A氏最後の監督、親睦大会(おおらか杯) 6
陽介に監督のA氏が行った選手交代について、物申したいと言った#4イッちゃんの表情は、かなりふて腐れていた。
陽介は、「そもそもベンチには#6あずみちゃんしかいなかったんだから、選手交代に何か問題があったとは思えないけど、どうゆうこと?」と、逆に#4イッちゃんに聞いてみた。
#4イッちゃんは、「#6あずみちゃんと交代したことに文句がある訳ではありません。ベンチには1人しかいないんだから当然の交代です。問題は交代したポジションについてです。」と、さらにふて腐れながら言った。
そして、「ケガをした#9じょんちゃんのポジションは、ハーフセンター。交代した#6あずみちゃんのポジションもハーフセンターでした。私達は普段練習する時、SIEGのメンバーが全員揃っての練習はほぼ出来ません。もちろん試合直前の練習では何とか全員が揃って練習が出来るように心がけていますが…。しかし今日の試合では、中々人数が揃わず#6あずみちゃんには当日だけいいからベンチに入ってほしいと頼んだメンバーです。したがって、普段から練習に参加出来ていないメンバーが、重要なポジションのハーフセンターをプレーするのは難しいと思うんです。それが証拠にチームが機能しなくて逆転負けをしました。」と言った。
陽介は、「じゃぁ、#4イッちゃんはどのポジションに#6あずみちゃんを入れれば良かったと思ってるの?」と聞いてみた。
すると、「私は、普段練習に参加している例えば#15マリちゃんをハーフセンター(この試合ではバックセンター)にして、#2アシミちゃんをバックセンター(この試合ではバックライト)に、そしてバックライトに#6あずみちゃんを入れると思います。」と#4イッちゃんは話した。
「だったら、監督にそう言えばいいじゃない!」と陽介が言うと、#4イッちゃんは「前からそういう風に言ってます!やむを得ない選手交代をするときは相談して欲しいと。でもA監督は色々とポジションを変えると面倒だからそのままでいいよ!って、聞いてくれないしタイムアウトの時も皆と話をしないから、毎度不満なんです!」と、訴えるように陽介に言った。
陽介は、「僕はSIEGに来たばかりで、練習試合を含めて皆が試合をしている姿を見るのはこれが初めてです。だから、どの人がどのポジションをこなせるかと言う事をこの場で助言することは出来ません。それと、試合中にチームがうまく機能しないのは、今の試合を見る限りポジションがどうだとかいうことではないと思います。チームが機能しなかったり試合に負けるのは、他に原因があると僕は思っていますよ。いずれにせよ今日はもう一試合あるのだから、A監督とよく相談してポジションを決めて臨んで下さい。」と言った。
#4イッちゃんは、渋々と「分かりました。」と言ったが、同時に「チームが機能しなかったり負けたりする原因は何ですか?」と陽介に聞いて来た。
陽介は、「これからの練習で、おいおい話して行きますよ!」と言うだけにとどめた。
陽介と#4イッちゃんの会話が終わり、陽介が観客席に向かって階段を上ろうとした時、#5フサエちゃんが陽介に声をかけた。
「監督、ごめんなさいね。せっかく応援してくれたのに負けちゃって。それと#4イッちゃんの愚痴を聞いてもらってありがとうございました。」と引きつった面持ちで頭を下げた。
陽介は、「ひょっとして、いままでもA監督と皆の関係は、うまく行ってなかったの?。確かにタイムアウトの様子を見れば大体のことは想像出来るけど、#4イッちゃんは結構不満タラタラだったよ!。そんない悪い人には見えないけど、以前A監督は自分はプレーヤーとしてバレーボールを楽しむタイプだからSIEGには評価されてないって言ってたよ。でも皆が頼んで監督をやってもらってるんだよね?」と#5フサエちゃんに聞いた。
#フサエちゃんは、「え~、一応。」と答えたが、陽介が後で仕入れた情報によると、#4イッちゃんの実妹#1ユッケちゃんの関係でA氏に監督を頼んだとのことだった。
そしてこの姉妹、仲が悪いらしい。
#4イッちゃんは、その辺の複雑な感情も手伝って、A監督に対する不満が多いのかも知れない。
さて、#9じょんちゃんが負傷して交代した#6あずみちゃんをコートに入れ、第二試合に臨んだSIEGだったが、陽介が観客席から必死の応援した効果もなく、またしても惨敗した。
この試合、#6あずみちゃんのポジションは変わらずハーフセンター。
陽介は、#4イッちゃんが本当にA監督と話し合いをしたのか疑問だった。
第一試合と同じくサーブの殴り合いで淡々と試合は進み、良い所なく惨敗した。
監督であるA氏は、この試合でSIEGを引退する。
これからは、陽介がSIEGの監督。
5月の公式戦に向けて、SIEGは練習に励むことになる。




