恭子と玲子 vol.052 「頭…なでなで」
「なんかね、明彦みたいな顔見ていると、どうしても、頭…なでなでしたくなっちゃうのよ…。」
笑いながら、涙まで流して言う里奈。
「おい、里奈…、お前…泣いてんのか…???」
隼人。
里奈の前で、完璧に真赤になって、更に畏まる明彦。
その傍で可笑しくって堪らない浩二。それにもらい笑いする隼人。
それに釣られてテーブルの上に右手をかざして、
明彦の頭をなでなでするようなゼスチャーをする里奈。
その途端、いきなりその個室だけが爆笑。
和人、夏輝…、
「…ん…???」
個室から顔だけ出して隼人。
カウンターの奥の和人に、泣き笑いのように…左手をひらひらさせて、
「だいじょうぶ。」との合図。
里奈は相変わらず目をハンカチで押さえて…、
「でも…、明彦って、あの人に似てるよね…。」
「えっ…、だれだれ…???」
いきなり目を丸くする浩二。
「ほら…、結構まん丸い顔したあの人…、何てったっけ…、森…永…???」
「あ~あ~、知ってる、知ってる、うんうん。そうそう…、そう言えば…似てる、似てる。」
と、浩二。
「ひょっとして…、それって…、森永悠希…???…俺が…???」
明彦。
「えっ…、どんな人…???」
隼人。
「やっだ~~知らないんだ、隼人~~。」
「俺…、似てるかな…???」
明彦。
「うんうん。似てる、似てる。」
「来た、来た、来たよぉ~青山さ~ん。先日はご馳走様でした。」
店のドアの前で、胸の前で両手を合わせて恭子。
そんな恭子を見て玲子。
「うん、そうだね。感謝しなきゃ。」
と、こちらも同じように、胸の前で両手を合わせて…。
「ちょっと、ちょっと~。お葬式に来てるんじゃないからね~。」
クスクスと笑いながらの智香子。
ベロリと舌を出す恭子。
照れながら、恭子の右肘を小突く玲子。
そして、ドアを開けて、
「ただいま~。」
と、いつも通り店の中に入って行く智香子。
その後に、
「今晩は~、先日は、ご馳走様でした~。」
恭子と玲子。




