恭子と玲子 vol.015 恭子の顔目掛けて…。
「えっと~~、あとは…立地と物件に関する…、あ~~あった、あった、これだ。」
大学の図書室。左腕に数冊の分厚い書物を持って、
それでも尚も、経営関係の書物を探して、手を伸ばして引き抜こうと…、
無理に爪先立ちに、抜こうと…。その瞬間…、
「わっ!!!」
力任せで手前に引き過ぎて、
その隣の数冊の書物まで恭子の顔目掛けて落ちて来る、
「キャッ!!!痛った~~!!!」
おまけに左腕に持っていた書物まで床に落とし…。
「あ~ん、もう…やっちゃったか…。…ったく…。」
床に腰を降ろし、本を一冊手にして、もう一冊。すると…、
「えっ…???」
自分の手の他にもう1つの手。
「何で…???」
その手の方向に目をやり、いきなり、
「わっ!!!!」
途端にしりもちを着く恭子。そして、
「びっ…くりした~~~!!!」
「あっ、ごめん。別に…驚かすつもりじゃなかったんだけど…。」
相手を見て、そして控えめに…恭子。
「こ…こんにちは…。」
「ごめん、ごめん。結局…驚かせちゃったか……。」
「……。」
恭子の目の前に偶然にも現れた男性…、早瀬浩二である。
「…って、言うか…、実は、俺の方も…驚きなんだ…けど…。」
「えっ…???」
「あ~、ここだ、ここだと思って、この棚に入った瞬間に、君の顔目掛けて落ちてくる本。こっちだって…、いきなり目の前に…。」
「あ…、あ~~。」
「はい。」
書物2冊を手に取り恭子に差し出す浩二。
「あ…、あり…が…とう…。…あの…、今の…見てた…っ…て…事…???」
「いや…。残念ながら…、今…言ったように…、正確に言えば…。目に…飛び込んできた…。」
「はぁ…、はぁ…、はぃ。うん。そっか…。」
何とも…場の悪い感じの恭子。
「はぃ、ども…。ありがとう…ございました。…じゃ。」
書物を抱えながら浩二の脇を避けるように歩き出す恭子。
それを見送る浩二。
「えっ…、あぁ~。」




