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ここで筆者の言い訳 2

 9:30頃、手術翌日(手術から約18時間後)リハビリ担当の男先生が陽介の病室に来て、「これから、リハビリをしますね。先ずはベットから車いすに乗り移ることからやります。私が補助しますので頑張って下さい。」と言った。


 陽介は、「手術した箇所が痛くて動く事が出来ません。」と言ったが、リハビリ担当の男先生は、「最初は皆さんそう言います。しかし術後直ぐにリハビリをした方が回復が早いと言う医学的根拠がありますので、大変だとは思いますが、頑張ってみましょう!」と陽介を説得した。


 陽介は、必死に痛みをこらえながら動こうとしたが、術後間もないことで尿道に管が入っていてそれが異様に気持ちが悪く、動作を止めた。


 リハビリ担当の男先生に動作を止めた理由を告げたが、「管は外してしまうと、尿意があったときトイレに行かなければなりません。現状は陽介さんが言うように体を動かすことすら出来ないような痛みがあると思いますので、管を外すことは出来ません。気持ちが悪い感じがするのは分かりますが、私が補助をしますので管を付けたままでベットから車いすに移れるように頑張って下さい。」と言って陽介の上半身を起こした。


 補助をしてもらっても痛みに変わりがないと陽介は思ったが、痛みを必死こらえベットから足を床に着けた。


 リハビリ担当の男先生は、「頑張りましたね~!、では続けて私が補助をしますので、ベットの手すりにつかまりながら車いすに移ってみましょう!」と言った。


 陽介は歯を食いしばって車いすへの移動を試み、何とか車いすに座った。


 リハビリ担当の男先生は、「いや~、頑張りましたね~。私がリハビリを担当させて頂いた患者さんで、手術翌日にベットから車いすに乗り移れたのは、陽介さんが初めてです。陽介さんは若いから凄いですね!」と言った。


 陽介は、「それ、本当の話しですか?、だとすると僕以外の方はどうだったんですか?」と聞いた。


 リハビリ担当の男先生は、「ベットから何とか動いて足を床に着けるところまでですかね。大抵はベットから上半身を動かすのが精一杯です。だから本当に陽介さんは凄いです!」と笑顔で言った。


 陽介はその話を聞きながら、「騙された!、こんなに必死になって痛みをこらえなければよかった。」と思ったが、リハビリ担当の男先生は「では、これから車いすに乗って一つ上の階のリハビリ室にエレベーターで行きますね。」と言った。


 慌てて陽介は、「リハビリ室に行って何をするんですか?、車いすに乗り移っただけでも激痛だったのに何も出来ませんよ!」と不満げな面持ちで言った。


 リハビリ担当の男先生は、「リハビリ室の歩行訓練用具を使って、歩くリハビリをします。陽介さんは若いから絶対に出来ますから頑張ってやりましょう!」と言い、「無理、無理、無理、絶対に無理!」と強めの語気で言い続ける陽介をよそに車いすを押してエレベーターに乗った。


 陽介は本気で嫌だったが、痛みで車いすから降りることも出来ず、ムッとしながら無言になった。


 リハビリ室に着くと、そこにはかなり年配の人達が歩行訓練用具の手すりにつかまりながら、ゆっくり・ゆっくり歩行訓練を行っていたり、小豆位の大きさのビーズを一粒ずつ右から左に、左から右に移す訓練をしていたり、車いすに乗ったまま膝から下を動かす訓練などをしていた。


 リハビリ担当の男先生は、車いすに乗った陽介を歩行訓練用具の前に連れて行き、「では、この手すりにつかまって先ずは立ち上がってみましょう!」と言った。


 陽介は、再び「無理、無理、絶対に無理!」と連呼して拒否を続けたが、リハビリ担当の男先生が「立ち上がることが出来ないと、ベットに戻ることも出来ませんよ!」と言ったので、我に返り「そうだよなぁ~、立ち上がれなければ確かにベットに戻れないよなぁ~。」とつぶやきながら、何か騙された感がある腑に落ちない心持で手すりにつかまった。


 そして激痛に耐えながら、持ち前の腕力で体を起こし立ち上がった。


 その姿を見たリハビリ担当の男先生をはじめ、その場にいたリハビリの先生方が一斉に陽介に拍手を贈った。


 陽介は自分に向けられた拍手だとは分からず周りを見渡したが、リハビリ担当の男先生が「陽介さん凄い!、この病院で手術翌日に人の手を借りずに立ち上がったのは、あなたが初めてです!」と言ったので拍手が自分に対しての物だと分かったが、激痛で決して喜べなかった。


 続いてリハビリ担当の男先生が、「そのまま手すりにつかまりながら、歩いてみましょう!」と言ったので、陽介は「ふざけんな!」と心の中で思いながら、腕力を使って手すりをつかみながら3歩、歩いて見せた。


 すると再び拍手が巻き起こり、「この病院で手術翌日に3歩、あるいたのは陽介さんが初めてです。本当に凄い!、でも今日はこの辺にしておきましょう!」とリハビリ担当の男先生が言い、車いすを陽介が立っている所まで持って行き、補助をしながら座らせてくれた。


 そして病室に戻り、さらに激痛に耐えながら車いすからベットへ移った。


 リハビリ担当の男先生は、「この調子なら、尿道の管は2~3日で外すことが出来ますよ!、明日も頑張りましょう!」と言って部屋を出て行った。


 陽介には地獄のリハビリ時間であったが、暫くすると看護師さんが病室に来て、「陽介さん、凄いですねぇ~!、もう歩けたんですってね!、皆驚いてましたよ!、昼食までゆっくり休んで下さいね。昼食が終わると13:30頃から午後のリハビリが始まりますから!」と言って笑顔で病室を出て行った。


 陽介は、「午後のリハビリ?、チョッと待って下さい!、午後もリハビリをするんですか?、一体どんなリハビリをするんですか?」と聞いたが、その時すでに看護師さんは病室にはいなかった。


 陽介は処方された痛み止めを飲み、午後のリハビリに恐怖を覚えながら、寝た。

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