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第十四話 定時制高校

俺たちは、よく武司の家を溜まり場にしていた。


何かを賭けるわけでもないのに、毎日のようにタバコを吸いながら麻雀をしていた。


そして夜になると徘徊する。


とはいえ、街まで遠い田舎だ。徘徊すると言っても、山や川ばかりの人気のない道を歩き回るだけだった。


武司の家には、多い時で十人近く集まっていた。


今思えば、親御さんには本当に迷惑だったと思う。


だが、武司の母は溜まり場にされることは許しても、深夜の徘徊だけは絶対に許さなかった。


悪さをするくらいなら、家にいろ。


そんな考えだったのだろう。


もちろん、俺たちも黙って従うような連中じゃない。


武司の家の屋根をつたい、こっそり地面へ降りて脱出していた。


見つかったら大目玉だ。


だから、みんな慎重だった。


そして、明け方になると何事もなかったような顔で帰ってくる。


そんな生活を繰り返していた。


ある日のことだった。


武司の母が、俺に声をかけた。


「将虎、ちょっと話がある」


いつになく真剣な表情だった。


「将虎、お前、最近勉強頑張ってるそうじゃないか」


「もしかして進学を考えているのか?」


俺が頷くと、武司の母は少し言いにくそうに続けた。


「だったら、武司を誘ってくれないか?」


「どんな学校でもいい。高校くらいは出てほしいんだ」


その言葉には、親としての切実な願いが込められていた。


俺は武司の母には頭が上がらなかった。


「うん、わかった。武司と話してみるよ」


そう約束した。


その後、武司に相談してみた。


だが、武司はあまり乗り気ではなかった。


無理もない。


武司の成績では、どこの高校を受けても厳しいのが現実だったからだ。


そんな時だった。


定時制高校を題材にしたテレビ番組が放送されていた。


定時制高校?


俺たちは興味を持って調べてみた。


すると、入試は面接と作文が中心。


昼は働き、夜は高校へ通う。


卒業まで四年間かかるが、高卒資格を取得できる。


俺は思わず声を上げた。


これだ。


俺たちみたいな勉強嫌いでも挑戦できる。


働きながら高校に通える。


しかも、高卒資格まで取れる。


俺たちにとっては理想的な選択肢だった。


俺は武司を誘った。


「一緒に定時制高校へ行こうぜ」


武司も次第に興味を持ち始めた。


「それなら、俺でも行けるかもしれねぇな」


そこからは早かった。


二人で面接の練習をした。


作文の書き方も調べた。


卒業したらどこへ就職するか。


そんな話で盛り上がった。


あまりにも楽しそうに話していたからだろう。


それを見ていた龍二が羨ましくなった。


「俺も一緒に定時制高校へ行くよ」


突然そう言い出した。


だが、俺は反対した。


龍二にはバレーの推薦が来ていた。


しかも、一校だけじゃない。


出文テストという受験用の実力テストでも成績は十分だった。


普通に受験しても、進学できる高校はいくらでもあったのだ。


それでも龍二は止まらなかった。


むしろ、俺たち以上に定時制高校について調べ始めた。


そして最終的に、俺たちは同じ高校を受験することを決めた。


星北商業高校。


これが、俺の母校となる学校だった。


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