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いよいよ始まった陽介監督の練習 3

 陽介は、オーバーパスに引き続き、基本姿勢や動作がさらにキツイ、アンダーパスの練習を指示した。そして、「以前お話ししたように、アンダーパスも体重の移動は前方向です。かかとをベッタリ床につけて上方向に体重を移動してしまうとボールは上に上がってしまいますし、横あるいは後ろに体重を移動してしまうとボールは横あるいは後ろに上がってしまいます。ですから正面に向かって前方向に体重を移動して下さい。そしてボールは体の正面で両手(両腕)にヒットさせて下さい。」と言い、フサエちゃんにボールを投げさせ陽介自らがアンダーパスをやって見せた。


 さらに陽介は、「今僕がやって見せたアンダーパスは、両足を軽く前後させ両足の親指の付け根に軽く体重をのせた状態で両手(両腕)にボールをヒットさせました。足の親指の付け根に軽く体重をのせることを意識すると、必然的にかかとは少し浮きます。ですから両手(両腕)にボールをヒットさせて後、前に歩けようになります。それが前方向に体重を移動させるということです。そして皆さん見てお分かりのように、僕はアンダーパスを行う準備のため、フサエちゃんが僕に向かってボールを投げたと同時に右足を一歩引き、ボールをヒットした瞬間は体を止めた状態でした。そしてボールをヒットしたあと遅れることなく前方向(フサエちゃんという目標に)に向かって1・2ホ、歩いたのです。要するにその場でボールをヒットして体重の移動を前方向にするのは難しいので、やりやくするために自分から初動したのです。皆さんもどちらの足でも構いませんからボールをヒットしたあとに前方向に動きやすい初動を行って下さい。」と言った。


 そして、「では2人一組になって、片方の人はボールをもう片方の人に向かって下から両手で投げて下さい。そしてアンダーパスされたボールは必ず両手で捕るようにして、それを3分間続けます。アンダーパスをするときは、両ひざが自分のつま先よりも前に位置するくらい腰を落とし膝を曲げて下さい。ケガや古傷のある人は出来る範囲で良いですから…。」と言い、自前のホイッスルを吹いた。


 アンダーパスの練習が始まると、皆ぎこちなく、しかし陽介に言われたことを必死にやろうと硬い表情で頑張った。


 そして2人一組の交代が終わり6分経ったところで陽介がホイッスルを吹き、「皆さんとても頑張っています。何とかやろうとしている姿勢が僕にも伝わって来ます。しかし皆さん表情が硬い!、バレーボールは本来楽しい競技ですからもう少し和やかな表情でやりましょう!、これからもう一度3分間ずつアンダーパスをしますが、今度はボールを投げている人の名前を大きな声で言いながらパスを出してみましょう!」と言った。


 基本姿勢で行ったオーバーパスもあったので、普段使わない筋肉の疲労からか皆一様に膝や太ももをさすっていたが、時間も無いことから陽介は直ぐにホイッスルを吹いてアンダーパスの練習を再開させた。


 ところが、ボールを投げてくれる相手の名前を言いながらということが、普段やりなれてない皆には難しかったようで、ボールが両手(両腕)にヒットする前に相手の名前を言う者や相手の名前を言うのを忘れてしまい、アンダーパスしたボールがボールを投げている相手に届いてから名前を言う者などがいた。


 中でも、中々アンダーパスが上手く出来ず、明後日の方向にボールをはじいてしまう者が、「あれぇ~~~!、ボール何処行っちゃうの~~~!!!、アッ、フサエちゃん!」などと思い出したように、さらに全く噛み合わないタイミングで声を発していた。


 しかし、皆それがとても面白かったようで、大笑いをしながら基礎練習を続けることが出来た。


 そして6分が経ち、陽介は「それでは今度はネットを挟んで同じ練習をします!」と言い、ネットを挟み2人一組でオーバーパスとアンダーパスをやらせた。


 だが、このネットを挟む練習。たった一つのネットという障害があるだけで、今までと同じようにはいかない。


 そもそも、オーバーパスもアンダーパスも基礎的な姿勢で続けることを始めたばかりであったが、2人一組の目標者に対し、投げる方もパスをする方も相手方に上手く投げたりパスすることが出来ない。


 陽介は、「たった一つの障害物があるだけで、意外と難しくなるでしょ?、でもね、バレーボール競技は必ずネット挟んだり、ネットを背負ってプレーをします。皆さんはこの基礎練習を一生懸命続ければ必ず上手く出来るようになりますから、諦めず・嫌がらずやって下さいネ!」と言った。


 そして次の練習に入ろうとした時、フサエちゃんの携帯が鳴った。

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