表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
引きこもり令嬢(三十歳)の再起  作者: 池中織奈


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
21/40

20.同級生と話をしよう ③

 確かに私は、自分で言うのもあれだけど優秀な貴族令嬢であったと思う。どこに嫁いでも良いように教育を受けていた。



 語学も堪能で、今でも複数言語を喋ることは出来る。魔法や歴史などの知識も沢山学ばせてもらった。

 国内の貴族たちの情報や、領地でどのようなものが栽培されているかなども、大体が頭にある。とはいっても引きこもっていたから最近のものはそこまでだけど。

 だからといって、あれから何年経ったと思っているんだろうか。私は十数年も引きこもっていて、昔の私は……あくまで過去の栄光でしかない。




 オタリー様は確かに下位貴族の出だから、苦労をしたのは当然だと思う。元から王族や高位貴族に嫁ぐ予定で教育を受けていた私や他の令嬢達と比べると短期間で様々なことを学ばなければならないのだ。

 でもこれだけの長い時間があったならば、問題ないのでは? というのが正直な感想だ。そもそも敗者である私のことを気にしてどうするのだろうか。




「オタリー様は学園を卒業後にすぐに王太子妃になったのでしょう? それにその後、順当に王妃になったと聞いているわ。私はオタリー様がこれまでどのように王妃として過ごしてきたかは存じていないけれど、これまで王妃としてやってこれたのならば私と比べる必要なんて全く必要ないと思うわ」





 私と比べている存在達は、もしかしたら国王陛下やオタリー様の足を引っ張りたいのかもしれない。





 下位貴族の出の王妃。

 そんな立場の存在は、人によっては気に食わないものだろう。




 昔、私が当たり前のように王妃になると思って過ごしていた頃、公爵令嬢だった私に対しても「自分の方が王妃に相応しい」と行動を起こす令嬢は少なからずいた。私が王妃になってもおかしくないと周りに認められていたからこそ、その数はそこまで多くはなかったとは思うけれど……。

 本来ならばオタリー様のような下位貴族の出の令嬢ではなく、私が王妃にならなかったとしても高位貴族の令嬢がその座に就くのが順当だ。

 ――それなのに、オタリー様は王妃になった。それ相応の努力をしたのだと思うし、周りが好き勝手言っているだけな気もする。




「だからあなたも王国に仕える騎士として、周りの噂に振り回されてはいけないわ。私が王妃候補だったのは今はもう過去のことだもの。確かに私は先代王妃様には気に入られていたとは思うけれど……、オタリー様もきっと必死なのね。周りの声に振り回されて、私を気になさっているのだわ」



 でも先代王妃様は下位貴族の出の令嬢だから、なんていう理由だけで私のことを口にして比べるとは思えない。




 国王陛下だってそうだ。

 オタリー様が不安にならないように、彼らは支えていないのだろうか?

 少なくとも私の知る限り、国王陛下はオタリー様のことを大切になさっていた。高位貴族の令嬢から選ぶように言われていただろうに、他でもないオタリー様を選んだのだ。




 それだけ深い愛情があったのだろうというのは想像がつく。それなのにどうしてオタリー様を不安がらせているんだろうか? もしかしてそれだけ余裕がない? 私は貴族社会から離れて久しいから、事情は知らないけれど王宮はバタバタしていたりするのかしら。




「……こんなことを騎士である私が口にするのをマルグレッタ様は不適切な発言とおっしゃるでしょう。ただ、私が少し噂で聞いただけでも外交で失敗なさったりはしているようです」

「あら、そうなの?」

「学生時代は優秀と噂されていたかと思いますが、王妃としての学びが追い付いていないとは聞いています。子育てを優先することも多く、その分、公務なども周りが負担しているとも……。ただ、どこまで本当かは分かりませんが。そういうこともあって、先代王妃様が小言を口にしてしまっているのかもしれません」

「なるほど……」



 オタリー様は下位貴族の出身なので、子育ては自分でやりたいと思っているのだろう。王族や高位貴族だと、両親が常に傍に居るということはまずない。家族の形が全く異なるというか、そう言う感じなの。

 私の家は比較的、貴族家の中では仲が良い方だったけれど、それでもしばらく顔を見ないなんてこともあったりした。

 オタリー様は王家に嫁いだ後、自分で子供を育てたかったのだろう。その気持ちに関しては否定はしないし、別に構わないと思う。



 ただし結婚して長い時間が経過しているのにも関わらず、王妃としての責務を本当に全うできていないのなあらば問題だろう。




「それでオタリー様は私を気にしているのね」

「……いえ、オタリー様はそれ以前からマルグレッタ様を気に掛けてはいたようです。それこそ学生時代から。マルグレッタ様と比べられることで、大変苛立っているとも聞きます。……一部では、過去のマルグレッタ様の身に起きた出来事はオタリー様が画策したのではないかともいわれているようです」

「そうなのね……。教えてくれてありがとう。今の私は平民になることを目指しているから、王妃である彼女と関わることはないだろうけれど……もしお話をすることになるなら気を付けるわ」



 私はグベルド様の言葉にそう答えるのだった。



 ――それにしても、私の過去の出来事が彼女が画策したかもしれないか。

 そう言う可能性は無くはないだろう。だって私とオタリー様は、今の国王陛下を取り合った身なのだから。



 そんなことをしなくても国王陛下はオタリー様を選んだと思うのだけど……。尤も引きこもってすぐならともかく、今、言われたところで今更な話なのだ。

 私はもう関わることはないだろう、とその時は思っていた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ