第十九話 辞めていく友
俺たちの部室の管理は、半年経っても相変わらずだった。
毎日、
「早く後輩が入ってこないかなぁ」
そんな事ばかり考えていた。
中学から一緒に入学した四人のうち、一人は学校に来なくなり、そのまま退学してしまった。
部活で辛かったのは、鍵の管理や弁当の買い出しだけじゃない。
詳しくは言えないが、部室では先輩たちが悪さをしていて、それに付き合わされ、何時間も待たされるのが嫌だった。
きっと龍二も同じ気持ちだったんだと思う。
そんな頃、来年、新しい高校ができるという噂が流れた。
県内では珍しい単位制の高校。
定時制と通信制を兼ねた学校だった。
俺と龍二は、
「編入できねぇかな」
なんて話していた。
当時の俺たちは、どこかで定時制高校に通っている自分たちを落ちこぼれだと思っていたのかもしれない。
全日制の高校生活に憧れた事もあった。
十六歳にして正社員として働き、社会を知っている奴が多い定時制。
だから、全日制の高校生たちはキラキラして見えた。
もっとも、この考えは卒業する頃には百八十度変わる。
だが、一年生の頃の俺は、ネガティブな考えばかりしていた。
ある日、龍二が学校を休んだ。
次の日は来た。
だが、徐々に休む日が増えていった。
定時制高校は、昼間働く事を勧めている。
昼間に遊んでいると、夜の学校にも来なくなるからだ。
知らないうちに、龍二は仕事を辞めていた。
中学時代の友人、武司もまた、志半ばでラーメン屋を辞めていた。
二人とも、仕事をしては辞めるの繰り返しだった。
そして、龍二は原付の免許を取り、「翼」を手に入れると、学校にはほとんど来なくなった。
武司も来年、星北商業高校に入ってくる。
そんな淡い期待もあった。
だが、結局、武司が入学する事はなかった。
そして高校一年生も半ばを過ぎた頃。
龍二は退学した。
単位も足りず、留年は確実だった。
気が付けば、地元中学の仲間は俺と、モンキーというあだ名のツレだけになっていた。
モンキーとは小学生からの友人だったが、この頃はあまりつるんでいなかった。
だから、龍二が辞めてからは、帰り道はいつも一人だった。
「早く原付欲しいなぁ……」
そう呟いて、鼻水をすすった。
鼻水が出ると、中学生の頃、他校に乗り込んだ日の事を思い出す。
あの頃は楽しかった。
楽しかった頃ばかり思い出すのは、今が辛いからだろうか。
そんな事を考えながら、自転車をこいでいた。




