恭子と玲子 vol.033 「…だから…、尚更ね~~。」
「へぇ~え~、そんな可愛い子なんだ~そのバイトの子って…。」
和人。
「うん。2人とも…、良い子たちよ~~。はは…、な~んか、妹みたいなんだよね~。」
智香子。
「そうか…、なら…尚更…可愛がってやんねぇと…、なっ、智香。」
「うん。」
「あれから…もう~5年か~。」
捌いた切り身を皿に移しながら、和人。
「うん。」
少し…思い出した様に目を潤めて智香子。
そこへ夏輝、
「はい、智香さん、お茶。どうぞ~。」
「あっ、あ…、ありがとう、もんちゃん。」
そして少しだけ鼻を啜って。
「へへ…。ちょっち…、思い出しちゃったかな…。」
「ふふ…、…だ~な。」
実は、安藤智香子には、歳の離れた智恵美と言うひとりの妹がいる。
けれども…5年前に交通事故で亡くなっている。
暴走車による信号無視である。
警察からの連絡で病院に駆け付けた時には、もう既に、還らぬ人となっていた。
東京に住む姉、智香子の元で、一緒に生活して、
大学生活を楽しむと言うその矢先の出来事。
智香子も当時から付き合っていた青山和人と、出掛け先でその報せを聞き、
和人の車で病院へ。
変わり果てた妹のその姿を見て愕然としたのだった。
「もしかして…、そのバイトの子たち…、智恵ちゃんと…同じくらい…か…???」
和人。
「うん、そう…。大学…入り立て。…だから…、尚更ね~~。将来は…、レストラン経営だって…。言ってたな~~ふふ…。」
「へぇ~え~、なんとまぁ…、素敵な夢じゃないの。…一度…、ここにも連れてきたら…。歓迎するよ。智恵ちゃんみたいな子だったら…。」
「うん、ありがと…。彼女たちにも、勉強になるかも…。それに、この店も…。」
「はは…えらい、褒めちぎるねぇ~ん~???」
「当然でしょ~、みんな…黙ってるけど…、ここなんて、知る人ぞ知る、穴場なんだから…。」
「これは、これは…、恐悦至極に存じます、お局様。」




