恭子と玲子 vol.082 「初めてふたりっきりで…。」
「和~、お茶入ったよ~。」
智香子。
「おぅ…、ありがと。」
和人。
「天気いいね。」
「あぁ…。どうやら…あのふたりも…ようやく腰…上げたか。」
「ふふ…、今頃…。」
「どうする…、アパート…、いつ…引き払う???…こっちはいつでも…。まぁ…、このまんまだけどな。」
実は智香子は和人と婚約して以来、
和人の家と自分のアパートとの行ったり来たりを繰り返していた。
もちろん、勤務先にはアパートの方が最短距離ではあったが、
和人と一緒にいるときは、必然的に和人の家で過ごしていた。
「うん。区切りが良いから、結婚してからこっちくるわ。」
「おっ、分かった。」
「あと…1ヶ月ねぇ…。」
「えっ、そうなの…???もんちゃん、和兄ぃの家で…、一緒に生活してるんだ…。」
移動販売で買ったカフェラテを飲みながら恭子。
「うん。だから、和さんと智香さん、結婚したら、アパート探そうかと思ったら…。」
夏輝。
「うん。思った…ら…???」
「言われちゃった。」
「何て…???」
「何でって…。」
「何でって…???…えっ…えっ…???」
「はは…、つまり…、今更何でアパート…探さなきゃなんないんだって…。」
「あ~。」
中途半端な受け止め方で恭子。
そんな恭子を見て夏輝。
「…恭子ちゃん…???」
何かしら、遠くを見ているような感じの恭子…。
「えっ…???…あっ…。あっ、ご…、ごめんなさい…。何だか…ぼ~っと…、しちゃって…。」
「…ん…、はは…。」
夏輝も遠くを見るような視線で…。
「あっ、ああ…、あっ…もんちゃん…。ごめん…。初めてふたりっきりで…。」
「…ん…???」
「私…、こういうの…、は…初めて…なんだ…わ。…おとこの…ひととって…、何…、ふたりで…って…。…だから…。」
「…だから…???…ん…???」
ベンチに座っている恭子。夏輝がゆっくりと下を向いている恭子の顔を覗くと…。
ゆっくりと顔を上に向ける恭子。
夏輝、
「えっ…えっ…、恭子ちゃん…???」




