第十五話 入試
なんだかんだで、卒業まであと数ヶ月となった。
結局、進路希望を提出したのは学年で俺が最後だった。
散々悩んだ末、俺は進学を選んだ。
進学先は、星北商業高校定時制。
そして昼間は、知り合いに紹介された技能専のような学校へ通うことになった。
そこは転職や再就職を支援するための施設で、技能を学びながら社会復帰を目指す場所だった。
国が運営しているらしく、学費の負担もほとんどない。
昼は技能専の電気科。
夜は定時制高校。
そんな生活が始まろうとしていた。
技能専は試験免除だったが、定時制高校には入学試験があった。
とはいえ、作文と面接。
作文は得意だったし、面接も嫌いではなかった。
試験官からは、こんな質問をされた。
「我が校は金髪禁止です」
「また、暴走族に加入した場合は例外なく退学処分になります」
「大丈夫ですか?」
俺は元気よく答えた。
「僕は日本人なので、髪の色は黒で充分です」
さらに続けた。
「寒がりなので、暴走族には入りません」
隣にいた龍二は、笑いを堪えるのに必死だったらしい。
数ヶ月前の俺は、兄貴のブリーチを勝手に使って髪を染め、武司と二人でゴリよしに捕まり、ボコボコにされた挙げ句、五厘刈りにされていた。
しかも定時制高校はバイク通学が認められている。
「寒がりだから暴走族に入らない」
その理由が、龍二のツボに入ったのだ。
こうして俺と龍二、そして同じ中学から来た二人を加えた四人が、星北商業高校定時制へ進学することになった。
だが――
そこに武司の姿は無かった。
受験直前になって、武司は進学をやめた。
「一年遅れて、来年受けるよ」
そう言い残し、受験しなかったのだ。
だが俺には分かっていた。
来るわけがない。
ただでさえ厳しい定時制高校だ。
一つ下の学年に混ざってまで、勉強嫌いの武司が通うとは思えなかった。
中学三年間を通して、一番仲が良かった親友。
その武司と、俺たちは本気でぶつかった。
殴り合いにはならなかった。
だが、本気の喧嘩だった。
「龍二は、自分の進路を蹴ってまで定時制に来るんだぞ!」
「俺だって……」
俺はそこまで言って、言葉を飲み込んだ。
今でも、その先を覚えていない。
ただ、お互いに譲れなかったことだけは覚えている。
こうして俺と武司は、険悪な空気のまま中学生活が終わりに近づいていった。




