つこと。
双子ちゃんの好みがどんなものかは知らないが、武司には高嶺の花だっただろう。
俺は真夜中、よく学生服のまま武司と行動していた。
退屈だった。
とにかく毎日が退屈だったんだ。
深夜の徘徊は、暇つぶしにもってこいだった。
何キロも歩きながら夜空を見上げ、理想を語り合う。
そんな日々を過ごしていた。
ある夜、河川敷を歩いていると、テントが捨てられていた。
台車まである。
なんでこんな所に落ちているのかわからない。
だが、とりあえずテントを張ることにした。
どうせなら双子ちゃんの家の近くがいい。
武司はそう言った。
今ならストーカーである。
俺たちは台車でテントを運んだ。
そして向かった先は、給水塔のある山だった。
巨大なパイプが通る階段を、何段も何段ものぼる。
もちろん、テントを担いだままだ。
夜中に何キロも徘徊した後だったので、この階段はきつかった。
だが、二人とも運動部だったから体力はあった。
山の上の給水塔の下にテントを張る。
高い場所から見る地元の景色は最高だった。
俺たちはアホだから、そこで三日三晩暮らした。
焚き火で寒さをしのぎ、家から持ってきた食料で飢えをしのぐ。
武司はどこからか持ってきたスプレーで、給水塔に落書きをした。
思春期だったからな。
卑猥な絵や言葉を、給水塔に刻み込んだ。
そして散々遊び尽くした四日目。
悪夢の給食の時間がやってきた。




