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恭子と玲子  作者: THMISmama
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32/211

恭子と玲子  vol.032  和風割烹「せいざん」

表通りからは見えないが、通りから一歩その小路に踏み込めば、

自然に情緒ある和の雰囲気に体が包まれる。


そして数メートル歩いた先の店の入り口には、

和洋折衷を感じさせる赴きの玄関。

そこには、遊び心を感じさせながらも、どことなく懐かしさをも感じさせるデザインの…、

しかも…、ひらがなで、「せいざん」


その和風割烹のオーナー兼料理長の青山和人。

カウンターで…、今日のメニューは何かと、待ちわびていた安藤智香子、

その真ん前に、

「はい、どうぞ~、お待たせ~。」

「うわっ、凄っ、美味しそう~!!!」


「本日のメニューでござ~い。」

「さっすが~和く~ん。では、早速…。」


出された料理の一品を箸で摘まんで口に運んで味わう。

目の前では、腕を組んで智香子を見つめる青山和人。


「んふふふ…。」


その智香子の顔を一瞬見ただけで、

また組んだ腕を解いて右手に包丁、まな板に向かう。


そして、入り口の方向から聞こえる、新しい客の声に、

そのままの姿勢で顔を向け、笑顔を送る。


傍にいる従業員の門田夏輝がすぐさま、

「いらっしゃいませ、お待ちしておりました。どうぞ。」


客の一人が、

「もんちゃん、今日も、頼むよ。」

「こちらこそ、ごゆっくりとどうぞ。」


そう言いながら、小部屋に案内する。

フロア的には、決して広くはないが、カウンターがあり、

そのカウンターを中央に、左右に小部屋が数ヶ所ある和風割烹「せいざん」


そして、何とこのお店、スタッフはわずかに2名である。

それでも、都内の和風割烹では、人気ランキングでは目にしないが、

「知る人ぞ知る」的な好感触の店でもある。


その理由が、一切の取材お断りである。

…とは言え、逆にその取材すら申し込まれた事はない。


どうやら、この店を好む客層が、そういう人気店であることを嫌うらしい。

店の雰囲気とその味を、顧客たちが守りたいと言う事らしいのだった。


「…で、こっちはどんな…味…???んふ…。」

智香子。



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