いよいよ始まった陽介監督の練習 1
前監督A氏の送別会も特に無く、親睦大会であったとは言えいつものように負けたSIEG。
敗戦後最初の練習には、意外にも全メンバーが参加していた。
陽介は、練習開始前にメンバー全員を集め(未就園児や小学校低学年の子供達も含む)これから行う練習について話を始めた。
陽介がSIEGの監督を引き受ける際に話した、基礎練習に大半の時間を費やすことになること、それが試合で勝つための近道であること、また出来るだけ練習に参加して欲しいことなどを丁寧に繰り返し話した。
そして話が長くなりそうなので、全員を一旦座らせてから先日の親睦大会について総括を始めた。
陽介が総括した要点は3点。
①試合中は声を出すこと(出し合うこと)。
②相手のリズムや声に惑わされることなく(ワン・ツー・スリーなどの、相手のかけ声や相手チーム内での話しなど)、自分達のバレーをやろうとすること。
③試合に負けたのは、ただただ勝つための練習が足らなったからで、メンバーチェンジによるポジションが問題だったということではないこと。
だった。
特に③については、イッちゃんが陽介に前監督の選手起用を不満に思っていたので、補足を付け加えた。
陽介は、「おおらか杯では、じょんちゃんが負傷退場してあずみちゃんが同じハーフセンターのポジションに入りました。確かに皆が思っていたように、コート内でポジションの変更をして普段中々練習に来られない、あずみちゃんを違うポジションで使う方法もあったかと思います。」と言ったところで、イッちゃんが誰もが分かるくらいの大きな動きでうなずいた。
陽介はその様子を見ながら、「しかし、今回の親睦大会で勝てなかったのは、ポジションの問題ではありません。皆さんにこれから私が言う事は聞き苦しいかもしれませんが、現実なので是非受け止めて練習に励んで下さい。」と言い、少し間をとり「敗戦の原因は、皆が下手だからです。まだバレーボールを競技として行えるチームのレベルにないからです。もっと言えば、誰がどのポジションをやっても今のSIEGのチーム状況ではいつまでたっても絶対に勝つことは出来ません。それが勝てない決定的な理由です。もちろん物凄く技術力のあるバレーボール経験者が4~5人SIEGに入部するとかならば話は別です。しかしそれは現実的ではありません。だとすれば、皆さんが練習により技術やメンタルを磨き、試合に勝っていかなければなりません。以前も言いましたが、そのためには基礎練習を積み重ねることが最も重要です。そして先程も言いましたが、この基礎練習を積み重ねることがバレーボールを競技として楽しむことが出来るようになる一番の近道だと私は信じています。だから先ずは個々の技術力をバレーボール競技が出来るレベルまで上げましょう。そしてその上でポジションを考えましょう。」と諭した。
さらに、「そうは言っても5月の公式戦は、あっと言う間にやって来ます。練習時間を無駄にしないように次の練習に移る時は走って行きましょう。そして皆で一生懸命練習をして試合に勝ちましょう!」と言った。
皆、「ハイ!」と言ったものの、イッちゃんが「監督!、私達は試合に勝つことが出来るようになりますか?」と陽介に聞いて来た。
陽介は、「私と一緒にしっかりと練習すれば必ず勝てるようになります。そしてこの前の試合を見る限り、8部~5部まではワンチャンスで上がれる可能性があると私は思いましたよ!、絶対に勝ちましょう!」と言った。
イッちゃんは、「分かりました!」と笑顔で言った。
陽介は、一緒に座って話を聞いていた子供達に、「長い話を良く我慢して聞いてたね!、偉いねぇ~!、これからママ達は練習するから応援してあげてネ!」と言い、ほめた。
子供達はほめられたことに機嫌を良くしたか、体育館脇の別室に走って行き遊び始めた。
キャプテンのフサエちゃんが、「体操やるよ~!」と声をかけメンバー全員が円く集まり体操を始めた。
そしていつもの体操が始まったが、陽介がその体操を直ぐに止め、皆をを集めた。
陽介は、「以前も言いましたが、試合当日はいつもの準備体操をする時間は無いことを皆さんも理解していると思います。今日は今までと同じ準備体操とウォーミングアップをやって下さい。ただし全てにおいて一生懸命やって下さい。そして皆で話し合って次回からは試合当日に短い時間で試合に臨める準備体操やウォーミングアップが出来るように考えて、私に教えて下さい。皆で話し合うとまとまらないと言う場合は、フサエちゃんやイッちゃんのようにチームの中心的な人達がまとめて下さい。私はその内容を見て皆さんにあらためて指示をするようにしますので…。」と言い、準備体操の続きをするように指示をした。
そして、準備体操とウォーミングアップが終わった後、本格的に基礎練習をするべく陽介は皆を集めて説明を始めた。




