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第十七話 高校生活スタート

定時制高校。


今ではずいぶん数が減ったが、俺たちの頃は、あちこちに定時制高校があった。


授業は夕方五時から夜九時まで。


昼間は正社員として働いている人も多く、年齢もバラバラだった。


同級生の中には、十歳近く年上の人もいる。


勉強が苦手な奴、ヤンキー、中卒のままでは不便だからと学歴を求めて入学した大人たち。


本当に、いろいろな人間が入り混じる場所だった。


ここに四年間通うのか。


そう思いながらも、俺の本命は高校ではなかった。


当時の俺にとって、メインは技能専だった。


高校生活は、どちらかと言えばオマケのような感覚だったんだ。


その技能専も、なかなか個性的だった。


職業訓練校のような場所だったから、転職のために資格を取りに来る人が多い。


同級生は一人もおらず、親子ほど年齢の離れた人たちと机を並べていた。


そんな生活が始まった頃、俺は高校でサッカー部に入った。


龍二も一緒だった。


さらに、同じ中学から来た二人も入部したため、新一年生は地元の顔ぶればかりになった。


ただ、不思議だった。


今年できたばかりの新しい部活。


そんな簡単に部活なんて作れるものなのか。


実は、そこには事情があった。


サッカー部のキャプテンは四年生。


当時で言うところの、学校の「番格」だった。


今ではほとんど聞かなくなった言葉だが、いわゆる番長グループの中心人物である。


その先輩たちの強い後押しで、サッカー部は誕生したのだった。


そして、入部した俺たち一年生には、大事な仕事が与えられた。


部室の鍵の管理である。


授業が終わると、先輩たちより先に部室へ行かなければならない。


チャイムが鳴った瞬間、猛ダッシュ。


俺は技能専に通っていただけだから、まだ体力に余裕があった。


しかし、昼間は正社員として働き、夜は学校に通う龍二は、毎日ヘロヘロだった。


部活が終わると、先輩たちはそのまま部室に集まってたむろする。


すると、次の仕事が始まる。


「弁当買ってこい」


「ジュースも頼む」


俺たち一年生は、毎晩のように買い出し係だった。


定時制高校には給食があった。


登校すると、まず夕飯を食べる。


それから授業を受ける。


だが、部活を終える頃には、みんな腹が減る。


そのため、先輩たちは毎日のように弁当を買わせた。


俺はバイトをしていなかった。


いや、する時間なんて無かった。


当然、自由に使える金もない。


先輩たちが弁当や飲み物を食べている横で、何も買えない自分がいる。


その時間が、正直つらかった。


しかも、昼間働いてもいない先輩たちほど、いつまでも部室に居座る。


俺たちは鍵を預かっているから、先に帰るわけにもいかない。


ようやく解放される頃には、深夜になっていた。


家に着くのは午前三時。


飯を食い、風呂に入り、布団に入る頃には四時。


そして二時間後には起床。


龍二は仕事へ。


俺は技能専へ。


原付が欲しかった。


少しでも移動が楽になればと思った。


だが、そんな金はない。


毎日が、とにかくしんどかった。


昼も夜も、授業中は眠気との戦い。


いや、戦いですらなかった。


気が付けば、机に突っ伏して眠っていた。


高校生活の幕開けは、希望に満ちたものではなく、


ただひたすら眠くて、慌ただしくて、


思っていたより、ずっと過酷なスタートだった。


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