練習試合のお誘い 2
8人をコートに入れ、優しい山なりのボールを名前を呼んだ人に向かって投げ、それを先程までしていた基本の姿勢からセッターに返す練習を始めた陽介だったが、さっきまで基礎的な練習をしていたのにコートに入ったとたん以前と変わらないいい加減なレシーブやパスを繰り返すメンバーに、「皆さんさっきまでの練習はどうなりましたか?、もちろん直ぐに綺麗なレシーブやパスが出来るとは僕も思ってません。しかし皆さんはさっきと違い基本姿勢からのレシーブやパスをやろうとしていません。これでは普段いくら練習してもその成果は絶対に出ることはありません。前にも言いましたが、下手なのは構いませんがやろうとしないのは始末に悪いです。この状況では誰が指導者でも絶対に勝つことは出来ません。皆さんもう一度気持ちを入れ替えて頑張りましょう!」と言い、あらためてボールを投げ込んだ。
するとチーム最年長の新井さんが、「私はチョッと体がきついので、コートを出ます!」と申し出た。
陽介は「分かりました!、ではコートの外から皆のプレーを良く見ていて下さいネ!」と言い、7人になったコートに向かい引き続きボールを投げ込んだ。
フサエちゃんは、優しいボールにもかかわらず陽介が投げ込んでくるボールを中々上手く自分の所に返せない面々に、少しいら立ちを見せながら「皆、監督は下手なのは構わないからやろうとすることが大事なんだと言ってるよ!、これじゃぁ私が見たって向かって来るボールをただ行き当たりばったりで手に当ててるだけだよ!、皆頑張ろうよ!」と声をかけた。
そして9人に足りないポジションを抜かし、それぞれが各ポジションを経験したところで、「では、サーブの練習をしま~す!、以前にも言いましたが、サーブは第一試技ではなく最初の攻撃だと思って打ちましょう!、サーブは2本あります。1本目は速くて低くてエンドラインまで届くようなサーブを打てるように頑張りましょう!、もし1本目をミスしたら2本目は必ず相手コートに入るサーブを打ちましょう。決して2本ともミスをしないように練習して下さい。なぜならば2本ともサーブをミスしてしまえば無条件に相手に1点を与えることになってしまうからです。試合だと思ってサーブを練習して下さい。これから暫くの間は、普段の練習でも、練習試合前でも、公式戦前でもそういう気構えで練習をして下さい。」と言った。
陽介は当面、サーブのミスによって無条件に相手に点数を与えてしまうことを避けるよう、とにかく2本ともサーブをミスしないことを意識させようと、考えたからだ。
練習時間が残り少なくないのを確認した陽介は、「今から3分サーブを打ちます!」と言って自前の笛を吹いた。
しかし、始まったばかりの陽介の練習で、その日のうちに成果など出るはずもないことは陽介も織り込み済みだったが、それにしても弱小ママさんバレーボールチームのSIEGのサーブは、酷かった。
そして陽介は、練習終了時間10分前に全員を集め「来週はパパクラブさんとの練習試合です。僕は性格上『試合』と名の付く物は例え練習試合でも負けたくありません。しかしSIEGの皆さんは今度の練習試合では例え結果が負けでも、どれだけ普段の練習の成果を出すことが出来るかを心がけて下さい。その成果が出たかどうかを計るのに一番わかりやすいのは、おそらくサーブです。是非頑張って下さい。」と言い、練習を終えた。
陽介が帰ろうと体育館を出ようとした時、フサエちゃんとイッちゃんが駆け寄って来て、「監督、今日の夕方から会えませんか?」と言って来た。
陽介は、「何時頃?、一度家に帰ってからになるから、早くても17:00ころになっちゃうよ!」と言い、さらに「僕はボールの無い所でバレーの話しはしたくないんだけど、バレーの話しなの?」と聞いた。
フサエちゃんもイッちゃんも、「はい。バレーの話しです。」と言ったので、陽介は「では、今度の練習試合の時に話しましょう!」と断ったが、フサエちゃんとイッちゃんが繰り返し頼む上に、フサエちゃんが「場所はファミレスにしようと思っていますし、なんならファミレスのお酒は私がご馳走します!」との言葉に負け、やむを得ず了解をし17:00にSIEG地元のファミレスに行くことになった。




